二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.134 )
日時: 2016/03/19 15:07
名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)

第21章  






 スコープはローズへの思いに駆られ、本能が命じるままに走り続けた。
 気が付くと彼は、禁じられた森に分け入っていた。禁じられた森は、ヌンドゥがユニコーンを殺した場所だ。ここでならヌンドゥに出くわせるかもしれない。スコープは立ち止まり、辺りを見回した。
 突然、何者かが飛び掛かってきた。スコープの身長程もある、巨大な蜘蛛だった。スコープは地面に倒れ、巨大蜘蛛がのしかかってきた。
「アラーニア・エグズメイ(蜘蛛よ、去れ)!」
 蜘蛛がスコープの喉に噛みつこうとした時、彼は杖を蜘蛛の体に突き付け、「闇の魔術に対する防衛術」の授業で習った呪文を唱えた。白い閃光が走り、蜘蛛は後方に吹っ飛ばされた。
 蜘蛛は逃げ出したが、スコープは背後にガサゴソという物音を聞き、振り向いた。別の3匹の巨大蜘蛛が、彼の方に向かって来ていた。
「お前達に構っている時間は無いんだ!」
 スコープは叫び、先頭を走って来る蜘蛛に杖を向け、呪文を唱えた。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)!」
 先頭の蜘蛛の体が浮き上がった。スコープが杖を動かすと、蜘蛛も空中で動いた。彼は、驚いたように足を止めた2匹の蜘蛛に対して、宙に浮いた仲間の体をぶつけてやった。
 自分を捕って食うことを諦めて去っていくかと思いきや、逆効果だった。地に足をつけた2匹の蜘蛛は怒ったように口の はさみ を鳴らし、スコープの方に迫ってきた。スコープは後ずさりながら杖を動かし、宙に浮いたままの蜘蛛の体を再び2匹にぶつけてやろうとしたが、間に合わなかった。1匹がスコープに飛び掛かり、彼は杖を取り落してしまった。浮いていた蜘蛛の体が地に落ちた。
 巨大蜘蛛に抑え込まれたスコープは必死で暴れたが、他の2匹も迫って来て、万事休すかと思われた。

 不意に、スコープの耳に獣の咆哮らしき音が聞こえた。その直後、巨大蜘蛛達は慌てたように逃げ出した。
 自由になったスコープは杖を拾って立ち上がり、周りを見た。生き物の姿はない。
 しかし、スコープが再び進み出そうとした時、突如として前方に四足歩行の巨大な肉食獣の姿が現れた。眼は赤く、毛皮は銀灰色だ。ヌンドゥに違いない。
「返してもらうぞ、ローズを・・」
 スコープは杖を構えた。