二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.21 )
- 日時: 2012/09/30 17:36
- 名前: ウルワルス (ID: AzyLAkTK)
「だからこそ、マグルは『産業革命』に成功し、魔法族が思いもよらないような便利な機器を次々と開発することができたのかもしれないわね・・」 ローズは一度言葉を切り、不意に話題を変えた。
「ホグワーツ特急の中で最初に会った時、あなたはサウロス・マルフォイやレストレンジとは親戚だと言ってたわね?」
「あいつらとは血縁関係があるだけで、人格も思想もやつらとは違う。そのことは、君もよく分かったはずだ。」
「もちろん、よく分かってるわ。だけど、マグルに関するあなたの発言を聞いて思ったの。何によって、あなたとサウロスやレストレンジとの違いが生じているんだろうって。」
「それは・・生まれついての性質にもよるだろうし、親の教育にもよっているだろうね。」 スコープは答えた。
「自分で言うのもどうかと思うけど、僕の父上は立派な人だよ。サウロスの父のトード・マルフォイや、ヴァレンティンの父のオーガスティン・レストレンジなんかとは違って、マグルに対する差別意識は少しも抱いていないしね。
ところで、飛ぶことに対する恐怖心は大分薄れてきたんじゃないか?」 スコープは、会話の間も箒を飛ばし続けていた。
「確かに、その通りだわ。後ろに乗るように言ったのは、これが目的だったのね。・・あなたは本当に素晴らしい先生よ。」
「そう言ってもらえて光栄だよ。では、そろそろ地上に戻ろうか。」
スコープは、今度は全速力で急降下した。ローズは叫び声を上げたが、悲鳴というよりは、むしろ楽しんでいる感じの声だった。
*
入学から2ヵ月が経ち、11月に入ると、とても寒くなった。11月には、第2週に寮対抗クィディッチ杯のグリフィンドール対スリザリン戦が行われる。クィディッチの練習は追い込みに入っていた。試合には出ないことになってはいたが、スコープもアルバスもこの頃にはかなり上達していた。
ついに、試合当日である11月の第2土曜日がやって来た。11時には、学校中がクィディッチ競技場に詰めかけた。スコープは、アルバス、ローズを始め、フランク、ラウル達グリフィンドールの1年生と一緒に観客席の最上段に陣取った。
選手達が入場してくると、観客席からは大歓声が湧き起こった。中でもグリフィンドール・チームのキャプテン、ビクトワール・ウィーズリーは、シルバーブロンドの髪をなびかせ、一際美しく輝いて見えた。
審判のウッド先生の指示で両チームのキャプテンが握手した。スリザリン・チームのキャプテン、ガイアス・フリントは、まるでビクトワールの手を握りつぶそうとするかのようだったが、彼女の表情はまったく変わらなかった。
試合が始まった。まずビクトワールがクアッフルを取り、たちまち先制点を入れた。グリフィンドールのチェイサーの連携は抜群で、10分もしないうちに両チームの間には50点の差が生じていた。
その後も試合はグリフィンドール優位のまま続いたが、それまでスニッチを探して空中を飛び回っていたジェームズが、不意に急降下を始めた。スリザリンのシーカーもそれに続いた。
「ポッターがスニッチを見つけたようです!」
実況の声が響いた。スコープは双眼鏡でジェームズの動きを追った。だが、ジェームズの行く手にスニッチは見あたらない。
「これはウロンスキー・フェイントだ・・」 スコープはつぶやいた。
「何、それ?」 ローズが言った。
「そんな。下手すれば自分もダウンしてしまうぞ。」 アルバスが心配そうに言った。
しかし、ジェームズは地面すれすれのところで唐突に方向転換し、再び上昇した。一方、敵シーカーは方向転換に失敗し、地面に激突した。
「ポッターはスニッチを見つけたわけではありませんでした。敵シーカーを引っかけたかっただけなのです!」
実況が訂正し、グリフィンドール席からは歓声が、スリザリン席からはブーイングが巻き起こった。
「それにしても見事なウロンスキー・フェイントでした。とても2年生とは思えません。さすがは『ポッター家の血筋』と言うべきか!」
まもなく、ジェームズが本当にスニッチを見つけて首尾良く捕まえ、グリフィンドールは260対40で大勝した。