二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.86 )
日時: 2016/03/18 23:38
名前: ウルワルス (ID: nLJuTUWz)

「初めまして、ムシュー・スコーピウス・マルフォイ。」
 美少女が言った。
「バロンデュール生の間は、列車内でドランペルージを攻撃した勇敢な転入生の噂で持ちきりよ。
 私はカトリーヌ・デラクール* 。この馬車に乗っていることから分かるように、寮はバロンデュールよ。」
「よろしく、マドゥムアゼル・デラクール。」
 スコープは答えた。
「ところで、さっきドランペルージが君のことを『鳥人の血を引く』とか言ってたけど・・」
「私はヴィーラの血を引いてるから。祖母がヴィーラなの。」
 カトリーヌは答えた。確かに、ヴィーラは、怒ると半鳥人のような姿になる。それにしても、ヴィーラの血を引くことを理由にその人を蔑視する輩がいるとは、スコープは思いもよらなかった。
「ディオールシアン生達は、『純血の白いヒト』以外は屑だと考えているんだ。」
 アイサムが言った。
「僕はマグル生まれで しかも非白人だから、やつらにとっては二重の意味で蔑視の対象なんだ・・」
 スコープは驚いた。確かにホグワーツにも、「マグル生まれ」や「混血」を蔑視する連中はいる。だが、非白人だからという理由で誰かを軽蔑する奴はいなかった。


 10分もすると、馬車はボーバトン魔法アカデミーに到着した。スコープ、アイサム、カトリーヌは馬車から降り、ボーバトン城の門に向かって歩いていった。
 門のところには、片眼鏡をかけた白髪交じりの黒髪の男性が立っていた。ボーバトンの呪文学教授であるこの男性、アルベリク・ダンドリューとは、スコープも編入試験の際に面識があった。
 門には掲示が貼り付けられていた。

「全校生徒は午後6時半までに大広間に集まること」


「ムシュー・マルフォイ。」
 ダンドリュー教授が声をかけてきた。
「君の寮の決定について、説明がある。私と来たまえ。」

 スコープはアイサム、カトリーヌと別れ、ダンドリュー教授と共に城内の小部屋に入った。
「門の掲示を読んで察したことと思うが、今夜6時半に全校生徒が大広間に集まるのは、マクシーム校長に君を紹介してもらい、君がどの寮に入るのかを知るためだ。」
 教授は言った。
「僕がどの寮に入るのかは、もう決まっているのですか?」
 スコープは、ディオールシアンは絶対嫌だと思いながら尋ねた。
「いや。それは、大広間にて全校生徒の目の前で決定される。」
 教授は答えた。
「オ(ホ)グワーツでは、どの寮に入るかを決定するのは帽子だそうだが、ボーバトンにおいては水盤がその役割を果たす。君は水盤に手をかざせばよい。そうすれば水盤に満たされた液体−−創設者達の意思が溶け込んだものだ−−が、君から発される『オーラ』を察知して君の性質を判断し、寮を決定する。
 では、時間になったら呼びに来るから、退屈だろうがそれまで待っていなさい。」





 約20分後、スコープは戻ってきたダンドリュー教授について大広間に向かい、閉まった扉の前で立ち止まった。大広間の中からは、マクシーム校長の声が聞こえてきた。スコープのことを生徒達に話しているようだ。

「・・・彼は、ある事情からオグワーツを離れ、このボーバトン魔法アカデミーに在籍することになりました。」 
「どうせ退学処分になったんでしょう?」
 誰かが野次を飛ばした。
「発言を許可した覚えはありません、ムシュー・ドランペルージ。」
 校長が言った。
「勝手な私語により、ディオールシアン、5点減点です。」
 スコープは思わずほくそ笑んだ。いい校長先生じゃないか。
 校長の話はまだ少し続いた。話の内容によると、マクシーム校長はスコープの父とはかなり前から面識があるようで、タンザニアやトランシルヴァニアにおける父の功績に言及してもいた。

「・・・では、これよりムシュー・マルフォイの所属寮が決定されます。どの寮に入ろうと、彼ならば必ずや良き寮生として受け入れられることでしょう。」
 校長が言い終えると同時にダンドリュー教授が杖を振り、扉が開いた。スコープは大広間に足を踏み入れ、奥の方、教員テーブルよりは入り口側に置かれた台座に向かって歩んだ。
 生徒達は、3つの巨大な円形テーブルに分かれて着席していた。恐らく寮ごとに分かれているのだろう。
 スコープが一番入り口に近いテーブルのすぐ横を通り過ぎる時、誰かが足を引っかけようとしてきた。横目で見ると、案の定ドランペルージだった。
 その奥に並ぶ2つの円形テーブルのうち、入り口から見て左側のテーブルに、スコープはアイサムの姿を見つけた。何故か彼の両隣が空席になっていたので、すぐに分かったのだ。 










新登場人物紹介


・カトリーヌ・デラクール

 フラーの従弟の娘。