二次創作小説(映像)※倉庫ログ

『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.18 )
日時: 2016/03/17 22:59
名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)

 不意にサウロスがローズにタックルをかました。ローズは何とか持ちこたえ、降下しようとしたようだったが、マヌイルが回り込んでサウロス同様体をぶつけた。
『あいつら・・』 スコープは箒の柄を握りしめた。
 さらにヴァレンティンが体当たりした。ついにローズは箒から両手を放し、15メートルの高さから地上に向かって落下し始めた・・・。

 考えるより先に体が動いた。ローズが落ち始めるのを見るやいなや、スコープは一気に空を翔(かけ)た。ローズが落ちるのに合わせて正確な軌道で飛ぶ必要があったが、スコープは生来の勘でそれを成し遂げた。スコープは地面すれすれのところでローズの真下に入った。そして箒から放した両腕を伸ばし、落下してくるローズを抱きとめた。
 だが、誤算があった。ローズは特に重いほうではなかったが、15メートルの高さから落ちてくる人間を大きな負荷なしに受け止めるには、スコープの身体は華奢すぎた。
 加えて、スコープはローズを受け止める際に箒の動きを止めていなかった。箒を止めるのを優先していればローズを受け止めるのが間に合わなかったかもしれないので、仕方のないことではあるが。
 こういう訳で、箒は地面に衝突し、スコープはローズを抱えたまま地上に投げ出され、意識を失った。



 気がつくと、スコープは医務室のベッドに横になっていた。
「胸の骨が2、3本折れてたらしいけど、無事でよかった。」 ベッドの横からアルバスが言った。アルバスの隣にはローズがいた。
「ローズが事情を説明した時、ウッド先生はかんかんだったよ。あのスリザリンの3人は、1人につき100点、合計300点減点された。その上、今後飛行訓練の授業では空を飛ぶことが許されず、みんなが飛んでいるあいだ箒で地面を掃くという罰則が科されたんだ。」 アルバスは面白そうに言った。 
「それから、ローズが君に言いたいことがあるそうだよ。」
「ごめんなさい、スコーピウス。」 ローズはいきなり頭を下げて謝った。
「先週の月曜日、変身術の授業の時に、私はあなたにとても失礼なことを言ったわ。
 それなのにあなたは、そうしようと思えばできたのに、今日の飛行訓練の授業で私を馬鹿にしようとしなかった。それどころか、自分の身の危険も顧みずに、箒から落ちた私を助けてくれた。本当に、ありがとう。」
「そんな、お礼なんて・・。僕は『騎士道』を体現するグリフィンドール生として、当然のことをしたまでだよ。」 スコープは言った。
「そういえば、ウッド先生は君の立派な行為に対してグリフィンドールに100点くれたよ。」 アルバスが言った。
「スコーピウス。あなたは本当に素晴らしい人よ。」 ローズが言った。「それに比べて、私はただ勉強ができるだけの嫌な女の子。」
「そんなことはない。君は・・」 『真面目な努力家じゃないか』。スコープはそう言おうとした。
「きっとみんなもそう思ってるわ。だって、入学から2週間が経つのに、従兄弟のアルと幼馴染みのフランク以外は、誰も私に話しかけようとしないから・・」
 不意に、ローズの目に涙が溢れた。
「泣かないで。」 スコープはそう言って片手をローズの方に差し出した。「君の友達は、もはやアルとフランクだけじゃない。」
 ローズは涙を拭い、微笑んだ。そしてもう片方の手で、スコープの手をしっかりと握った。





            *





 この時以来、ローズ・ウィーズリーはスコープの友人になった。もっともローズの方では既に、スコープに対して友情以上の感情を抱き始めていたのであるが。