二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.68 )
- 日時: 2014/03/30 14:34
- 名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)
事務室にてロングボトム先生から決定を聞かされ、「ジェレイントを失って学校に残るか、ジェレイントと共に学校を去るか」という二択を提示されたスコープは、迷わず後者を選んだ。確かに、アルバスやローズと共に学校生活を送れなくなるのは辛いことではあったが、彼らと二度と会えなくなるわけではない。彼らの休暇中には会えるはずだ。
前者を選べば、ジェレイントの存在は永久に失われる。他者にとっては危険な害獣であろうと、3歳の時から一緒に育ってきたスコープにとって、ジェレイントは弟のような存在だった。ジェレイントの方でも、彼によくなついていた。
*
スコープに対する学校側の処置を知った時の皆の反応は、様々だった。
ローズはスコープに抱き付き、彼の胸に顔をうずめ、我が事のように泣きじゃくった。
「君のためにも、スリザリン戦では必ずスニッチをとってみせる・・」
ジェームズは、決然とした口調で言った。
サウロス、ヴァレンティン、マヌイルの3人は有頂天だった。
「退学後の予定はあるのかい? スコーピウス。」
「病気で起き上がれないハグリッドの代わりに、ホグワーツの森番の役を買って出るといい。そうすれば、君もいずれ口から紫色の息を吐けるようになるだろうよ。」
「そうなったらしめたものだぞ。『奇術』だと称して無知な『穢れた血』どもの前で呼吸を行うだけで、小銭が稼げるからねえ・・」
こんな調子で、大広間や廊下で会う度に3人はスコープをからかった。
魔法薬の授業ではアルバスとローズがキレて、アルバスがヴァレンティンに「歯呪い」を、ローズがサウロスに「鼻呪い」を、セオドール・ノットの面前でかけてしまい、グリフィンドールはさらに減点された。
梟便で退学処置について知らされた父は、その翌日にスコープに手紙を送ってきた。
「この件の詳細は、ロングボトム先生が書き送ってくださった。
お前は、自分を恥じる必要はない。もちろん私もアステリアも、お前を勘当するつもりなどない。
残されたホグワーツでの最後のひと時を、友人達と共に悔いのないように過ごしなさい。
退学後の予定だが、私達はお前が学業を続けるべきだと考えている。年が明けたら、ボーバトン魔法アカデミーに途中編入させようと考えているが、お前の意見も聞いておきたい。気持ちが落ち着いてからで構わないから、返事を送ってくれ−−−」
*
スコープがホグワーツで過ごす最後の週の木曜日に、「決闘クラブ」が開かれた。本来は12月に開かれる予定だったのだが、何故か1ヵ月前倒しにされた。
「こんにちは、生徒諸君。」
決闘クラブで指導する先生は、皆の予想通り、「闇の魔術に対する防衛術」教授のアダルベルト・ルーデンベルク先生だった。
ルーデンベルク先生は2年前にダームストラング専門学校を(首席で)卒業したばかりの、ハンサムなブロンドのドイツ人青年で(英語は完璧)、先学期からホグワーツで教鞭を執っていた。授業中の私語を許さないことはもちろん、ただぼうっとしているだけでも容赦なく減点する程の厳しい先生だったが、授業は丁寧で分かりやすく、端正な容貌も相俟って、生徒達(特に高学年の女生徒)から人気があった。
ただ、スコープは入学の日に初めてルーデンベルクを見た時から、どうもこの先生のことが苦手だった。授業中に目が合った際には、まるで蛇を前にした蛙になったかのように、奇妙な戦慄を覚えることが度々あった。アルバスやローズに話してみても、2人とも、ルーデンベルクを見てそんな気持ちに襲われたことは無いと言った。もっとも、今となってはどうでもいいことであったが・・
「この『決闘クラブ』では、単に決闘のやり方だけではなく、闇の魔法使い・生物に対する、ある程度高度な防衛術も諸君に伝授するつもりでいる。
闇の勢力に襲われる可能性は、誰もが有している。ヴォルデモート卿が滅びたとはいえ、デスイーターの残党が細々と活動を続けているし、」
スコープには、ルーデンベルクがヴァレンティン達の方にちらりと目をやったように思えた。
「魔法省・ヴォルデモート双方の統制から離れたディメンターが跋扈している。ブリテン国外のことではあるが、トランシルヴァニアでは3年前の大規模な法改正*1 以来、純血主義組織『Glorios-Pursange*2 』の活動が活発化している。
とはいえ、君達はこのホグワーツにいる限り、外の世界にいる者達に比べて安全だといえる。
しかしこの中には、間もなく退学処分に処されようとしている者もいる−−−」
ヴァレンティン達が、意地の悪い笑みをスコープに向けた。
*1 >>28
*2 ルーマニア語で「栄光ある純血」。略称GP。純血支持諸法の撤廃により、かえって先鋭化した。