二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.67 )
日時: 2013/02/04 12:08
名前: ウルワルス (ID: JnbcEu1t)

「やめろ!」
 マクラーゲンに引っ張られながらも、ローズは声のした方を振り返った。スコープが杖を抜き、杖先をマクラーゲンの顔面に向けていた。その薄青い目は、爛々と輝いていた。取り巻き達に逆に杖を向けられても、まったく臆する風もなかった。
「僕自身に対する非難・暴力なら、いくらでも受けてやる。お前たちのような屑どもにそうされても仕方のないことを、僕はしてしまったからな。
 だが、僕の友人に手を出すなら話は別だ・・」

 ローズは、スコープから強力な「気」というか、オーラのようなものが発現しているように感じた。今の彼は、神々しいまでの気品に満ちていた。古の王をも斯くやと思わせた。魔法薬の授業で彼が垣間見せた凶気とは、対照的だった。
 いや、そう感じているのは、何も彼女だけではなさそうだった。スコープの傍にいるアルバスとフランクは、何か尊いものを仰ぎ見るような表情を浮かべていたし、逆にマクラーゲンとその取り巻き達は怯えたような顔つきをしていた。談話室内の傍観者達も、少し前までの非難・恐怖が入り混じった視線とは対照的な、崇めるような視線を彼に向けていた。

「・・ふん。」
 マクラーゲンはローズの腕を放した。
「こんなガキを弄ぼうとした俺が馬鹿だった。
 ・・行くぞ。」
 マクラーゲンは取り巻き達に声をかけた。
「図書室で、OWLの勉強でもしよう・・」
 マクラーゲン達は背を向け、離れていこうとした。
「彼女に杖を返せ。」
 スコープが言った。ローズから杖を取り上げた生徒は、一刻も早くスコープから離れたかったせいか、杖を返すのも忘れて立ち去ろうとしていた。ローズは杖を受け取ると、腹いせにマクラーゲンに対して「足すくい呪い」を使った。彼は無様に転倒した。
「覚えていろ。マルフォイ、ウィーズリー! お前達の親は『ケンタウルス室』行きだ・・」
 マクラーゲンは起き上がりながら吐き捨てるように言うと、足早に立ち去った。

「大丈夫かい? ローズ。」
 スコープが優しく言った。
「ええ、何ともないわ。ありがと・・」
「それにしても、グリフィンドールにあんな屑どもがいたとはね。文字通り『獅子身中の虫』だな。」
「さっきの君はすごかったよ。」
 アルバスがスコープに言った。
「何というか、昔の王様みたいな威厳に溢れてた。いや、もちろん僕は昔の王がどんなだったか知らないけど、何故かそう感じたんだ・・」
「君の気のせいだとは思うけど、そう言ってもらえるのは光栄だよ。
 それより、ローズ。君の御両親は・・」
「両親は、今の大臣はあまり良くないと思ってるみたいだけど、あんな馬鹿息子の言うことを聞くほど愚かではないと思うわ。それに、ママは大臣に対して影響力があるみたいだから、私の両親についてもあなたのお父様についても、心配する必要は−−−」
「スコープ。」
 ロングボトム先生が談話室に入ってきていた。先生は、今さっきホグワーツの教授職を解雇されたばかりであるかのような顔をしていた。
「話がある。私の事務室まで来てくれ。」