二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.91 )
日時: 2013/04/14 15:12
名前: ウルワルス (ID: f3VBH/TD)

 しかし、ヴラドミール・シェノマフスク率いる純血主義組織「Glorios Pursange(栄光ある純血。略称GP)」はかえって先鋭化し、テロ行為も頻繁になっていた。
「父の知り合いであるトランシルヴァニアの闇祓いによると、GPはあちらの魔法省の乗っ取りを計画しているみたいなの。ドランペルージには過去にクーデターを計画したという前科があるから、GPを密かに援助しているとしてもおかしくないし、或いはトランシルヴァニアでのクーデターと同時にこちらでも事を起こそうと計画しているかも知れない。そういう訳で、魔法省は父にドランペルージの捜査を命じたの。
 もっとも父は、以前からドランペルージの動きには目を光らせてたみたいよ。父は、ドランペルージとはボーバトンの同級生で、彼がどういう人物かはよく知っているから。」
「それで君の父上は、ドランペルージがグローメルに何か大切な物を預けたことを突き止めたんだね?」
 スコープは言った。
「まず父は、クーデターの際に武器となるような物を持っているかを調べるため、ドランペルージに対して家宅捜査を行うと通告したの。」
「わざわざ通告したのかい? 抜き打ちじゃなくて?」
「父には、ドランペルージがどこに物品を隠し持っているのか分かっていなかった。ドランペルージが不安になって隠し場所を変えた時に、その場所が明らかになることを期待して、予め通告したんだそうよ。
 案の定、ドランペルージは見つかったら都合の悪い物品を持っていて、それを別の場所に隠したみたい。」
「その隠し場所が、ボーバトン城内のグローメルの部屋なんだね。 どうやって突き止めたんだ?」
 スコープは尋ねた。
「あなたのお国に、『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』っていう悪戯用品専門店があるでしょう? その商品を使ったのよ。『盗聴虫』だったかしら?」
「わざわざブリテンまで出向いて購入したのかい?」
「その必要はなかったわ。父の従姉がWWWのオーナーのお兄さんと結婚してるんだけど、その関係で手に入ったの。」
「じゃあ君は、ウィーズリー家と親戚なんだね!?」
 スコープは驚いて言った。
「親戚とはいっても随分と遠縁になるから、面識があるのは父の従姉の一家だけだけど。」
「ホグワーツで学んでいたから、僕もウィーズリー家の子達とは面識がある。そのうちの1人とは、親友だった・・」
 そう言いながら、スコープはローズのことを思い出していた。とりわけ、共に過ごした最後の夜のことを・・。
 今頃彼女は何をしているだろう? 勉強? それとも、自分への手紙をしたためてくれているのだろうか?
「『盗聴虫』には、ドランペルージがグローメルに物品を預けた時の会話が記録されてるんだよね?」
 スコープが黙りこくってしまったため、アイサムがカトリーヌに尋ねた。
「その記録を証拠にドランペルージを告発できるんじゃないかな?」
「残念ながら、ドランペルージは決定的なことは何も言ってなかったわ。
 『これは大切な物だから、誰にも盗まれないよう、厳重な防御を施して保管しておいてくれ。』
 これじゃ、証拠不十分ね。それにドランペルージはしょっちゅう魔法省に出入りして金貨をばらまいてるから、裁判官達がドランペルージに取り込まれている可能性も否定できないわ。
 私達が真実薬を盗むついでに、その物品を回収できればいいけど・・」
「君の父上は、グローメルの部屋を調査しようとはしていないのか?」
 物思いから覚めたスコープが尋ねた。
「それが出来ればいいんだけど、グローメルは『プライヴァシーの侵害だ』と言って調査を拒否してるの。」
「ドランペルージの家宅を捜索することは出来たのに、どうしてグローメルの部屋は駄目なんだ?」
 スコープは尋ねた。
「ドランペルージと違って、グローメルには本人のプライヴァシーを二の次にしても構わないだけの前科が無いの。」

 その後も3人は暫くの間、いかにしてグローメルの部屋に入り込むかを小声で話し合った。結論は出なかったが。
「ところで、スコープ。」
 最後にカトリーヌが言った。
「あなたはオ(ホ)グワーツでクィディッチをしていたのよね?」
「ああ。君と違ってポジションはチェイサーだったけど。」
「私の代わりに、シーカーとしてディオールシアン戦に出場する気はない? そもそも、あなた達のところに来たのはこのことを言うためだったの。
 選抜の時に思ったんだけど、今年度のバロンデュールには飛ぶのが上手い人があまりいないから・・・。どうかしら?」
 スコープは元々、学生時代の父と同じくシーカーとしてプレイしたいと思っていた。グリフィンドール・クィディッチチームには既にジェームズ・ポッターという天才シーカーがいたから、ホグワーツにおいてその夢は叶わなかったのだ。