二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.20 )
日時: 2012/09/30 17:46
名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)

 ポジション別練習の後は、チーム内で2組に分かれて練習試合を行った。スコープとアルバスはビクトワールと同じ組になり、リヴ、ドミニクとクアッフルをめぐって争うことになった。リヴもドミニクも手強かったが、ビクトワールほどではなく、スコープとアルバスは何度か得点することができた。



    *



 翌・土曜日の夜、スコープはアルバス、ローズと一緒に談話室で、変身術の宿題に取り組んでいた。スコープは変身術が苦手だったが、授業で分からなかったところはローズが丁寧に分かりやすく教えてくれた。
「君は、本当に賢いね。」 スコープは心から言った。「先生の説明よりずっと分かりやすいよ。」
「ありがと。」 ローズは嬉しそうに言った。
「ところで、スコープ。」 ローズは、スコープのことを愛称で呼ぶようになっていた。「頼み事があるんだけど。」
「なんだい?」
「どうやったら上手に箒で空を飛べるのか、教えてほしいの。ご存じの通り、私は飛ぶのが苦手だから・・」
「分かった。お安いご用だよ。だけど、言葉で教えるのは難しいな。
 明日、城の裏にある飛行訓練所の芝地に行こう。そこで、実際に箒を使って教えてあげるから。」
「飛行訓練の授業やクィディッチの練習の時以外に、箒で空を飛ぶことは禁止されてなかった? 校則違反をするつもりかい?」
 アルバスが、スコープに対してというよりローズに対して、からかうように言った。
「・・ええ、そうよ。」 ローズは言った。
「スコープと友達になってから、ハグリッドが言ってたことがようやく分かりかけてきた気がする。規則を守るよりもっと大事なことが、世の中にはあるのよ。」

 翌日の午後、スコープとローズは城の裏手に広がる平坦な芝地に向かった。スコープは学校の箒を拝借するつもりだったが、芝地の隅にある箒置き場には鍵がかかっていた。
「確かに、生徒が勝手に飛ぶことを禁止している以上、鍵がかかってるのは当然だよな。そのことに思い当たらなかった僕が馬鹿だった。
 どうしたものかな・・」
 しかし、ローズは平然としていた。
「問題ないわ。私に任せて。」 ローズは杖を取り出し、鍵を杖で軽く叩いて呪文を唱えた。
「アロホモーラ(開け)」
 鍵がカチッと開き、戸が開いた。
「さすが。
 今度その呪文を僕に教えてよ。」 
 スコープは感心して言った。それから、出来るだけ上等そうな箒を選び、取り出した。

「飛行訓練の時間、君が飛ぶ姿を見せてもらったけど、君は箒で飛ぶことに対して恐怖心を抱いていないか?」 スコープはローズに言った。
「・・ええ。小さい頃にも箒から落ちたことがあるんだけど、そのトラウマだと思うわ。」
「そうか。それなら、まずはその恐怖心を払拭する必要がある。」 そう言いつつ、スコープは箒に跨り、地上70センチくらいのところで箒を静止させた。
「僕の後ろに乗って。」
「え?」 ローズは驚いた顔をした。
「いいから、乗って。今に意味は分かるから。」
「分かったわ・・」 
 ローズはおずおずと、どこか恥ずかしそうにスコープの後ろに跨った。
「しっかりつかまってて。」
 ローズはやはりためらいがちに、それでもしっかりとスコープの胴に手を回した。それを確認すると、スコープはいきなり箒を急上昇させた。箒はぐんぐんと地上から遠ざかっていき、程なくして雲間に到達した。ここまで高く上がれば、先生に見つかる心配もない。だがローズは、今や痛いほどにスコープにしがみついていた。
「怖いのかい?」 スコープはからかうように言った。「意外と可愛いところがあるんだね。」
「こんな時にからかわないで!」 ローズは悲鳴に近い声で言った。
「分かったよ。
 じゃあ、これからかなりスピードを出して飛ぶけど、引き続きしっかりつかまっててね。絶対に手を放しては、駄目だよ。」
 言うなりスコープは、箒が許す限りのスピードで雲間を飛び始めた。 ローズは悲鳴を上げた。一方スコープは、澄み切った大気が身を切るように過ぎ去っていく爽快感を感じていた。−−やっぱり、空を飛ぶって素晴らしいことだ!−−  
 程なくして、ローズの悲鳴もおさまった。
「スコープ、知ってた? 古代ギリシアのマグルの間では、ケンタウルスは雲から生まれたとされていたそうよ。」 ローズが言った。高速飛行にも慣れたようだ。
「マグルの歴史についての本には時々、彼らの間に伝わる神話が載っていることがあるから僕も少しはマグルの神話について知ってるけど、それは初耳だな。
 それにしても、マグルの想像力ってすごいと思わないかい? 魔法が使えない分、思考力は僕達魔法族より上なのかもしれない。というより魔法に頼れないからこそ、困難に遭遇した時は頭でいろいろ考えて解決策を練らねばならないわけだから、思考力が向上するのも当然だ。」