二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.13 )
日時: 2012/09/17 16:04
名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)

「僕は3時頃からハグリッドの家にお茶をよばれに行くことになってるんだけど、君も来るかい?」
 昼食の席で、アルバスがスコープに尋ねた。
「そういえば、入学の日にも言ってたね。」スコープは少し考えてから言った。「では、僕もお邪魔させてもらおう。」

 2人は3時5分前に城を出て、校庭を横切った。ハグリッドの家(というより小屋)は、「禁じられた森」の端にあった。アルバスがノックすると、ハグリッドが現れた。
「おお、アル。よく来たな。・・・一緒にいるのは、スコーピウス・マルフォイだな?」
「そうだよ。僕の友達だ。」
 アルバスの言葉を聞いて、ハグリッドは明らかに驚いたようだった。
「お邪魔します・・」スコープは遠慮がちに挨拶した。
「ん、ああ。よろしくな、スコーピウス。
 さあ、2人とも入ってくれ。」
 家の中には、既に先客がいた。
「どうしてスコーピウスがいるの?」
 既に着席していたローズ・ウィーズリーが、不機嫌そうに言った。
「そう訊きたいのはこっちも同じだ。」スコープは言い返した。「アル。どうしてウィーズリーも来ると言ってくれなかったんだ? そのことを知っていたら来なかったのに。」
「スコーピウス。お前さんは2人の友達じゃないのか?」ハグリッドが言った。
「確かにアルとは友達だけど、こいつと友達になった覚えはありません。」 
「ローズが来ることを教えずに君を来させたのは、その・・君とローズが、このお茶会をきっかけに仲良くなってほしいと思ったからなんだ。」アルバスが言った。「君達は月曜日の変身術の授業から、一度も口を利いてないじゃないか。」
 スコープとローズは反駁しようとしたが、「アルの言うとおりだ。スコーピウス、ローズ、お前さん達は同じグリフィンドール生として仲良くせねばならんぞ。」と、ハグリッドが言った。「さあ。喧嘩はもうやめにして、お茶にしよう。」

「訊きたいことがあるんだけど、いいですか?」スコープは、歯が折れるくらい固いロックケーキを苦労して食べながら、尋ねた。
「なんだ?」
「どうして自己紹介もなしに僕の名前が分かったんですか?」
「お前さんは教職員の間でもかなり有名だからな。なにしろ、マルフォイ家からグリフィンドール生が出たんだから、無理もない。」
「ハグリッド、あなたもホグワーツの先生なのよね?」ローズが言った。
「そうとも。」ハグリッドは誇らしそうに答えた。
「じゃあ、先生としてのあなたに言うわ。
 スコーピウスは校則を破ってるの。学校に持ち込んではいけない生き物を持ってきてるのよ。」
 ローズがそう言ったとたん、ハグリッドの雰囲気が変わった。
「スコーピウス!」ハグリッドはスコープの方に身を乗り出した。スコープは、てっきり怒られるのだと思った。
『どうやって切り抜けよう? 部屋で持ち物検査でもされたらおしまいだ。検査が始まるまでにジェレイントを隠す時間があればいいけど、部屋までついて来られたら・・』
「お前さん、どんな生き物を持ってきてるんだ!?」
「闘蛇(とうだ)です・・」スコープは観念して答えた。「縮小呪文をかけて、ケースに入れて持ってきたんです。あいつとは3つの時からずっと一緒だったから、離れられなかったんです・・」
「そいつは素晴らしいことだ、スコーピウス!」ハグリッドが感激したように言った。スコープもローズもアルバスも、呆気にとられた。
「そこまでペットに、ひいては生き物に愛情を注げるもんは、そうそうおらん。俺はお前さんが気に入ったぞ。」
「そ、それはどうも。では、見逃してくださるのですか?」
「もちろんだ。俺も学生の頃は、いや、森番になってからでさえ、不法に生き物を持ち込み、飼育していたもんだ・・」
「なんてことを。」ローズが呆れたように言った。「それでよく先生になれたわね。」
「そう言うな、ローズ。世の中には規則なんかよりずっと大事なもんがあるんだからな。」
「先生であるハグリッドが認めるなら、しょうがないわね。私も、闘蛇を持ち込んだことを許してあげるわ。スコーピウス。」
「フン、偉そうに。」
 そう言いながらもスコープは、あの変身術の授業以来ローズに対して抱いていた憎しみが、少し和らいだのを感じた。
「ところで、スコーピウス。俺はまだ闘蛇を見たことがないんだ。今度ここに来てみせてくれるか?」ハグリッドが言った。
「ええ、喜んで。」
「それじゃお返しに、お前さんが見たことがないであろう生き物を見せてやろう。」
 お茶が済むと、ハグリッドは3人を小屋の裏に連れて行って、バックビークという名のかなり年取ったヒッポグリフを見せてくれた。





補足

・ハグリッドが、アルバスにスコーピウスと友達だと聞かされて驚いたのは、もちろん学生時代の親同士の対立を知っているからです。
・ハグリッドの飼い犬ファングは、既に老衰で死んでいるという設定です。犬だから当然ですよね?