二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.139 )
日時: 2014/05/04 17:12
名前: ウルワルス (ID: O0NjrVt8)

「アヴァダ・ケダヴラ!」
 スコープはヌンドゥに対して死の呪文を唱えたが、何も起こらない。
 ヌンドゥが飛び掛かってきた。スコープは避ける間もなくヌンドゥに襟元をくわえられた。ヌンドゥはそのまま首を曲げて勢いをつけてから、首を振りつつスコープを放した。スコープの体は宙を飛び、左肩から木の幹に激突した。スコープは衝撃で杖を落とし、木の幹をずるずると伝って尻餅をついた。
 ヌンドゥは、今度はゆっくりと近付いてきた。スコープは左肩の痛みをこらえて杖を拾い、尻餅をついたままヌンドゥに杖を向けた。
「ペトリフィカス・トタルス(石になれ)!」
 スコープが放った全身金縛り術の閃光は、確かにヌンドゥに命中したが、ヌンドゥは何事もなかったように近付いてくる。スコープは立ち上がり、ヌンドゥの口から逃れようとしたが、やはりヌンドゥの方が素早かった。ヌンドゥは再びスコープの襟元をくわえ、先程スコープが激突した木に彼の背中を叩き付けた。
 1度・・・
 スコープは衝撃で再び杖を取り落とした。
 2度・・・
 3度・・・
 ヌンドゥは口を開け、スコープを放した。スコープはくずおれた。
 ヌンドゥは1歩下がり、暫しの間スコープの様子を眺めていた。その間にスコープは、痛さの余り悲鳴を上げる背中に鞭打って杖を拾った。
 ヌンドゥがみたび口を開け、スコープの襟元に顔を近付けてきた。スコープは杖を上げ、ヌンドゥの上歯と下歯の間に杖を差し入れ、武装解除呪文を唱えた。
「エクスペリアームス(武器よ去れ)!」
 ヌンドゥの口から、牙が3本抜け落ちた。ヌンドゥは痛みのためか咆哮し、右前足を振り上げ、スコープの左肩に振り下ろした。
「うっ!」
 左肩に激痛が走り、スコープは呻いた。杖は みたび地に落ちた。
『駄目だ、勝てない・・・』
 血がたらたらと体を伝うのを感じながら、スコープは自身の無力さに絶望した。自分はこのまま殺されてしまうのか。そしてローズも・・・
『すまない、ローズ・・・』
 ヌンドゥが再び右前足を振り上げるのを目にしながらも、ローズと共に過ごした思い出が、スコープの脳裏に次々と蘇ってきた。

 口喧嘩したこと・・・
 夜空を一緒に箒で飛んだこと・・・
 罰則として、ここ「禁じられた森」を共に歩いたこと・・・ 
 カムランにて花冠を作ってくれたこと・・・
 退学の不安に怯えていた時、手を握っていてくれたこと・・・ 
 ジェラルド・マクラーゲンから庇ってくれたこと・・・
 クィディッチ試合の直前にキスしてくれたこと・・・
 ポッター邸で抱き合ったこと・・・
 ウィーズリー家にて股間を圧迫されたこと・・・

 ここまで思い出した時、スコープは体の奥底から不屈の力が湧き起こってくるのを感じた。