二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.41 )
- 日時: 2012/11/30 16:34
- 名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)
西暦2018年8月18日−−−
「もう準備はできたよ、父さん。」
家の3階にある自室で荷物をまとめたアルバス・ポッターは、1階のリビングに下りて言った。今日から1週間、アルバスは従姉妹のローズ・ウィーズリーと共に、ホグワーツ魔法魔術学校の学友スコーピウス・マルフォイ、愛称スコープの家に世話になることになっていた。アルバス、ローズ、スコープは、同じグリフィンドール寮に属している。
「じゃあ、そろそろ行くとするか。」 父・ハリーはそう言うと、自室に準備をしに行った。
ホグワーツに入学するまで、スコープは父のことをどこの家庭にもいるごく普通の父親だと思っていた。しかしホグワーツに入学して、魔法界の誰もが父を「近現代最強の闇の魔法使い・ヴォルデモートを倒した英雄」と讃えていることを知った。
同級生達は、当初は「英雄の息子」であるアルバスを特別扱いして親しく接しようとはせず、話がある時は馬鹿丁寧な物言いをした。グリフィンドール生と仲が悪いスリザリン生、特にその中心人物であるサウロス・マルフォイ、ヴァレンティン・レストレンジ、マヌイル・ノットにしても、アルバスに喧嘩をふっかけることは決して無かった。
当初からアルバスと対等に接してくれたのは、従姉妹のローズと幼馴染みのフランク・ロングボトムを除けば、スコープだけだった。彼も、当初は周囲から孤立していた。スコープもその一員であるマルフォイ家は、数百年来スリザリン生を輩出していた。グリフィンドール生の多くはスコープが自寮に相応しい資質を有するのか疑わしく思い、また、彼の少々キザな話し方もあってか、あまり親しくしようとはしなかった。
しかし、スコープがグリフィンドール生としての資質を示すのには入学後2週間もかからなかった。最初の飛行訓練の授業で、レストレンジらに箒から落とされ、15メートルの高さから地面に叩きつけられるところだったローズを、スコープは自分の身の危険も顧みずに救った。これ以降、規則を軽視する傾向があるスコープを嫌っていたローズも含めて、グリフィンドール生は彼と親しく接するようになった。
「マルフォイさんのお家は、ウィルトシャーのソールズベリー近郊にあるんでしょう?」
キッチンから、母・ジネブラが言った。
「箒で行くなら結構時間がかかるだろうから、お腹が空くことでしょう。アル、これを食べて行きなさい。」
母は、テーブルの上の、一切れのクリームケーキを示した。
「ありがとう、母さん。いただきます・・」
しかし、ケーキを食べるにつれ、アルバスは腰の辺りがむずむずするような感覚に襲われ、それが強まっていくのを感じた。最後の一口を食べ終えた時、妹のリリーが悲鳴を上げた。
「アル兄さん、その羽根どうしたの!?」
「羽根だって!?」
いきなり意味不明な質問をされ、アルバスは面食らった。
「あーあ、失敗か・・」
新学期からホグワーツの3年生になる兄のジェームズが言ったが、何故か顔がにやけていた。
「失敗って、何が? 2人とも何が言いたいんだい?」
「自分がどんな格好をしているか、鏡で見てみろよ。」
アルバスが洗面台に行って鏡を見ると、腰から背中にかけてクジャクの羽根が生えていた。アルバスは、クリームケーキを食べている時、腰に違和感を感じたことを思い出した。ジェームズが母の目を盗んで、ケーキに何か変な物を混ぜたに違いない。
「僕の新発明品『ピーコックリーム』の感想は、どうだい?」
血相を変えて戻ってきたアルバスを見て、ジェームズは言った。
「さっきのは試作品だから失敗したけど、完成品を使えばクジャクに変身することになる。WWWの商品として提供すれば、ジョージ伯父さんはボーナスをくれるだろうな。」
「そんなことどうでもいいから、早く取ってくれよ!」
「ジェームズ、あなたはまた たちの悪い悪戯をして!」
キッチンから母がとんできた。
「さっさと取ってあげなさい! アルはこれからお友達のところにお邪魔するんですからね!」
「アルにクジャクの羽根が生えていようが、スコープはそんなこと気にしやしないさ。」
ジェームズは落ち着き払って答えた。ちなみにスコープは、ジェームズにとってはクィディッチ・チームの後輩にあたる。
「僕が会うのはスコープだけじゃない! 御両親にも妹さんにもお会いするんだから、このままだと困るんだよ!」
アルバスは言った。
「へえ。お前、スコープの妹を狙ってるのか? 将来の恋人に、無様な姿は見せたくないと?」
「友達の妹とカップルになるって、素敵だと思うわ。」
リリーまでが、調子に乗り始めた。
「パパとママもそうだったのよね?」
「僕はそんな下心なんて抱いていない! それより、早くこの羽根を取れよ!」
「何の騒ぎだ?」
父がリビングに戻ってきた。