二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.90 )
日時: 2013/02/24 15:48
名前: ウルワルス (ID: MDrIaVE2)

バーン!


 大きな炸裂音と共にカトリーヌの体が宙を飛び、教室の壁に叩き付けられた。グローメルが杖を抜いてカトリーヌを攻撃したのだ。スコープの隣にいたアイサムが、グローメルに仕返しするため杖を抜こうとしたが、スコープは辛うじて彼を抑えた。

「教授に対する無礼な発言により、バロンデュールから さらに50点減点します。」
 グローメルが怒りに声を震わせながら言った。
「加えて、罰則を科します。
 デラクール。来月の第三土曜日に、トロフィールームに来なさい。」






「あのババア、やってくれたわね・・」
 魔法薬の授業が終わり、次の授業場所に移動している時、カトリーヌが言った。
「2月の第三土曜日は、ディオールシアン戦があるのに・・」
 カトリーヌは、バロンデュール・クィディッチチームのシーカーだった。
「君と対戦するはずだった、ディオールシアンのシーカーは誰なんだ?」
 スコープは気になって尋ねた。
「まさかドランペルージとか?」
「そのまさかだよ。」
 アイサムが言った。
「カトリーヌ程ではないだろうけど、あいつはかなり上手いんだ。11月のディオールシアン対シャルパンサーニュ戦では、5分かそこいらでスニッチをとった。まあ、あいつにはクィディッチ専門の家庭教師がついていたらしいから、上手いのは当然かもしれないけど。箒も最新型の『レクレア3000』だそうだよ。
 それにしても、金持ちっていいよな・・」





     *





 その夜、スコープは談話室でアイサムと共に宿題に取り組んでいた。
「アイサム。みんなの前で真実薬を飲んでみる気はないかい?」
 宿題が一段落ついたところで、スコープは尋ねた。
「君がみんなの前で真実薬を飲めば、僕がその場で『ヒッポグリフの雛を殺したのか?』と質問する。真実薬を飲んだら嘘をつくことは出来ないから、みんな君の『殺していない』という答えを信じるはずだ。」
「僕が飲んだ薬が真実薬かどうか、みんなには分からないんじゃないかな? 僕達が芝居を打っているんだと思われるかもしれない。僕の無実を証明する方法を考えてくれたのは嬉しいけど・・」
「薬が真実薬かどうかは、誰かを実験台にすればみんなにも分かるさ。例えば、セザールに飲ませて『今日の下着は何色?』とでも質問すればいい。問題は、どうやって真実薬を手に入れるかだけど・・」
「真実薬は、グローメルの部屋にあるはずよ。」
 少し前まで同性の友人達と話していたカトリーヌが、2人のいるテーブルにやって来ていた。
「ところで、何のために真実薬を手に入れたいの?」
 スコープが計画を話すと、カトリーヌは乗り気になったようだった。
「みんなのアイサムに対する態度は、前から気になってた。私も協力するわ。」
 カトリーヌが言うと、アイサムの顔は感謝と喜びでいっぱいになった。
「まずは、どうやって真実薬をグローメルの部屋から盗み出すかを考えないと・・」
 カトリーヌが声を潜めて言った。
「やっぱり、駄目だ。」
 アイサムが言った。
「もしグローメルに見つかったら、ただじゃ済まない。特にカトリーヌは、ただでさえあいつに憎まれているんだから・・」
 アイサムの言葉を聞きながら、確かにこれは危険な試みだとスコープも思った。見つかったら、退学になってもおかしくない。それに自分は、既に一度退学に処された身だ。ボーバトンまで退学になったら、両親は・・
 だが、とスコープは思い直した。ホグワーツを退学になった時、両親は事情を知って納得してくれた。不条理な扱いを受けている友人を救おうとしてボーバトンを退学になっても、分かってくれるはずだ。
 それに、祖父は自分がダームストラング専門学校に行くべきだと考えていた。いざという時はダームストラングに途中編入すればいい。
「グローメルの怒りなんて、恐くもなんともないわ。」
 カトリーヌがアイサムに言った。

 
 その後カトリーヌは、真実薬があるであろうグローメルの部屋について説明した。その部屋には、グローメルがシャルル・ドランペルージから預かったという何か重要な物が保管されており、そのため厳重な防御網が施されているとのことだった。
「グローメルは、学生時代からの想い人の頼みを断れなかったんでしょうね。」
 カトリーヌは言った。
「魔法薬の授業の時にも訊いたけど、どうして君はそんなによく知ってるんだ?」
 スコープは尋ねた。
「私の父はフランス魔法省に勤める闇祓いで、シャルル・ドランペルージのことを密かに捜査してるの。
 近頃トランシルヴァニアでGPの活動が活発化しているということは、知ってるわね?」
「ああ。」
 トランシルヴァニアはヨーロッパの中でも純血主義が盛んな国(マグル界では、ルーマニアの一部とされている)だが、4年前に法改正が行われ、純血支持諸法は撤廃された。ちなみにスコープの父ドラコは、国際魔法使い連盟特使として この法改正に大きく関わっていた。