二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.66 )
日時: 2013/01/01 00:30
名前: ウルワルス (ID: fS.QmYjo)

 放課後、スコープは何をする気にもならず、談話室で座っていた。噂では、今まさに自分の処分をめぐって先生方の会議が持たれているという。スコープには、自分が退学になることは避けられないことのように思えた。両親はどう思うだろう? わけを話せば納得してくれるだろうか? それとも、自分を勘当するだろうか?

 スコープの隣に座るローズは、彼の手をしっかりと握っていた。
「大丈夫よ、スコープ・・」
 ローズは、先程からそればかり言っていた。自分に言い聞かせているようでもあった。
「最終的にあなたの処分を決定するのは、ノットじゃなくて寮監のロングボトム先生だもの・・・ロングボトム先生が、あなたを退学処分にするはずがないわ・・・」

 アルバスは、そんな2人を深刻な表情で見守っていた。



「スコープ!」
 深刻な表情を浮かべたジェームズとルイスが、談話室に駆け込んできた。この2人が深刻な表情を浮かべているという事実が、ことの重大さを表していた。
「実は、薬学教室に花火を打ち込んだのは僕達なんだ。君の助けになるようにと思ってやったことだったんだけど・・」
 ジェームズが言った。
「君は、あの騒ぎに乗じてノットを−−−」
 ルイスが言いかけたが、
「やっぱり、あれはあんた達の仕業だったのね!」
 ローズが2人に食って掛かった。
「あんた達があんなことをしなければ、スコープがノットを攻撃することもなかったのに! 一体どういうつもり!? あんた達がスコープの代わりに退学になるべきよ!」
 ローズは杖を抜いた。ジェームズもルイスも、身を守ろうとしなかった。
「いいんだ、ローズ。」
 スコープは、今にもジェームズに呪いをかけようとしているローズの腕を、優しく押さえた。
「悪いのは、ジェレイントにかけていた縮小呪文を解除した僕だ。ノットのところまで行って、この手で直接ジェレイントを取り戻すことだって出来たのに・・・
 ポッター先輩、ルイス先輩。本当にありがとうございました・・・」
 スコープは2人に向かって頭を下げた。
「スコープ。君みたいないいやつを、ネビルおじさんが退学処分にするはずがない。
 なあ、フランク・・」
 ジェームズが、目をしょぼしょぼさせ、声を詰まらせながら言った。意外と涙もろい一面もあるようだ。ちなみにジェームズは幼い頃からロングボトム先生と親しかったようで、気軽に「おじさん」と呼んでいた。
 それ以上かけるべき言葉が見つからなかったらしく、ジェームズはルイスと共にどこかに行ってしまった。
「その通りだよ、スコープ。」
 ラウル・アンダーソン、ジム・カーペンターと共に近くのテーブルに着いていたフランク・ロングボトムが入れ替わりにやって来て、スコープの肩を叩いた。
「フランク。あなた達はさっきまでこっちをちらちら見ながら話してたけど、一体何を話してたの?」
 ローズが鋭い口調で尋ねた。
「他の人達と同じように、スコープが狂人だとでも言い合ってたわけ?」
「違うよ! 僕達はただ、その・・・君が、あんまり長いことスコープの手を握ってるもんだから・・・」
「おい、マルフォイ!」
 背後に数人の取り巻きを連れた、大柄な男子生徒がずかずかと歩み寄って来たかと思うと、スコープの胸ぐらを掴んだ。魔法大臣の息子、5年生のジェラルド・マクラーゲンだった。
 彼はグリフィンドール・クィディッチチームのチェイサーの選抜を受けていたが、スコープとアルバスの「せいで」落ちていた。
「お前が退学になるのは喜ばしいことだけどな! しかし、お前のせいでグリフィンドールは200点を失ったそうじゃないか! どうしてくれる!?」
 マクラーゲンはスコープの胸ぐらを揺す振った。
「やめなさいよ!」
 ローズが言った。
「自分が原因で大量に減点されたことについて、スコープは真剣に責任を感じてるわ! それに加えて、彼は退学処分になる恐怖にも、弟代わりのペットを失う恐怖にも耐えなければならないのよ! よくもそんなことが言えるわね!」
「言葉に気をつけろ、ローズ・ウィーズリー。君の両親が魔法省に勤めていることを忘れるな・・」
 それからマクラーゲンはスコープを突き放すと、品定めをするようにローズを見つめ、再び口を開いた。
「いや、父上の出る幕ではないか・・
 来い、ウィーズリー。」
 マクラーゲンはローズの腕を掴んだ。同時に、ローズはもう一方の手で杖を抜いたが、マクラーゲンの取り巻きの1人に奪われた。
「目上の者に対してどういう態度をとるべきか、調教してやる・・」
 彼はローズを引っ張っていこうとした。
「何するの!? 放して・・!」
 ローズは抵抗したが、上級生の男子に敵うはずもなかった。