二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.65 )
日時: 2014/03/30 13:24
名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)

 その日の放課後、職員室ではフリットウィック校長臨席のもと、臨時の会議が開かれた。

「スコーピウス・マルフォイは退学にすべきだ!」
 セオドール・ノットは、包帯に巻かれた右腕を誇示しながら息巻いていた。
「スコープは高潔で心優しい子だ。」
 ネビル・ロングボトムは反論した。それにしても、あのドラコ・マルフォイの息子を弁護することになろうとは、彼が自分の寮生として入学してくるまでネビルは思ってもみなかった。
「君が問答無用で闘蛇を殺そうとしなければ、そんなことはしなかったはずだ!」
「ロングボトム。君は学生時代同様抜け作だな。」
 ノットが言った。
「そもそも、闘蛇を持ち込んだ時点でやつは規則をやぶっている。まずそこから問題にすべきなのだ。」
「確かに。」
 変身術教授兼レイブンクロー寮監、アンソニー・ゴールドスタインが言った。
「それに、いかなる理由があろうと教師を攻撃するというのは極めて悪質な行為だと、私は思う。」
「ノットを闘蛇に攻撃させたということ自体は、そこまで悪質だとは思わない。生徒に対する公平性の欠如が著しい君は、教師としての適性を備えているとは言い難いからね、ノット。」
 アーニー・マクミランが言った。
「しかし、勇敢にも闘蛇を止めようとしたレストレンジを、卑怯にも背後から攻撃するというのはいかがなものかな。それに彼は−−ことわっておくが、これから述べるのは彼自身が供述したことだ−−、闘蛇がノットの腕に噛みついて血が飛び散るのを見た時、非常な快感を覚えて高笑いしたそうだ。退学させるかどうかはさておき、少なくとも精神病院に入院させる必要はあると思うね。」
「流血に快感を覚えるとは、危険な兆候ではないか。このままホグワーツに留め置けば、いずれ血を求めて他の生徒を襲うようになることは目に見えている。」
 ノットが勝ち誇ったように言った。
「その破綻した人格が、アルバス・ダンブルドアやハリー・ポッターといった偉大な魔法使いを輩出してきたこのホグワーツに相応しくないという理由だけでなく、生徒の安全という観点からしても、スコーピウスは退学に値すると思うがね。
 それから、」
 ノットは、縮小呪文をかけて檻に閉じ込められたジェレイントに目をやった。
「この闘蛇は処分しても構わんね? 角と表皮と牙は、私の研究室の在庫に加えるとして。」
「スコープを退学にする上に、君を攻撃してまで命を救おうとしたペットまで、あの子から取り上げるつもりか!?」
 ネビルは言った。
「せめて闘蛇はあの子のもとに返してやるべきだ!」
「その発言を、やつの放校に対する同意の顕れとして受け取ってもいいのだな? ロングボトム?」
 ノットに言われ、ネビルは言葉に詰まった。
「ネビル。」
 それまで沈黙を守っていたフリットウィック校長が言った。
「他の教職員の意見は、あくまで意見に過ぎない。彼の処分は、寮監である君の手に委ねられている。」
 ネビルは暫くの間、頭を抱えて苦悩していた。
「・・・彼に選ばせます。」
 まだ頭を抱えたまま、ようやくネビルは言った。
「ペットを失って学校に残るか、ペットと共に学校を去るかを・・。
 ただし、」
 ここで、ネビルは決然とした表情を浮かべて顔を上げた。
「彼が後者を選んだとしても、11月第2週に行われる寮対抗クィディッチ杯のグリフィンドール対スリザリン戦まで、待ってやっていただきたい。彼は先学期から懸命に練習を積んできました。
 そうだね、オリヴァ—?」
 ネビルは、1年生のみが受ける飛行訓練担当教師兼寮対抗クィディッチ審判であるオリヴァ−・ウッドに話を振った。彼は自身の出身寮ということでグリフィンドール贔屓であり(といっても、審判時に不正な判断を行ったことは一度としてない)、グリフィンドール・クィディッチチームの練習によく顔を出していた。
「その通りだ。彼には天賦の才能があり、努力も欠かさない。優秀なクィディッチ選手だ。1度くらい晴れ舞台で活躍する機会を与えてやるべきだと、私も思う。」
 ウッドは言った。
「いいでしょう。」
 意外にもノットは反論しなかった。
「もっとも今のスリザリンが相手では、やつが『有終の美』を飾ることは難しいでしょうな・・」





補足
 ハグリッドは病欠した。彼の病気は、起き上がることができない程に悪化していた。