二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.56 )
- 日時: 2012/12/28 21:57
- 名前: ウルワルス (ID: fS.QmYjo)
9月1日がやって来た。スコープ、アルバス、ローズは、家族に別れを告げてホグワーツ特急に乗り込んだ。その直前、ハーマイオニー・ウィーズリー女史が、ホグワーツの制服に着替えた3人をプラットフォームに並ばせ、ローズが言っていた「スマートフォン」とやらで写真をとってくれた。
「それはマグル界の製品だろう? 写真はちゃんと動くのかね?」
スコープの父が尋ねると、
「設定をいじっておいたから問題ないわ。」
と、ウィーズリー女史は答えた。
昼食後、3人はあまり騒ぐ気にならず、スコープは歴史書『グリンデルバルドとヒトラー〜魔法界とマグル界の連動〜』を、ローズは『基本呪文集・2年生用』を読み、アルバスは買ったばかりであるにも関わらずSFⅡを磨いていた。そんな中、いきなりコンパートメントの扉が開き、サウロス・マルフォイ、ヴァレンティン・レストレンジ、マヌイル・ノットの3人が姿を見せた。
「ウィーズリー。先日、例の薄汚いパブで君と有意義な議論をさせていただいたことについて、お礼がしたくてね。」
コンパートメントの入り口で立ち止まったまま、サウロスが唐突に切り出した。
「受け取ってくれ。」
サウロスはローズの方に掌サイズの箱をほうった。ローズは素早く杖を取り出した。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)!」
箱はローズの杖先で停止し、彼女は箱をそうっと手にとった。
それを見たサウロスは一瞬舌打ちをしたそうな顔をしたが、次の瞬間にはわざとらしく鼻をひくひくさせ、言った。
「それにしても、このコンパートメントは臭うな。」
「『混血』がいるからだろう。」
マヌイルが嘲りの色を浮かべて言った。
一方ヴァレンティンは、コンパートメントに足を踏み入れアルバスから箒をひったくり、手にとって眺めた。
「SFⅡじゃないか。乗りこなせるのか?」
「汚い手で触るな、レストレンジ!」
「ふん。」
ヴァレンティンは箒を投げて返した。
「『汚い手で触るな』か。君に言われたくないね、ポッター。
死んだ君の父方のばあさんは、『穢れた血』だったそうじゃないか。つまり、君には穢れた血が4分の1流れてるってことだ。」
アルバスは杖を抜き、立ち上がった。
「落ち着いて、アル。」
ローズが制した。
「こいつらにそんな価値無いわ。」
「スコーピウス。こんな連中と付き合っているようでは、」
サウロスが言った。
「いつか後悔することになるぞ。」
スコープは答えることも、本から目を離すことさえもせず、ただ杖をサウロス達に向けた。
「サーペンソーティア(蛇出でよ)」
スコープの杖先から出現したキングコブラがサウロス達に向かって鎌首をもたげ、胸部を広げて威嚇の態勢をとった。
「うわああぁぁぁ!」
サウロスが悲鳴を上げ、背を向けて逃げ出そうとした。すかさずローズが例の箱をサウロス目がけて投げつけた。箱は見事サウロスの頭部に命中すると大きな音を立てて破裂し、彼の頭部がナメクジだらけになった。ヴァレンティンとマヌイルも、髪に大量のナメクジをくっつけたまま逃げていくサウロスの後を追った。
「思った通り、あの箱に『高圧縮呪文』をかけたナメクジをたくさん詰め込んでたみたいね。」
スコープ、アルバスと一緒に笑いながらも、ローズが冷静に分析した。
「『高圧縮呪文』をかけたものが入っている入れ物は、ちょっとした衝撃でも破裂してしまうの。マルフォイが投げてよこした時に直接手で受け止めていたら、私の顔はナメクジだらけになってたでしょうね。」
「さすがローズ。
それにしても、スリザリン生の癖して蛇を怖がるとはね。自寮のシンボルじゃないか。
ではコブラ君、お役目御苦労。ヴィペラ・イヴァネスカ(蛇よ消えよ)」
スコープはコブラを消し去った。
「アル。あんな屑どもの言うことなんて、気にするなよ。」
「祖母は立派な人だったと、父さんが言っていた。『自分が今あるのも、母のおかげだ』とも。」
アルバスは呟くように言った。
「マグル生まれかどうかなんて、関係あるものか・・」
「君の父方のおじい様・おばあ様は、あいつらが崇拝している『例のあの人』に殺されたんだったね。当時1歳だった御子息を−−君の父上を−−守ろうとして・・」
「あいつらが信じているように『あの人』が復活したとしても、どうせまたすぐハリー叔父さんに退治されるに決まってるわ。」
ローズが言った。