二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.69 )
日時: 2013/01/01 23:40
名前: ウルワルス (ID: fS.QmYjo)

「闇の勢力にとって、魔法学校を追放された未成年の魔法使いほど手頃なカモはいない。つまり、この決闘クラブの開催日を早めたのは、その生徒が退学前にある程度の防衛術を身に付けることが出来るようにするために他ならない。」
「でも、先生。」
 サウロスが言った。
「そいつは退学に際して杖を折られるんでしょう? 決闘のやり方や防衛術を知っていても−−−」
「君に発言を許可した覚えはないが。サウロス・マルフォイ。」
 ルーデンベルクが言った。
「よって、今の君の発言は『私語』である。スリザリン、10点減点。」
 スコープは、思わず顔が綻びるのを感じた。同時に、これまでは「生理的に無理」だと感じていたルーデンベルク先生に対して、沸々と感謝の念が沸き起こってきた。アルバスとローズも、魔法薬での溜飲を下げたかのように、小気味よげな笑みを浮かべていた。

「では、始めようか。
 決闘の練習の前に、まずは『武装解除術』を伝授しようと思う。もっとも、これはブリテン魔法省の指導要領では、5年次で習得すべき呪文だ。君達2年生の全員が、現時点で習得できるとは期待していない。もしかしたら、誰も習得できないかもしれない(ローズが挑むような目を先生に向けた)。しかし、やるだけやってみよう・・・」
 ルーデンベルク先生は、まず実際に「武装解除術」を使って見せた。実験台にされたのはサウロスだった。サウロスは杖を奪われただけでなく、後方に吹っ飛んだ。滑らかなブロンドの頭髪が乱れ、逆立っていた。スコープ、アルバス、ローズを始めグリフィンドール生は先生に拍手喝采をおくった。サウロスは憎々しげにルーデンベルクを睨みつけた。
 それから先生は術の理論を一通り説明し、その後で2人組になっての練習が始まった。スコープはアルバスと組んだ(ローズはフランクと組んだ)。
 最初に武装解除術をマスターするのは学年トップの秀才であるローズに違いないとスコープは思っていたが、最初に術を成功させたのはアルバスだった。スコープの杖は宙を飛び、アルバスの手の内に収まった。
「素晴らしい、ポッター。」
 ルーデンベルクが称賛した。
「グリフィンドールに10点。」

 アルバスの次にはローズが成功させ、その後にレイブンクロー生のアーノルド・パラックスとキャロライン・ゴールドスタインが成功した。
 練習時間のタイムリミットが近づくにつれ、スコープは焦ってきた。スコープが呪文を唱えると、アルバスの杖は今にも宙に飛び出しそうになるのだが、どうしても最後の一線を越えることが出来ないでいた。既に術を習得したローズはフランクの相手をしながらも、横から色々とアドヴァイスしてくれた。
「よくやった、レストレンジ。」
 ルーデンベルクがそう言うのが聞こえた。
「スリザリンに10点。」

「エクスペリアームス(武器よ去れ)!」
 ついに、アルバスの杖が彼の手を離れ、スコープの掌の中へと飛び込んできた。
「よく頑張ったな、マルフォイ。グリフィンドールに10点。」
 ルーデンベルクは笑みを浮かべていた。

 結局、時間内に武装解除術を習得できたのは、グリフィンドール生3人、レイブンクロー生2人、スリザリン生1人、だけだった。

「さて、決闘の練習に入ろうか。
 これまでと同じ2人組になっての練習だが、組を変えようと思う。私が決めた組で練習するのだ。友人同士だと、どうしても手心を加えてしまうからな。それでは練習にならない。
 怪我をしても治してやるから心配するな。自慢ではないが、私は『癒者』の免許も持っているのでね。
 では、ポッターとレストレンジ・・・」
 アルバスとヴァレンティンは睨み合った。新学期最初の日のホグワーツ特急内での一件や、先日の魔法薬の授業での一件のため、2人は互いに対して強い敵意を抱いていた。
「・・・ウィーズリーとゴイル・・・ロングボトムとノット・・・
 スコーピウスはサウロスとだ・・・」

「怖いか? スコーピウス。」
 皆が先生に言われた通りの組をつくり、指示に従って向き合っている時、サウロスが言った。彼の髪は魔法で元通りになっていたが、でかい態度も元通りになっていた。
「僕が君を怖がると思うかい?」
 スコープはせせら笑った。
「武装解除術を習得できなかった癖に・・」
 サウロスの青白い顔がピンク色に変わった。先生が互いに対してお辞儀をするよう指示を出したが、2人ともするはずがなかった。サウロスにお辞儀するのは、芋虫* にキスするのと同じくらい耐え難いことだった。
 先生の指示に従わない組は他にもいくつかあったが、先生は杖を振り、それらの生徒達に互いに対して強制的に頭を下げさせた。
「では、私が3まで数えたら互いに対して術をかけるのだ。
 1、2、」
「タラントアレグラ(踊れ)!」







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