二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜   第一部 ( No.35 )
日時: 2012/12/21 12:09
名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)

 夕食の席で、スコープとローズ宛に手紙が届いた。

−−予定通り、処罰は今夜行う。11時に玄関ホールに来ること。−−


 午後11時、スコープとローズが玄関ホールに行くと、そこには管理人がいた。森の外れにあるハグリッドの小屋まで2人を送る道中、管理人は禁じられた森にまつわる恐ろしい話を散々聞かせてくれた。ローズは大して気に留めていないようだったが、スコープは森に入るのが恐ろしくなってきた。

「2人とも、一体何をしでかしたんだ?」
 管理人から2人を引き取り、森に向かいながら、ハグリッドは尋ねた。2人が事情を説明すると、彼はノットに対して大いに憤慨したが、同時に感動しているようでもあった。
「ロンとハーマイオニーの娘と、ドラコの息子が、ここまで親密な関係になるとはな・・」
「どういうこと?」 ローズが尋ねた。
「私の両親はスコープのお父さんのことを、学生時代からの知り合いみたいに話してたけど、どういう関係だったの?」
「僕の父上は、君の母上、ハーマイオニー・ウィーズリー女史とは、ホグワーツの同級生だったみたいだよ。」 スコープは言った。
「じゃあ、スコープのお父様は私の父とも同級生だったってことね。両親は同年だから。」
「ことわっておくが、お前さん達の親同士は、仲が良いといえるような関係ではまったくなかったぞ。」
 ハグリッドが言った。
「父上はスリザリン生だった。ローズの御両親は、きっとグリフィンドールの出身だよね?」
 スコープは言った。
「ええ。」
「だったら、仲良くなれるわけがない。だけど、もし父上がグリフィンドールに配属されていたら、きっとローズの御両親と友達になっていたと思うよ。ローズの母上はマグル出身みたいだけど、父上は一族の者達とは違って、純血主義者ではまったくないからね。」
「・・そういえば、3年前にトランシルヴァニアで純血支持法が撤廃された際には、ドラコの尽力が大きかったそうだな・・。」
 ハグリッドが言った。
「だが、スコープ。親父さんは、自分の学生時代についてはあんまり話さないんじゃないのか? 違うか?」
 3人は大分前に森の入り口に着いていたが、立ち止まって話し続けていた。
「僕が学生時代の父上について知っているのは、スリザリン生だったこと、ハリー・ポッターやウィーズリー女史と同級生だったこと、クィディッチ・チームのシーカーだったこと、監督生だったこと、くらいでしたが・・これだけ話してくれたら充分ではないですか?」
「そ、それもそうだな。どのみち、俺がとやかく言うようなことではないし・・」
「あそこの地面の上にある、あの光った銀色のものは何?」 不意にローズが言った。
「ああ、あれはユニコーンの血だ。」 ハグリッドが言った。
「先週に2回発見された。今日で3回目だ。何者かに襲われたに違いない。」
「ユニコーンは、とても動きが素早いんでしょう? ユニコーンを襲える程の生き物が、この森にいるの?」
 ローズが尋ねた。
「実は、今から26年前にも、同じことがあった。」 ハグリッドが言った。
「その時にユニコーンを襲っていたのは、何者なんです?」 スコープは尋ねた。
「・・・『名前を言ってはいけないあの人』だ。」
「じゃあ、今回の襲撃の犯人は別の人物、或いは生き物ってことになるわね。『あの人』はハリー叔父さんに退治されたんだから。」
 ローズが言った。
「ああ。だが、気をつけてくれ。それに、ユニコーンが襲われただけじゃない。年が明けてからというもの、森全体の雰囲気が何となくおかしいんだ。先週ケンタウルス達に会ったんだが、彼らも同じことを感じているらしい。
 では、そろそろ行くとするか。襲われて苦しんでいるであろうユニコーンを、助けてやらねばならん。」
 少し歩くと、道が二手に分かれていた。
「二手に分かれよう。俺は左の道を行くから、2人は右の道を行ってくれ。ユニコーンを見つけたら緑色の光を、もし危険な状態に陥ったら、赤い光を打ち上げてくれ。
 じゃ、気をつけてな・・」

「ルーモス(光よ)」
 2人は杖先に灯りを点し、歩き始めた。森は真っ暗で静まりかえっていた。何も脅威は感じられなかったが、スコープの恐怖は森の中を進むにつれ、ますます昂じていった。森に入るのはもちろん今夜が初めてだったが、ハグリッドの言うとおり、何かがおかしい、異常だという感じは拭えなかった。何か、本来いてはならない生き物が、この森にいる・・・。
 突然ローズが、スコープのローブの袖を引っ張った。
「見て・・」 ローズは囁いた。