二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.73 )
- 日時: 2016/03/18 23:07
- 名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)
スコープは空いている左手で頭上の杭を掴んだ。そして、ちょうど鉄棒の「逆上がり」をするような要領で杭の上に体を持っていき、そのまま観客席(ちょうどグリフィンドールの席だった)の辺りまで上昇した。フリント、ニコルソン、サウロスは互いに激突し、箒から落ちそうになった。
グリフィンドール席から驚嘆の声があがった。スリザリン席の「サウロス」コールは、いつのまにか止んでいた。
「スリザリンのチェイサーどもを手玉にとっております!」
ルイスの声が響いた。
「魅せてくれるじゃありませんか! スコーピウス・マルフォイ選手!」
*
「素敵よ、スコープ・・」
再び降下していくスコープを目で追いながら、ローズは観客席で小さく呟き、目頭を拭った。彼が最後に活躍できて、本当によかった・・
*
スコープはその後もスリザリン・チームを翻弄し続けた。クアッフルを奪おうと焦って がむしゃらにスコープに掴みかかろうとする余り、フリントが頭を杭にぶつけたり、敵ビーターが打ったブラッジャーをスコープが避けた結果それがニコルソンに当たったりした。
何度目か分からなかったが、サウロスが杭を背後にしたスコープ目がけて突っ込んできた。スコープは急ターンし、杭の背後に回り込んだ。サウロスは杭を避けるため箒の柄の向きを変えようとした。そして、ついにその瞬間が来た。
枝を束ねた尾部が丸ごと、メテオライトの柄から外れた。柄だけになったメテオライトは悲鳴を上げるサウロスを乗せたままフィールド上空に飛び出し、滅茶苦茶に飛び回った挙げ句、墜落した。グリフィンドール席から歓声と笑い声が湧き起こった。
「サウロス・マルフォイは我らがスコーピウスにより『撃墜』された模様です!」
ルイスの声が響いた。
「残ったフリントとニコルソンも大分目を回しているようです! 最早グリフィンドールの勝利は明らかです!」
ルイスの言う通りだった。スコープもアルバスもドミニクも、次々とゴールを決めて点を返していった。100対100までもってきたところでジェームズがスニッチをとり、グリフィンドールは250対100で勝利した。
*
チームメイトやグリフィンドール生達とひとしきり勝利を喜び合った後、スコープは競技場から校長室へと向かった。生徒の退学の際には、校長自らがその生徒の杖を折ることになっていた。
「プサルテリウム」
予め教えられていた合い言葉を唱え、スコープは校長室へと足を踏み入れた。試合の観戦には来ていたはずだが、フィリウス・フリットウィック校長は既に室内で着席していた。壁にはたくさんの肖像画が飾られていた。歴代のホグワーツ校長なのだろう。
端から2番目の肖像画の主は、20世紀最高と謳われる偉大な魔法使い、アルバス・ダンブルドアだった。肖像画の中のダンブルドアは、興味深そうにスコープを見やった。
その隣、1番端には、鉤鼻・黒髪の男性の肖像画が飾られていた。ダンブルドアほど有名ではなかったが、ハリー・ポッターによるヴォルデモート打倒に重要な役割を果たしたことで、この男性もそれなりに名を知られていた。彼、セヴルス・スネイプの肖像画は、懐かしさと苛立ちが綯い交ぜになったような表情を浮かべてスコープを見ていた。
補足
前校長マクゴナガルは引退しただけでまだ存命中のため(第三部で登場予定)、肖像画にはなっていません。