二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜 ( No.89 )
- 日時: 2013/04/14 15:23
- 名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)
翌日は、1時限目から魔法薬の授業があった。魔法薬学教授は、ディオールシアン寮監のアマリエ・グローメルという女性教師だった。雅な雰囲気の名前とは裏腹に、グローメル先生はずんぐりとして背が低く、意地悪そうな顔付きをしていた。
スコープは、アイサム、カトリーヌと同じテーブルで作業をした。作業をしながら、スコープはアイサムの無実を証明する方法を考えていた。皆の前で真実薬(ヴェリタセラム)をアイサムに飲ませ、「自分はやっていない」と言わせるのはどうだろうか・・
「スコープ。」
カトリーヌに話しかけられ、思考が中断した。
「グローメルに関する面白い話を教えてあげるわ。」
カトリーヌは悪戯っぽい笑みを浮かべ、小声で言った。スコープは大して興味が無かったが、とりあえず先を促した。
「グローメルは学生時代、ジュール・ドランペルージの父親と同学年だったらしいの。」
カトリーヌは続けた。
「ここからが面白いんだけど、グローメルは学生時代からドランペルージの父親に首っ丈なんですって。彼が結婚してからも、ずっと。」
スコープは、ドランペルージの父親が自分の父を良く思っていないことを思い出した。
「ドランペルージの父親は、息子と同じようにろくでもない人物なんだろうね?」
スコープはグローメルに聞こえないよう小声で尋ねた。
「ええ。シャルル・ドランペルージといって、純血主義の塊みたいな男よ。トランシルヴァニアを本拠地とする純血主義組織GPの指導者・ヴラドミール・シェノマフスクとも交流があるみたいだし、若い頃はブリテンの『例のあの人』の支持を受け、フランス魔法省を乗っ取るクーデターを計画していたこともあったそうよ。」
「どうして君はそんなに詳しいんだ?」
スコープは尋ねた。その時、教室内を回っているグローメルが近付いてきたので、カトリーヌは答えなかった。
グローメルは、スコープ達のテーブルのところで立ち止まった。
「マドゥムアゼル・デラクール。」
グローメルは、やけに明るい口調で言った。
「昨日あなたは、ディオールシアンのシンボルであるウィングドボアをけなしたばかりか、恐れ多くもディオールシアンその人の悪口を言ったそうじゃない。ジュールが教えてくれたわ。」
「ドランペルージが、私達の寮のシンボルであるヒッポグリフを『醜い怪鳥』だと言ってけなしたからです。」
カトリーヌは毅然として美しい顔を上げ、反抗的な口調で言った。ふとスコープは、カトリーヌのような美少女に反抗的な態度を取られることは、不細工なグローメルにとって面白くなかろうと思った。
「だとしても、ジュールはコランタン・バロンデュールの悪口を言ったわけではないでしょ?」
グローメルの口調には、次第に苛立ちが表れてきていた。教室内の生徒達は、不安そうな表情を浮かべて成り行きを見守っていた。
「偉大なる創設者を虚仮にするような発言は、許し難い行為です。バロンデュール、50点減点。
それから、ムシュー・マルフォイ。」
グローメルは、室内のあちこちから上がる不満の声を無視して言葉を続けた。
「あなたは、ジュールが何も危害を加えていないにも関わらず、1時間にも満たない時間の中で2度も彼を攻撃したそうね。しかも、最初のコブラを使った攻撃は彼をもう少しで死に至らしめる程だったとか。
ムシュー・マルフォイの野蛮で凶暴な行為により、さらに100点をバロンデュールから減点します。退学にしないだけ有り難いと思いなさい。
まったく、こんな問題児を受け入れるなんて校長は何をお考えなんでしょう? 御自身が巨人の血を引いているものだから、凶暴なお仲間が増えることをお望みになったのかもしれませんわね。既に、獰猛な半鳥人のお孫さんもいることですし・・」
グローメルは再びカトリーヌに目をやった。
「先生は、本当はヴィーラのことをそんな風には思ってないはずよ。」
カトリーヌが言った。スコープは、やめた方がいいと思った。これ以上減点されたら・・
「先生は、ヴィーラの美が羨ましいんでしょう? ヴィーラのように美しければ、シャルル・ドランペルージの気を引くことができたでしょうし、」
グローメルの顔が赤黒く変色した。
「そもそも半鳥人の姿になったヴィーラの方が、先生よりはまだ美しいと思うわ。」