二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.51 )
- 日時: 2012/12/23 11:25
- 名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)
それから1週間、スコープは「声」について考えるのをやめ、友人や家族と共に楽しく過ごした。日中は、屋敷の庭の池で魚釣りをしたり、ペットの闘蛇* ジェレイントと父が魔法で作り出した錦蛇を戦わせたり(結果はジェレイントの圧勝で、錦蛇はずたずたに引き裂かれた。なお、ローズ、ナターシャはともかくアルバスまでがこの遊びに嫌悪感を示したので、1回でとりやめにした)、アルバス、ローズと2対1でクィディッチをしたりした(ローズはお世辞にも上手いとはいえず、常にスコープ、アルバスのいずれかと組んだ)。
スコープとアルバスは宿題がまだ少し残っていたが、ローズの手伝いもあって程なく全て終えた。スコープはローズに頼まれ、彼女の魔法史のレポートに目を通した。もっとも、直すべき箇所は1つも無かった。
夕食後のひとときには、魔法省から帰宅した父も含めて、6人で魔法チェスのトーナメントを行ったりした。優勝するのは常にローズで、一番勝率が低いのはアルバスだった。ちなみに、アルバスの腰から生えたクジャクの羽根は、4日目の朝には全て抜け落ちた。
アルバスとローズが来てから1週間後の土曜日に、スコープ達は新学期に備えて買い物をするため、フルーパウダーを使ってダイアゴン横丁への入り口があるパブ・「漏れ鍋」に行くことになっていた。漏れ鍋は、グリフィンドールの同級生フランク・ロングボトムの母親によって経営されており、アルバスとローズはここで家族と落ち合う予定だった。
土曜日になった。両親とナターシャはまだ出かける準備を終えていなかったが、スコープはアルバス、ローズと共にいち早く漏れ鍋に向かった。
漏れ鍋の暖炉から出たスコープの目に真っ先に飛び込んできたのは、カウンターの真上の天井に取り付けられた、大きな板状の物体だった。その物体の表面では、プロクィディッチ選手達が飛び交っていた。最初は特大の写真が貼り付けられているのかと思ったが、写真上の人物は一定の動きを繰り返すだけであるのに対し、その物体上のクィディッチ選手達の動きに規則性は無かった。まるで実際のクィディッチ試合を見ているかのようだった。それに、実況の声まで聞こえた。
「どうしたの、スコープ? 後ろがつかえてるわよ。」
自分の後から漏れ鍋の暖炉に姿を現したローズに言われ、不思議な板に見入っていたスコープは我に帰り、慌てて道を空けた。ローズの後からはアルバスが姿を現した。
「久しぶりだね。アル、ローズ、それにスコープ。」
エプロンを着けた学友のフランク・ロングボトムが声をかけてきた。
「今年から、休暇中はここで働くことになったんだ。母1人じゃ大変らしいから。」
「お母様のお手伝いなんて、立派ね。」
ローズが言った。
「とうとうTVを取り付けたんだね。」
アルバスが言った。
「TV?」
スコープにとっては初めて耳にする単語だった。
「あれのことだよ。」
フランクが例の物体を指し示した。
「電波を利用して、遠隔地での出来事もリアルタイムで画面上に映し出すことが出来るんだ。例えばこのクィディッチ試合にしても、過去のものではなく、今まさにスコットランドの荒れ地で行われている試合と同一のものなんだよ。
元はマグルが発明した物で、最近はマグルの血を引く魔法族の間で需要が高まってる。この『漏れ鍋』にも取り付けた方がお客様にとってより良いサービスになると考えて、母は購入を決めたんだ・・」
「くだらない。所詮『穢れた血』の玩具じゃないか。」
暖炉の傍で話していた4人の背後から、気取った声が割り込んだ。声の主は、4人と同学年のスリザリン生で、金髪に青白い顔をした少年、サウロス・マルフォイだった。スコープの祖父ルシウスの弟の孫息子であり、つまりスコープにとっては又従兄弟に当たる。同じマルフォイ家に属するとはいえ、サウロスの一家は純血主義を信奉しており、スコープの一家とは対立関係にあった。
先程暖炉から現れ、フランクがTVについて説明するのを聞いていたのだろう。
「それにしても、ロングボトム。君のその格好は何だい? うちの屋敷僕妖精とそう変わらないじゃないか。」
「とっととここから出て行け、マルフォイ! お前がいたら、この場が穢れるんだよ。」
フランクが言った。
「この『混血』と比べてもかい?」
サウロスは、ローズの方に顎をしゃくった。
「ロングボトム家も落ちぶれたものだな。『穢れた血』の玩具を嬉しげに展示するとはね。闇の帝王がお戻りになった暁には、相応の罰をお与えになるだろうよ。」
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