二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 第一部 ( No.28 )
- 日時: 2012/10/21 16:39
- 名前: ウルワルス (ID: visZl1mw)
ローズ・ウィーズリーが目を覚ますと、ベッドの足下に置かれた小さなプレゼントの山が目に入った。ローズは急いで寝間着から着替えると、プレゼントの包み開けに取りかかった。
両親からは新しい羽ペン、叔母夫妻(ハリーとジニー)とアルバスからは様々なお菓子、父方の祖母からは手編みのセーター、母方の祖父母からはハナハッカ味の歯磨き粉が贈られていた。最も楽しみにしていたスコープからのプレゼントは、「百味ビーンズ」一袋と、『アーサー・ペンドラゴンとその時代』というタイトルの歴史の本だった。ローズは思わず苦笑した。いかにもスコープらしい。
早速本を開いて読み始めると、ページの間から何か光る物が落ちた。それは、美しいブローチだった。ローズが手に取ってしげしげと眺めると、ブローチは次々と様々な色合いに輝いた。
スコープが、自分のことを友人としか思っていないことは分かっていた。このブローチにしても気軽な気持ちで贈った物で(マルフォイ家は資産家であるから、金銭的にも「軽い」気持ちだったろう)、特に他意はないのだろう。
それでも、このブローチを着け、綺麗なドレスを着てスコープとワルツを踊る3、4年後の自分を想像せずにはいられなかった。スコープは紳士的であるし、脚も長いから、燕尾服やタキシードがよく似合うに違いない・・
突然、誰かがローズの手からブローチを取り上げた。
「これ、誰から贈られてきたの? もちろん、姉さんのボーイフレンドからだよね?」
ローズが想像に耽っている間に部屋に入ってきた弟のヒューゴが、勝ち誇った顔付きでブローチを手にしていた。髪の色はローズと同じ栗色だが、顔立ちは姉とは違い、どちらかというと父親似だ。
「友達からよ。それより、そのブローチを返しなさい!」
「やーだよ! パパとママに報告してくるね!」
両親には、特に父親には、知られたくなかった。部屋のドアに向かって駆け出したヒューゴに対し、ローズは杖を向けた。
「ロコモーター・モル−−」
だが、「脚縛りの呪い」を唱えかけたところで、未成年者が学校の外で魔法を使うことは禁じられていることを思い出した。仕方なく、ローズは既に部屋の外に飛び出したヒューゴの後を追った。
ヒューゴは、両親がいるリビングに向かった。
「パパ、ママ! 見てよ!」
「ヒューゴ、いい加減にしなさい!」 ローズが後ろから言っても、ヒューゴにはどこ吹く風だった。
「姉さんが、ボーイフレンドからこんな物を贈られたんだって!」
「何だって?」
父は、興味津々でヒューゴの方に身を乗り出した。一方、母はヒューゴからブローチを取り上げ、その頬をぴしゃりと叩いた。
「人の物を勝手に取るのは、泥棒の始まりよ。それから、ある程度の敬意は払いなさい。ローズはあなたのお姉さんなのよ。」
母は、ローズにブローチを返してくれた。
「贈り主の名前くらいは、教えてくれてもいいんじゃないか?」 父が言った。
「確か、包み紙には『スコーピウス・H・マルフォイより』って書いてあったよ。」 まったく懲りていない様子でヒューゴが言った。
ガシャン!
父が、ティーカップを取り落とした。
「ローズ。お前、マルフォイの息子と付き合っているのか?」
「友達として仲良くしてるだけよ。」 ローズは答えた。
「前にも言ったが、マルフォイ家の連中とは仲良くしない方がいい。あの家門には色々と曰くがある。お前が仲良くしているスコーピウスにしても、その父と祖父は『例のあの人』に仕える『デスイーター』だったんだぞ。」
「少なくとも、ドラコは昔の彼とは違うわ。」 母が言った。
「一昨年トランシルヴァニアで純血支持法が撤廃されたことについて、国際魔法使い連盟特使としてのドラコの尽力が大きかったことは、あなたも知っているはずよ。」
「だが、あいつの父親も立派な世間体を取り繕っていたじゃないか。裏でどんな悪事をはたらいているか、分かったものじゃない。
現に、ソマリアの魔法省に対して私的に金をばらまいたという噂もあるぞ?」
「ソマリアの魔法族の子供達が、サウディアラビア国内にある魔法学校に通うためのポートシステムを建設する資金として、提供したのよ。資金の提供が私的にならざるを得なかったのは、マクラーゲンが『野蛮人に払う金はない』ことを理由に公的な資金提供を許可しなかったせい。
それに、思い出して。6年生の時、彼は『あの人』にダンブルドアを殺すよう命令されてたわね? ハリーによれば、失敗したら両親共々殺されるとも、言われてたそうよ。だけど結局、彼は自分ではダンブルドアを殺さなかった。自分と両親の命が懸かっていたにも関わらず。」
・ポートシステム
大人数を、1度に遙か遠くまで安全に、一瞬で移動させるシステム。空間自体を「ポートキー」にする魔法を自動でかける。