二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.48 )
日時: 2014/03/23 15:10
名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)

 約2時間後、クィディッチの練習を終えたスコープとアルバスを、ローズとナターシャが迎えた。スコープの両親は少し離れたところで、同じく休暇で来ていた魔法省の同僚夫妻と話し込んでいた。
「スコープ、これ・・」
 ローズは遠慮がちに、色とりどりの花冠を差し出した。
「ナターシャに教えてもらって、作ったの。あなたの髪の色に、よく映えるんじゃないかと思って・・」
「すごいな。魔法を使わずに、自分の手で作ったのか?」
 スコープは感心して言った。
「ええ。だけど、ナターシャが手伝ってくれなかったら・・」
「僕にはくれないの? スコープのためだけに作ったのかい?」
 アルバスが にやにや しながら言うと、ローズは赤くなった。
「あの、アルバスさん。」
 ナターシャが言った。
「もしよろしければ、私が作ったものをどうぞ。」
「え、あ、ありがとう。ナターシャ・・」
 今度はアルバスが赤くなり、しどもどになりながら礼を言った。
 友人達の赤面の理由は、スコープにはさっぱり分からなかった。
「そう言えば、ローズ。君は、『蛇生成・消失術』* を習得したいんだったね?」
 スコープは言った。
 「蛇生成・消失術」とは、父ドラコによればマルフォイ家に伝わる秘術だそうで、他家の魔法使いにとってはとても難しい魔法らしい。現に、名門校ホグワーツで学年トップの成績をとるほどの優秀な魔女であるローズでさえ、習得に苦労していた。ミミズを生成・消失させる程には上達していたが。
「この機会に、父上に直接教えてもらってはどうかな。」
「そうね。お戻りになったら、お願いしてみるわ。」

 
 父は快く指導を引き受け、ローズは2時間程練習を続けた。スコープも、術に磨きをかけるべく練習した。
 帰る頃には、ローズは遂に60センチ程の白い蛇を生成・消失させることができるようになった。スコープは、それまではヨーロッパヤマカガシやシマヘビ級の蛇しか出せなかったが、練習の結果全長約4メートルのキングコブラの生成・消失に成功した。


 マルフォイ一家とアルバス、ローズは、午後5時過ぎには屋敷に戻った。出発時にはまだ寝ていたウィーズリー氏は、留守番をしていたレヴァルによれば、10時頃に目を覚まし、レヴァルが作った簡単な朝食を済ますと(ローズはレヴァルに陳謝し、レヴァルは大いに恐縮した)、フルーパウダーを使って帰宅したとのことだった。
「そう言えば、アル。君の父上は何故、帰宅時にフルーパウダーを使おうとしなかったのかな?」
 父がアルバスに尋ねた。
「父は、フルーパウダーを使った移動が嫌いなんです。」
 アルバスが答えた。
「学生時代に、ダイアゴン横丁に行くつもりがノクターン横丁にとばされてしまって、そのトラウマだそうですよ。」
「偉大なハリー・ポッターでも、学生時代にはそういうミスを犯すことがあったんだね。」
 スコープは感慨深げに言った。


 その夜、スコープはなかなか眠れなかった。カムランの塚山の頂上で聞いた声について、考えていたからだ。

『己が何者であるかを思い出せ、スコーピウス・ヒュペリオン・マルフォイ・・我らの犠牲を忘れるな・・』

 「犠牲」というのは、538年のカムランの戦いで数多の戦死者が出たことを指すのだろう(カムランの戦いにより、魔法族の人口は半減したとさえ言われている)。だとすれば、「我ら」とは戦死者のゴーストだということになる。「我らの犠牲を忘れるな」とは、「我ら」が「犠牲」を払って純血主義者のモルドレッドと配下の軍勢を打倒した結果、マグルやマグル生まれの魔法使いが虐げられることのない今の世界があるのだということを忘れるな、という意味なのだろう。






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