二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.25 )
日時: 2012/12/03 13:05
名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)

 スコープは両親と共に駅から出た。しばらく歩き、人通りが少ない地点まで来ると、父に家まで「付き添い姿現し」をしてもらった。

「お帰りなさいまし、御主人様、奥様。
 お久しぶりでございます、スコープぼっちゃま。お元気そうで何よりでございます。」
 屋敷僕妖精のレヴァルが玄関まで出迎えに来た。
「ただいま、レヴァル。早速だけど、ナターシャは?」
「お嬢様のお熱は、だいぶお引きになりました。お話ししても大丈夫だと存じます。」
 スコープはナターシャの部屋に向かった。

 スコープは、まず部屋のドアをノックした。いくら妹とはいえ、女性の部屋にノックもせずに入るのは不躾だろう。
「ナターシャ、僕だ。入っていいかい?」
「お兄様。」 ナターシャの嬉しそうな声が聞こえた。「どうぞ、お入りになって。」
 ナターシャは、ベッドの上で上半身を起こしていた。背中の中程まで届く髪は父兄と同じプラチナブロンドで、目は明るいブルーだ。
「発熱したと聞いたけど、思ったより元気そうでよかった。」
「お兄様のお迎えに行けなくて、残念です。お兄様のお友達にも、お会いしたかったのに。」
「どのみち、会えるさ。お前も2年後には、ホグワーツに入学するんだからね。」
 だが、スコープの言葉を聞いてナターシャの表情は暗くなった。
「私には、無理です・・」
「どうして?」
「私は病弱でしょっちゅう熱を出すし、そもそも歩くことさえできません。」 ナターシャは、ベッドの横に置いてある車椅子に目をやった。−−ちなみに、この車椅子には魔法がかけられていて、乗り手の意思に従って自動で動く。段差のあるところでは、浮遊させることも可能。−−
「学校に行けなくても、構いません。お母様やレヴァルがそばにいてくれますから。それに、お父様もお兄様も、お仕事や学校がないときは、こうしてそばにいてくださる。私はこれ以上高望みはしません。」
 ナターシャはその体のせいか、随分と悲観的な少女だった。
「・・大丈夫だ。サウロスやヴァレンティンみたいに、お前にひどいことを言ったり危害を加えたりするようなやつがいれば、僕や友人達がそいつに呪いをかけてやるから・・」
「お気持ちは嬉しいです。だけど、私のせいでお兄様や友人方が誰かを傷つけることになったら、それこそ耐えられません・・」
 スコープはため息をついた。
「2年後には、きっとお前の気持ちも変わってるさ・・」
 その時、レヴァルが体調の悪いナターシャのために、食べやすい食事を持ってきた。 「お夕食でございます、お嬢様。」
 それから、レヴァルはスコープに対して言った。
「ぼっちゃまにも、お夕食の準備ができました。御主人様と奥様は既に着席なさっています。ジェレイントには新鮮なお魚を与えました・・」
「分かった、今行くよ・・」


            *


 翌日、父からガリオン金貨の袋を渡されたスコープは、フルーパウダーを使ってダイアゴン横丁に向かった。スコープはまず「高級クィディッチ用品店」に向かった。アルバスへのプレゼントを買うためだ。
 来年度に備えて競技用箒を贈ろうかとも思ったが、やめておいた。さすがに子供の一存で買うのはどうかと思ったし、来年度のクィディッチシーズンまでに新型が出るかもしれないからだった。結局、ドラゴンの皮でできた特別丈夫な練習用クアッフルを買うことにした。

 次にスコープは、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店に向かった。読書が趣味だと言っていた、ローズへのプレゼントを買うためだ。スコープは、歴史書『アーサー・ペンドラゴンとその時代』を購入した。