二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.26 )
日時: 2012/10/13 15:45
名前: ウルワルス (ID: visZl1mw)

 友人へのクリスマスプレゼントを買うというさしあたっての目的は果たしたが、金はまだたくさん残っていた。スコープはショッピングを続け、菓子屋では「蛙チョコレート」一箱と「百味ビーンズ」を購入した。
 スコープはふと、ある店の前で足を止めた。店の看板には「リトス宝石・装身具専門店」とある。ショウウインドウには、指輪、ネックレス、ブレスレットなどが展示してある。それらを装飾する宝石は、1つ1つが様々な色に輝いていた。スコープは、説明書きに目をやった。

−−本店で扱う宝石には変身術がかけられており、持ち主の服装に合わせてもっとも理想的な色にその都度変化します−−

『ローズも女の子だから、案外こういうのが好きかもしれないな。』
 そんな思いつきが、スコープの脳裏をよぎった。それに、クリスマスに歴史の本を贈るというのは、あまり気の利いたことではないのかもしれない。
 スコープは、赤く輝く宝石が金で縁取りされたブローチに目を留めた。数秒後、宝石は緑に、縁取りは銀色に変わり、さらにその後、宝石はブルーに、縁取りは赤銅色に変化した。値札には「20ガリオン」と書かれている。今日既に買った物の合計金額より高い。
『少し高いけど、まあいいか。』 
 結局、スコープはそのブローチを購入した。応対した店員は、10代前半の子供が20ガリオンもの大金を平然と支払ったことに、随分と驚いていたが。

 袋の中には3分の1ほど金貨が残っていたがスコープはそろそろ帰ることにし、フルーパウダーを使って帰宅するため、暖炉があるパブ・「漏れ鍋」に向かって歩き始めた。
 だがいくらも進まないうちに、突然視界が真っ暗になった。じきに方向感覚も無くなってしまい、スコープは暗闇から逃れようと手探りしながら必死で動き回った。
「どうだ!? 最新版インスタント煙幕『ダークネス』の威力は!」
 スコープの耳に、馴染みのある声が聞こえてきた。
「初回販売と言うことで、今なら特別に半額で手に入るぞ! さあ、買った買った!」
「僕、買うよ!」
「僕も買う!」
 口々にそれに答える声がした。声の調子からすると、スコープよりも年下のようだ。せいぜい7、8歳くらいだろうか。
「フレッド。商売熱心なのは結構だけど、まずはこの煙幕を消した方がいいんじゃないの?」 
 やはり聞き覚えのある声がしたと思うと、唐突に視界が晴れた。
「スコープじゃないか!」
 グリフィンドール・クィディッチチームの先輩、フレッド・ウィーズリーが言った。フレッドの傍にはジェームズ・ポッターとルイス・ウィーズリーもおり、3人の周りを7、8歳くらいの子供達が取り巻いていた。
「先輩達、通りの真ん中で一体何をしてるんですか?」
 スコープは、幾分非難の意も込めて尋ねた。
「親父の店の新商品の宣伝さ。」 
 フレッドが答えた。彼の父親は、このダイアゴン横丁で「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」という悪戯グッズ専門店を経営している。
「僕とルイスはアルバイトだ。」 ジェームズが言った。
「来年度は、最新型の箒でクィディッチをプレイしたいからね。お金を貯めてるんだ。」
「ジェームズときたら、今年度のシーズンもまだ終わってないのにこんなことを言うんだよ。」
 ルイスが言った。ちなみに、彼はクィディッチチームのメンバーではない。ジェームズに付き合っているだけなのだろう。
「君の姉さん・ビクトワールがいる以上、グリフィンドールの優勝は決まってるようなものさ。彼女がチームに入ってから、グリフィンドールは連年クィディッチ杯を獲得してるんだろ?」 ジェームズが言った。
「姉さんは天才だからね。現時点で、『ホリヘッド・ハーピーズ』にスカウトされるくらいだから。」 ルイスが言った。「そう言えば、ジニー叔母さんも結婚する前はハーピーズの選手だったんだよな?」
「今の体型からは少し信じられないけどね。」 ジェームズが言った。
「とにかく、スコープ。グリフィンドール・クィディッチチームは過去5年間不敗を誇ってきた。僕という優秀なシーカーも入ったことだし、今年度もそうなるだろう。だからこそ君とアルには、来年度無様なプレイをすることは許されないぞ。」 
 ジェームズの口調は、このようにある程度真面目な台詞を発している時でさえ、どこかおどけた調子だったが、スコープは深刻に受け止めた。
「分かっています・・」
「そんなに深刻に受け止めるなよ。」 ルイスが笑いながら言った。
「姉も兄も、君達の上達の度合いは半端じゃないって言ってたぜ。」
「お前ら、バイトに来てるのならちゃんと仕事しろよ。親父に報告するぞ?」
 ジェームズとルイスが話している間に、「インスタント煙幕『ダークネス』」を完売したフレッドが言った。