二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.60 )
- 日時: 2014/03/30 12:42
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
スコープはアルバスと共に晴れてクィディッチ・チームの正選手に起用され、7年連続優勝という大目標を目指して充実した日々を送っていけるはずだった。しかし、ジェレイントの呼気の紫色は日増しに濃くなり、その動きも次第に鈍くなってきていた。
*
「次の授業では、『似愛薬』を調合する。」
10月第3週の魔法薬の授業の最後に、セオドール・ノットが宣言した。
「『似愛薬』って何?」
授業が終わり、昼食のため大広間に向かいながら、アルバスがローズに尋ねた。
「名前に『愛』と付いてるけど、恋愛に関係する薬というわけではないの。」
ローズが答えた。
「飲用すると大抵の病気が治るという効能があるんだけど、調合してから3分以内に飲用しないと効能が失われてしまうのね。つまり、『醒めやすい』ってこと。その点が男女間の愛に似ているからという理由で、名付けられたそうよ。」
「命名した人は、きっと失恋続きだったんだろうね。」
アルバスが言った。
「レストレンジみたいに、軽薄な女たらしだったのかもしれないわ。」
ローズが嫌悪感を露わにした口調で言った。ちょうど、ヴァレンティン・レストレンジがサウロス、マヌイルと共に、スコープ、アルバス、ローズを追い越して行ったところだった(魔法薬はスリザリンとの合同授業)。
スコープは、2人の会話を聞きながらも別のことを考えていた。
「次の魔法薬の授業でその薬を調合したら、ジェレイントに飲ませてみようと思う。」
スコープは言った。
「さっきも言ったように、調合してから3分以内に服用しないと効能が失われてしまうの。魔法薬の教室からジェレイントのいるあなた達の寝室までは、どんなに急いでも5分以上かかるだろうから、ジェレイントを連れて行って教室で飲ませるしかないわね。
だけど、もしノットに見つかったらその時は大変なことになるわ。もちろんグリフィンドールから大量に減点してジェレイントを没収するだろうし、ノットのことだから その場でジェレイントを殺して魔法薬の材料にするってのもありえるでしょうね。」
「闘蛇(とうだ)って魔法薬の材料になるの?」
アルバスが尋ねた。
「『似愛薬』の調合には、闘蛇の表皮が必要なの。」
「・・大きな危険を冒すことになろうと、僕はジェレイントを連れて行って薬を飲ませるよ。どのみちあいつは、近いうちに死んでしまうかもしれないんだ・・」
スコープは話しながら何気なく首筋に手をやった。すると、小さな虫が彼の首筋から飛び立って目の前を飛んで行き、かなり前方を歩いていたサウロス達の方に向かうのが見えた。サウロスは手を伸ばして何かを掴むような動作をした。
「まずいよ。あれは『盗聴虫』だ。」
アルバスが言った。
「何、それ?」 ローズが尋ねた。
「マグルの技術を利用したWWWの商品で、付けた人の話を録音して聞くことができるんだ。マルフォイ達がさっきの話を聞いたとしたら、ノットに告げ口するに決まってる・・」
「ジェレイントが入った覆い付きケースを持って行ったら、墓穴を掘るようなものね・・」
ローズが言った。
「・・そうだ、いい考えがある!」
大広間に到着したところでアルバスが言った。
「兄さんから『透明マント』を借りて、ジェレイントのケースを包めばいい。」
「ポッター先輩は透明マントを持っているのかい?」
テーブルに向かいながら、スコープは声を潜めて尋ねた。
「だから、悪戯をしても受けて当然の罰則を免れてきたわけね。」
ローズが言った。
「授業の最初さえやり過ごしてしまえば問題ない。授業の終わりにノットが他の生徒の薬を採点している隙を見計らって、飲ませればいいわけだからね。」
スコープは希望を抱き、言った。