二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.125 )
日時: 2014/03/14 16:08
名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)

 約束通り、スコープは毎週金曜日の夜にブリテンに帰り、土・日曜日はローズと共に過ごした。入院したところで意味があるとは思われなかったため、ローズは自宅に戻っていた。
 ウィーズリー家を訪ねるのは、スコープにとって初めてのことだった。マルフォイ邸やグリモールド・プレイスのポッター邸のような大規模な屋敷ではなかったが、ウィーズリー家も快適な住居といえた。特にスコープの関心を惹き付けたのは、TVやPC、自動車のようなマグルの利器だった。イースター休暇明けに、ボーバトンでは3年次からの選択教科を決定するよう通達があったが、スコープは迷わず「マグル学」を選んだ。
 ローズは、ホグワーツの閉鎖が解かれなかった場合に9月からボーバトンに編入できるよう、平日は自分で勉強を進めているとのことだった。スコープが、ボーバトンで出された宿題の分からない箇所について質問した時も、難なく教えてくれた。
 
 とはいえ、ローズは次第に衰弱しつつあるようだった。5月の下旬には、ベッドから離れて歩くこともままならなくなっていた。

 6月の第一土曜日、スコープはローズの部屋で学年末試験に備えて勉強していた。ウィーズリー夫妻は、ヒューゴが通っているマグルの初等学校に行っており(土曜参観だとのことだった)、留守だった。
 ローズもホグワーツに入学するまでは同じ初等学校に通っていたそうなので、スコープはマグルの学校について色々と訊きたかったが、彼女の具合がこれまでになく悪そうであるため、訊きそびれていた。

「スコープ・・」
 それまでベッドの上で上体を起こしたままぐったりしていたローズが、不意に言葉を発した。彼女に目を向け、スコープは戦慄を覚えた。彼女の両眼が、あの禍々しい赤い光を発していた。
「早く私から離れて・・・。このままじゃ、あなたのことを・・・」
「君から離れたりするものか。」
 一時の戦慄の後、スコープは自分でも驚くほど冷静になっていた。同時に、何故か
『最初から、僕が週末だけでも会いに行っていたなら、ローズはこんな目に遭わずに済んだかもしれない。』
という気がしてならなかった。
「君が苦しんでいるというのに・・」
 スコープはローズに身を寄せ、彼女の手を握りしめた。
「スコープ・・駄目・・逃げて・・」
 彼女は身を震わせながら言った。まるで、頭の中に巣くう何かと闘っているかのようだった。
 不意に、カムランで見たのと同じように、ローズは無表情になった。さらに彼女は、ベッドの端に腰掛けていたスコープを押し出すようにして覆い被さってきた。スコープはベッドから落ち、後半身が床に打ちつけられた。