二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.16 )
日時: 2012/09/23 13:47
名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)

 ローズは、乗り手の恐怖心を感じたのかとんでもない方向に飛んで行こうとする箒を必死で制御しながら、しばらく飛び続けた。
「地上が恋しいかい? ウィーズリー。」 先週殴ったことに対する腹いせなのか、レストレンジが近づいてきて嘲った。
「何だい、その顔は? 腹が立つなら、この前みたいに僕を殴ったらどうかな?」
 マルフォイとノットも近づいてきた。
「ヴァリー、可哀そうなことを言うんじゃない。」ノットが言った。「君を殴ろうとして片手だけでも放せば、この箒はウィーズリーを宇宙の彼方にまで運び去ってしまうだろうよ。」
「ウィーズリーが君を殴ったというのは本当なのか?」 マルフォイがレストレンジに言った。
「まあね。」 
 レストレンジは、「しまった」というような表情を浮かべて言った。あまり知られたくない事柄だったのだろう。
 だがもちろん、マルフォイの関心はレストレンジをからかうことには向けられなかった。
「穢らわしい『混血』のくせに、よくもそんな不遜な真似を。」 マルフォイが言った。
「そういえば、入学の日に脅迫された借りもまだ返してなかったな。」
 言うなりマルフォイはローズに体をぶつけてきた。ローズは危うく箒から落ちそうになった。
『地上に降りれば・・』
 ローズは降下しようとしたが、ノットが先回りしてマルフォイ同様体当たりしてきた。
「君もやれよ、ヴァリー。」 マルフォイが言った。「こいつを箒から落とす権利は、君のものだ。」
「そうだな・・」 
 あまり乗り気ではなさそうだったが、レストレンジも強く体をぶつけてきた。先程から不安定にぐらぐらするようになっていた箒が、一層激しく揺れた。体当たりの衝撃がこれに加わり、ローズは両手を箒から放してしまった。
 


 スコープはアルバスと一緒に飛行を楽しんでいた。どちらがより速く飛べるかや、どちらがより綺麗に方向転換できるかを競ったりした。2人の技量はほぼ拮抗していたが、強いて言えば、アルバスの方が少し飛ぶのが速く、スコープの方が少し方向転換やフェイントが上手かった。
「君達。」 ウッド先生が2人のところまで飛んできた。「素晴らしい飛びっぷりだ。君達には天性の才能がある。来年度からはぜひクィディッチ・チームに入るといい。
 特に、ポッター。君のお父さんは素晴らしいクィディッチ選手だった。闇祓いになったのが残念なくらいにな。」
「父をご存じなんですか?」 アルバスが言った。
「もちろんだ。−−というより、ハリー・ポッターを知らない者など魔法界にはいまい。−−君の父は、私が5年生の時からグリフィンドール・クィディッチチームのシーカーを務めていた・・・」
 アルバスとウッド先生が話し始めたので、スコープは他の生徒達が飛ぶ様子を眺めることにした。
 ローズが飛んでいるのが見えた。スコープから見ると、かなり危なっかしくてお粗末な飛び方に思えた。飛ぶことを怖がっているのは、傍目にも明らかだった。
 ローズをからかって変身術での借りを返してやろうという気にはならなかった。飛行訓練が始まるまではその気になっていたのだが、一生懸命に箒を「上げ」ようとする様子や、怖いのを我慢して健気に飛び続ける姿を見ていると、復讐心が薄れてくるのだった。
 ふと、3人の生徒がローズに近付くのが見えた。ヴァレンティン、マヌイル、サウロスだった。3人は口々にローズに言葉を浴びせているようだった。あの3人のことだから、良い内容であるはずがない。