二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.54 )
日時: 2012/12/29 18:39
名前: ウルワルス (ID: fS.QmYjo)

「随分と待たせてしまったようね。ごめんなさい。」
 ローズの母親、ハーマイオニー・ウィーズリー女史が言った。
「ここに来る途中で、『服従の呪文』をかけられたマグルに発砲されたの。その後始末に時間をとられちゃって。目撃したマグル達に『忘却術』をかけなくてはならなかったから・・」
「『発砲された』って、どういうこと?」
 スコープは隣に座っているローズに小声で尋ねた。
「『発砲』というのは銃を撃つこと。銃というのは、マグルが使用する武器のことよ。」
「それって、大変なことじゃないか。どうしてみんな落ち着いてるんだ?」
「別に、今日が初めてじゃないの。ママは純血主義者に命を狙われてるから。」
「そんな・・」
「心配しないで。ママはとっても優れた魔女で、戦闘用や防衛用の魔法もたくさん知ってるから、テロリストなんかに殺されたりしないわ。」
「そのマグルに『服従の呪文』をかけて君を襲わせたのは誰か、見当はついてるかい?」
 ポッター氏がウィーズリー女史に言った。
「オーガスティン・レストレンジでしょうね。純血支持諸法の撤廃の際には、いつだって強硬に反対していたわ。」
「何ですって!?」
 スコープは思わず大声で言ってしまった。ウィーズリー女史がスコープの方を向いた。
「はじめまして、スコーピウス。到着早々に物騒な話を聞かせてしまって、ごめんなさいね。
 ローズの母のハーマイオニーです。こっちは息子のヒューゴ。」
「初めまして、お義兄(にい)様!」
「黙りなさい、ヒューゴ!」
 ヒューゴはスコープに向かって意味不明な挨拶をし、ローズが(何故か頬を染めながら)叱責した。
「君、かわいいね。名前はなんていうの?」
 ヒューゴは姉を無視し、ナターシャに話しかけた。
「アナスタシア・マルフォイです・・」
「ヒューゴ、初対面でそれはないんじゃない?」
 リリーが言った。
「ナターシャはドン引きしてるわよ・・」
 こうして、来る予定だった全員が集まり、賑やかな昼食が始まった。

「ところで、あなたはオーガスティン・レストレンジについて何か知っているの?」
 食事の途中で、ウィーズリー女史がスコープに尋ねた。
「僕達と同学年のスリザリン生に、ヴァレンティン・レストレンジってやつがいるのですけど、そいつの父親がオーガスティンなんです。」
「ヴァレンティン・レストレンジって、本当に嫌なやつよ。」
 ローズが母親に言った。
 ヴァレンティン・レストレンジはハンサムな黒髪の少年で、年の割に相当な女たらしだった。サウロス・マルフォイとマヌイル・ノットの親友で、サウロスとは従兄弟の間柄でもある*1 。
「女の子を口説き落としては捨て、また別の子を落としては捨て、を繰り返してるの。もっとも私に言わせれば、そんなやつに騙される子もどうかしてるけど。私も、去年言い寄られたことがあるんだけど・・*2 」
「君が、男子に言い寄られただって!?」
 スコープにとっても初耳だったが、ジェームズがこの話題に食い付いた。
「ローズ、君がかい!? 女子として何の魅力もない、君が!?」
「姉さんでも、冗談を言うことがあるんだね。」 ヒューゴも言った。
 ローズは、かなり赤くなって黙り込んだ。スコープは、見かねて言った。
「あの、ポッター先輩−−ヒューゴも−−。
 女の子に対してそのような口を利くのは、あまりに礼を失した行為ではありませんか?」
「・・分かったよ、スコープ。君がそう言うなら、もう言わないさ。」
 それからジェームズはヒューゴと顔を見合わせ、2人ともにやりとした。
「ありがとう、スコープ・・」
 ローズは、さっきよりも赤くなっていた。






*1 サウロスの母はオーガスティンの妹、ヴァレンティンの母はトードの姉。
*2 >>12