二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.74 )
- 日時: 2013/01/14 14:24
- 名前: ウルワルス (ID: e22GBZXR)
「高貴なる由緒正しきブラック家の血を引く者が、退学処分とは。なんと破廉恥な・・」
尖った顎髭を持つ老人の肖像画が、スコープに向かってぶつぶつと文句を言った。
「先程の試合での君の活躍は、実に素晴らしかったよ。」
フリットウィック校長が切り出した。
「・・ところで、退学後はどうするつもりかね? 君ほど優秀なクィディッチ選手であれば、プロクィディッチチームのユースに入ることも可能だと思うが。」
「両親は僕が学業を続けるべきだと考えていて、1月からボーバトン魔法アカデミーに途中編入させるつもりです。12月下旬に編入試験があるので、それまでの1ヶ月間は試験勉強やフランス語の習得に費やすことになるでしょう。」
「・・そうか。では、また新しい杖を買ってもらうことになるのだろうね。そうである以上、今君の杖を折ることには何の意味もないが、しかしこれは儀式なのでね・・私としても、あまり気が進まないことではあるが・・では、杖を出してごらん。」
スコープは、ユニフォームとシャツの間に挟んでいた杖を取り出した。校長は自分の杖を取り出し、スコープの杖に向けた。次の瞬間、スコープの杖は真ん中からポッキリと2つに折れた。いずれ新しい杖を買ってもらえると分かっていても、これまで馴染んできた杖が折られたことは、まるで体の一部をもぎ取られたかのように感じられた。
スコープは一礼し、重い心を抱きながら校長室の外に出た。
「意外じゃな、セヴルス。」
スコープが出て行った後、ダンブルドアの肖像画が隣のスネイプの肖像画に語りかけた。
「何がです?」
スネイプが答えた。
「君なら、ルシウスの孫息子を弁護するじゃろうと思うておったが。」
「確かに彼はルシウスの孫でありドラコの息子ですが、規則を歯牙にもかけない傾向は むしろジェームズ、ハリーのポッター父子を思わせる。私好みの生徒ではありませんな。」
スネイプは不機嫌そうに言った。
「まったくだ。ブラック家の末裔とは思えん!」
フィニアス・ナイジェラス・ブラックが相槌を打った。
「それにどのみち、校長室に飾られた肖像画の1つにすぎない私が寮監の決定に異議を差し挟んだところで、詮無いことです。」
スネイプは言った。
「それもそうじゃな。今の儂らが果たすべき役目は、現職の校長に仕えることだけじゃからのう。
ところで、フィリウス。」
ダンブルドアはフリットウィックに話を振った。
「君はミスター・スコーピウス・マルフォイについて、どのような印象を持ったかね?」
「直接対面したのは今日が初めてでしたが、セオドールが強調していたような凶暴性は少しも感じられませんでしたよ。」
フリットウィックは答えた。
「祖父や父と違って、高慢なところも見受けられなかった。
ネビルが言っていたように、基本的に高潔で心優しい少年なのでしょうね。」
「確かにそれはその通りなのじゃろうが、儂はそれ以上に、彼の中に恐ろしい程の力を感じた。」
「何ですと?」
フリットウィックは驚いて言った。
「その秘められた力は、儂がこれまで見てきた強大な魔法使い、例えばグリンデルバルドやトム・リドル、或いは儂自身をも凌ぐ程のものに思えた。長ずれば、恐らく彼は何か偉大な功業を成し遂げるじゃろう。
だが一歩間違えれば、グリンデルバルドやリドルを上回る史上最強の闇の魔法使いとして、歴史にその名を残すことになるやも知れぬ・・」
*
その晩グリフィンドール塔では、戦勝祝いとスコープの送別会を兼ねたパーティーが開かれた。スコープはあまり騒ぐ気にならず、アルバス、ローズと共に隅の方に座って、皆がゲームに興じたりジェームズとルイスが曲芸をしたりする様子を眺めていた。アルバス、ローズともあまり会話はしなかったが、2人が傍にいるだけでスコープは温かい気持ちになれた。2人と共に過ごすホグワーツでの最後の夜だと思うと、同時にとても寂しくもあったが。
翌朝、ジェラルド・マクラーゲンなど一部を除く大多数のグリフィンドール生達に見送られながら、スコーピウス・マルフォイはホグワーツ魔法魔術学校をあとにした。