二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.15 )
- 日時: 2014/04/10 15:34
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
新登場人物紹介
・オリヴァー・ウッド
ホグワーツ卒業後、プロクィディッチ・チームのパドルミア・ユナイテッドに入団。1年目は2軍だったが、2年目以降1軍に起用される。
1998年のW杯ノルウェー大会、2002年の日本大会、2006年のペルー大会、2010年のロシア大会にイングランド・ナショナルチームのキーパーとして出場。2014年に引退。以後は母校ホグワーツで飛行訓練担当教師兼寮対抗クィディッチ杯審判を務める。
入学から2週目の月曜日、スコープとアルバスはグリフィンドールの談話室に「お知らせ」が貼り出されていることに気付いた。
−−飛行訓練が木曜日から始まります。グリフィンドールとスリザリンの合同授業です−−
「やったな、とうとう始まるぞ。スリザリンとの合同授業ってのは気に入らないけど。」アルバスが言った。
スコープもアルバスも、箒で飛ぶのは得意だった。2人とも、来年度からはクィディッチ・チームに入るつもりだった。
「兄のジェームズは、今年からクィディッチ・チームに入るつもりだって言ってた。」アルバスは言った。「シーカーを狙ってるらしい。あいつは本当に飛ぶのが上手いから、僕が来年シーカーに選ばれるのは無理だろうな。だから僕はチェイサーを狙ってみるよ。今のチェイサーのうち、ビクトワールとリヴは今年度で卒業するから、空きが2人分できる。来年は一緒にチェイサーをやらないかい?」
スコープとしては、学生時代の父と同じくシーカーとしてプレイしたいと思っていたが、アルバスと一緒にチェイサーをやるのも面白そうだった。
「いいね。来年度が楽しみだ。」
一方、「お知らせ」が貼り出されてからというもの、ローズは何だか元気がないようだった。
「ローズは、箒で飛ぶのが苦手なんだ。」アルバスはこっそりとスコープに教えた。「君にとっては、変身術での借りを返すチャンスでもあるわけだけど。」
スコープは、ますます飛行訓練が待ち遠しくなった。
*
木曜日の午後3時半、ローズは憂鬱な気分で他のグリフィンドール生と共に城の裏手に広がる平坦な芝地に向かった。
「1年生の諸君、飛行訓練担当のオリヴァー・ウッドだ。」元プロクィディッチ選手であるウッド先生が自己紹介し、飛行の心得を話し始めた。
「飛行が苦手な者も、或いは一度も箒に乗ったことがない者もいることだろう。だが、怖がることはない。怖がらず、箒に全幅の信頼を寄せるのだ。さすれば、箒は必ず君達の思い描く通りに動いてくれるだろう。
箒とは単なる道具ではない。これまでの人生で、私はこのように感じるようになった。そう、箒は『友達』なのだ!」
幾人かの、熱狂的なクィディッチファンと思われる生徒達が、この名演説(ローズにはそう思えなかったが)に大きな拍手を送った。
「では、実際に飛んでみようか。
まず、右手を箒の上に突き出して。」先生が言うと、皆そのようにした。
「そして、『上がれ!』と言う。」
みんなが「上がれ!」と叫んだ。1回で箒が手に収まった生徒は少数だった。もちろん、ローズは少数の中に入れなかった。何度言っても、箒は地面の上でピクピク動くだけだった。
ローズは誰かの視線を感じ、箒に向けていた目を上げた。箒を手に収めたスコーピウスが、こちらを見ていた。だがその顔には、あの変身術の授業でローズが彼に向けたような、嘲りの色はなかった。むしろ、哀れみの表情が浮かんでいた。
ローズは、非常な羞恥を覚えた。箒を「上げる」こともできない今の自分も恥ずかしかったが、それ以上にスコーピウスを嘲ったあの時の自分が恥ずかしかった。このことは、一時的に箒で飛ぶことに対する恐怖心を忘れさせた。
「上がれ!」
ローズの箒は勢いよく跳ね上がったが、勢い余って額にぶつかった。
「みんな箒を手に持ったようだな。では、飛べる者は思い思いに飛んでみなさい。
怖い者は無理をしないように。私が基礎から教えてあげるから。」
ローズは、スコーピウスとアルバスが軽々と空中高く浮かび上がるのを見た。あのスリザリンの3人組、サウロス・マルフォイ、レストレンジ、ノットも、待ってましたとばかりに飛び上がった。フランクやラウル・アンダーソンがそれに続いた。
ローズは先生の言葉に反して、怖いのに無理をして空中に浮かび上がった。
ローズは幼い頃、弟のヒューゴや いとこ のジェームズ、アルバス、リリーと一緒に「空中鬼ごっこ」をしていた際、誤って箒から落下し、首の骨を折ったことがあった。骨折はすぐに母が治してくれたが、骨折に伴う身体不随を治すには聖マンゴ病院に入院するしかなかった。
それ以来、ローズは箒で空を飛ぶことに対して恐怖心を抱くようになった。