二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.122 )
日時: 2013/09/14 18:15
名前: ウルワルス (ID: giYvI9uD)

第20章  温故知新






 ロナルド・ウィーズリー氏が気を失ったままのローズを、「付き添い姿眩まし」で聖マンゴ病院に運んだ。スコープも、ウィーズリー女史とヒューゴと共に聖マンゴに向かった。
 聖マンゴの癒者は、ローズの行動の原因を突き止めることが出来なかった。そのことは、アイサムが語った昔話の信憑性を裏付けているようにスコープには思えた。
 ローズが目を覚ましたのは、その日の夜だった。彼女はスコープを殺そうとしたことを覚えておらず、母親からそのことを聞かされて愕然としていた。
「本当なの・・?」
 ローズは泣きそうな顔でスコープに問いかけたが、スコープは答えることが出来なかった。
「提案があるんだが・・」
 ウィーズリー氏が言った。
「スコープ。君はローズが治るまで、ローズに近付かない方がいいんじゃないのか? また昼間のようなことがあったら・・。
 まあ、どのみち君は明日ボーバトンに戻るわけだから、私が提案するまでもないと思うが・・」
 父親の言葉を聞いて、ローズはうつむいた。スコープはローズに、毎週末には父か母にボーバトンの校門から「付き添い姿現し」してもらってブリテンに帰り*、彼女に会いに行く、と約束していた。
「ローズから離れるつもりはありません。」
 スコープはきっぱりと言い切り、ローズとの約束にも言及した。
 アイサムが語った昔話の、「怪物に取り憑かれた人の多くは、最後には取り殺された」という部分が、スコープの心に引っかかっていた。もしローズが程なくして死ぬ運命にあるのなら、危険を冒すことになろうと、少しでも長い時間を彼女と共に過ごしたかった。
「スコープ・・」
 ローズから離れるつもりはないというスコープの言葉を聞いて、彼女は目頭を拭った。ウィーズリー夫妻も深く感じ入った様子だった。ただ、こんな時だというのにヒューゴがにやけていることが、スコープには気になった。







* 姿現しするのはボーバトン・パリ間。パリ・ロンドン間はポートシステムを使用。
 ポートシステムは各国の主要都市に設置されている。