二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.42 )
日時: 2012/11/23 19:10
名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)

「ジェームズが悪戯して、アルの腰からクジャクの羽根が生えてきたのよ。」
 母が答えた。
「取ってあげるよう言っても、なかなか実行しないの。あなたからも何か言ってやって。」
「取ってあげたくても、出来ないんだよ。『解毒剤』はまだ作ってないんだ。」
 ジェームズは、いかにも残念そうに言った。
「3日もすれば自然に取れると思うけど・・」
「だったら、どうしてアルを実験台にしたの!」
 母の雷が落ちた。
「今後、WWWでアルバイトすることは許しません! それから、今までにアルバイトで稼いだお金はすべて没収です!」
「母さん、それはあんまりだよ。もう絶対にやらないから・・」
「その台詞は聞き飽きたわ!」
「どうする、アル?」
 ジェームズと母のやりとりを聞き流しながら、父が尋ねた。
「マルフォイさんのお宅に伺うのは、クジャクの羽根が取れてからにするかい?
 だが私としては、その羽根は結構いけてると思うがね。」
 アルバスは改めて鏡を見た。確かに、言われてみるとなかなか綺麗だ。
「父さんの言うとおりだよ、アル。」
 ジェームズが、救われたように言った。
「そもそも、クジャクの羽根が美しいのは求愛のためなんだ。だからスコープの妹さんも、お前の求愛にきっと応えてくれると思うよ。」
「だから、そんなやましい下心は抱いてないって・・」
 そう言いながらもアルバスは、クジャクの羽根をつけたままマルフォイ家に行く気になっていた。



 家を出たのは昼過ぎだったが、全速力で箒を飛ばしたところ、夕暮れ時にはマルフォイ家の屋敷が見えてきた(住所は、互いにプレゼントを贈るため、昨年のクリスマス前に教え合っていた)。屋敷の手前にはかなり広い庭があり、高い塀で囲まれていた。
 父が門を叩くと、小さな人型の生物が「姿あらわし」した。アルバスはそれが屋敷僕妖精だと分かった。ポッター家にも僕妖精がいたからだ。
「ようこそお越しくださいました、ポッター様。」
 僕妖精は、深々とお辞儀をして言った。
「どうぞお入りください。ウィーズリー様は既にご到着なさっています。」

 アルバスが住んでいるグリモールド・プレイスの屋敷*1 ほどではないものの、マルフォイ邸*2 も相当大きな屋敷だった。アルバスは父と共にダイニングルームに案内された。テーブルには、既に6人が着席していた。
「ようこそ、我が家へ。ポッター殿。」
 スコープによく似たプラチナブロンドの男性が立ち上がり、挨拶した。
「遅いぞ、ハリー。」
 赤毛の男性が言った。ローズの父親、ロナルド・ウィーズリー氏だ。娘を送ってきたのだろう。
 アルバスの父とは学生時代からの親友で、義兄でもある。父が局長を務める魔法省魔法法執行部闇祓い局に所属しており、上司と部下の関係でもあった。
「久しぶりだね、ドラコ。直接話すのは何年ぶりかな。」
 父はマルフォイ氏に応えた。
「私は、ドラコの御厚意に甘えて夕食を頂いていくことにした。」
 ウィーズリー氏が言った。
「年代物のトスカナ産高級ワインがあるそうなんだ。これを逃す手はないぞ。」
「パパ。マルフォイ御夫妻の前で、そんなやましいこと言わないで。」
 ローズが言った。
「だから私は、付き添いはママの方がいいって言ったのに・・」
「私は、自分からついて行くと言ったわけではないぞ。ハーマイオニーが、過去のことを完全に水に流すためにもあなたが行く必要があると、そう言ったからだ。」
「わたくしどもの紹介はまだでしたわね、ポッターさん。」
 マルフォイ夫人が言った。
「ドラコの妻のアステリアです。こちらは息子のスコーピウス。」
 スコープが立ち上がり、アルバスの父に向かってお辞儀した。それからスコープは、アルバスに笑みを向けた。
「こちらこそ、よろしく。ご子息には、ここにいる息子のアルバスが、いつもお世話になっております。」
 父は、マルフォイ夫人に言った。
「それから、娘のアナスタシアです。」
 マルフォイ夫人が言った。
「生まれつき足が不自由なため、立ち上がってお辞儀することはかないませんが・・」
 アルバスは、マルフォイ夫人の隣で車椅子に座っている、プラチナブロンドの髪に明るいブルーの瞳をした少女に目を向けた。少女、アナスタシア・マルフォイは、座ったまま父に向かって頭をさげた。それからアルバスに向かって、はにかんだような笑みを浮かべながら言った。
「素敵なファッションですわね、アルバス・ポッターさん・・」
 その口調には一欠片の皮肉も感じられず、心からの賛辞であることが感じられた。彼女の姿を見、彼女の声を聞いたアルバスは、一瞬で心臓を鷲掴みにされた。






*1 旧ブラック邸。クリーチャーによって美しく改装された。ちなみにクリーチャーは既に故人。

*2 原作に登場するマルフォイ邸とは別に、ドラコがマグルの館を改装したもの。