二次創作小説(映像)※倉庫ログ

『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.23 )
日時: 2016/06/29 01:09
名前: ウルワルス (ID: LF8j4K3p)

 ホグワーツ特急は、夕方にはロンドン、キングズ・クロス駅の9と4分の3番線に到着した。
「新年に、また会おう。」
 スコープは列車から降りてアルバスとローズにしばしの別れを告げると、家族の姿を探し始めた。





            *




 ドラコ・マルフォイは、妻のアステリアと共に、息子がホグワーツ特急から降りてくるのを待っていた。自分と同じプラチナブロンドの髪をした息子は、大勢の人の中に紛れていても、目につきやすい。程なくして、息子スコーピウスがこちらに近付いてくるのが見えた。
「父上、母上。お久しぶりです。」 
「元気だったか?」 ドラコは言った。
「何事もなかったようで、安心したわ。サウロス達との間で問題を起こさないかと、心配で・・」 アステリアが言った。
「あんな下等な連中を、僕が相手にするわけないじゃないか。
 それより、ナターシャは? また体調を崩してるの?」
 スコープは、妹の姿がないのを気にしている。
「今朝から、熱が出てね。」 ドラコは答えた。
「レヴァルが看護している。『お兄様のお迎えにはぜひ行きたい。お兄様の友達にも会えるかもしれない』と言って、楽しみにしていたのだが。」
 ちなみにレヴァルとは、マルフォイ家に仕える屋敷しもべ妖精である。

「グリフィンドールに配属されたそうね。」 親子3人で駅の出口に向かう途中で、アステリアが言った。「友達はできた?」
「うん。グリフィンドールの1年生とは、大体仲良くなったよ。中でも一番の親友は、アルバス・ポッターとローズ・ウィーズリーかな。」
 ドラコは驚いて、妻と顔を見合わせた。
 アルバス・ポッターとローズ・ウィーズリーが、良くも悪くも忘れようがないかつての「宿敵」達の子であることを、ドラコは知っていた。魔法省に勤めるドラコは、廊下やエレベーターの中で偶然彼らに出会すことが時々あったからだ。
 ハリー・ポッター、ロナルド・ウィーズリーとは、互いに会釈する程度で会話したことはなかったが、ハーマイオニー・グレンジャー(現在の姓はウィーズリー)とは、互いの職務や家庭について話すことが何度かあった。ドラコは、12年前のハーマイオニーとの会話を思い出した。


           *


「あら、ドラコ。しばらくだったわね。」 
 12月上旬のある日、休憩時間中に廊下で会った時、ハーマイオニーはそう言った。ハーマイオニーとは、それまでの数ヶ月間会っていなかった。そのせいか、ドラコはすぐに彼女の変化に気付いた。
「『おめでた』かい?」 いささか不躾な質問だとは思ったが、そう尋ねた。
「ええ。見ての通り。でなきゃ、マグルの言う、いわゆる『メタボリック・シンドローム』ということになるわ。」 
「何ヶ月になる?」
「今月で満6ヶ月になるわ。そろそろ産休をとるつもり。」
「そうか。実は・・」 言いかけて、ドラコは口をつぐんだ。これを言うのは、何だか気恥ずかしい。
「『私の家内も妊娠している』とでも言いたいの?」 ハーマイオニーは、悪戯っぽく微笑みながら言った。
「・・ああ。まだ3ヶ月だが。
 ところで、6ヶ月ということは、そろそろ性別が分かる頃だろう? 調べてもらったかい?」
「女の子だそうよ。」 ハーマイオニーは、愛おしそうに腹部に手を当てた。「ロンは男の子が欲しかったみたいだけど。」
「2人とも若いんだから、まだまだチャンスはあるさ。名前は決めてるのか?」
「『ローズ』にするつもり。」
「『薔薇』か・・」
「私、こう見えても薔薇の花が好きなの。
 ところで、気が早いようだけど、子供が11歳になったらどこの学校に入れるつもり? まさかダームストラングに入れたりしないわよね? もちろん、ダームストラング生や教師のすべてが悪い人ではないことは分かってるけど・・」
「ダームストラングには入れない。」 ドラコはきっぱりと答えた。
「生まれてくる子がスクイブでない限り、ホグワーツに入れるつもりだ。」
 それを聞いて、ハーマイオニーは微笑んだ。
「もしかしたら、私達の娘とあなたの子供はホグワーツで知り合って、友達になるかもしれないわね。そう言えば、ハリーとジニーに2番目の子供ができたそうよ。昔の私とロンとハリーみたいに、3人で一緒に行動することになるかもね・・」


            *


『彼女の言葉が本当になるとはな・・』
「父上?」 スコープの言葉で、ドラコは我に返った。
「そんなに驚きましたか? まあ、無理もないですね。僕自身、まさかハリー・ポッターの御子息と友達になるなんて思っていなかったから。
 ところで、僕は彼らにクリスマスプレゼントを贈ろうと思うんだけど、明日ダイアゴン横丁に買い物に行ってもいいですか?」
「・・ああ。もちろんだ。」 ドラコは答えた。








補足
・ハーマイオニーは、妊娠 満10ヵ月で出産した。
・スコーピウスの誕生月は7月、ローズの誕生月は4月