二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.92 )
日時: 2014/03/23 14:23
名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)

第17章  ホグワーツでは






 カトリーヌ・デラクール。
 新年最初のスコープからの手紙を受け取って以来、その名はローズ・ウィーズリーの脳裏に焼き付けられていた。
 どんな子なんだろう? ヴィーラの血を引くのであれば、きっと自分などよりずっと可愛いに違いない・・・
 それと同じくらいローズを不安にさせているのが、カトリーヌがクィディッチ チームのメンバーだということだった。1年次にスコ−プが指導してくれた御陰で、人並みに箒で空を飛べるようになってはいたが、ローズはクィディッチは不得手だった。父や弟とは違いプロクィディッチに興味があるわけでもなかったので、スコープがアルバスやフランクとクィディッチ談義をしている時は、話に入ることが出来なかった。だけどカトリーヌなら、そういうことは無いだろう。それに、もしスコープがバロンデュール・クィディッチチームに入れば、カトリーヌとの仲は一層親密になるだろう・・・
 そんなことを考えながら、ローズはスコープへの「恨み」のようなものが生じているのを感じていた。「ボーバトンに行っても、君のことは決して忘れない」と、言ってたくせに・・・

 客観的に見れば、わざわざボーバトンから手紙を書き送っていることからもスコープがローズを忘れた訳ではないのは明らかなのだが、ローズはそのことに思い至るだけの精神的余裕を失っていた。



 だがローズは、ただ悶々としていたわけではなかった。
 スコープからの手紙には、ジンについても言及があった。新しく出来た友人の1人であるアイサム・ムウィレレが、「ジンを召還して殺しを行った」という疑惑をかけられているそうだ。
 ジンについては、魔法史や「闇の魔術に対する防衛術」で少し勉強していたが、ローズはもっと詳しく知りたいと思い、放課後に図書室で、ジンについて書かれた本を探した。

 原書が13世紀にアラビアで書かれたという『異界の歴史と住人』には、ジンの種類と歴史が詳しく記されていた。著者が、自分でジンを召還し、聞き取り調査をした結果分かったことらしい。もっとも この本の英訳者は、1人のジンからこれだけ多くの情報を聞き出せるとは考えにくく、従って本の内容も出鱈目である可能性が高いと、こき下ろしていた。

「・・・ジンとは、異界の住人である。マグルの多くは、彼らが精霊だと思っているが、彼らは我々と同じく肉体を持つ。ただ、その魔力は我々よりも強力である。だからこそ我々は危険を冒して彼らを召還するのである。
 ・・・異界の住人の全てが魔法を使えるわけではない。魔法を使える者だけが、『ジン』として我々の世界に姿を現すのである。
 ・・・私が召還したフィアレンという名の、銀色の長髪と白い肌をした、丈高く美しい−−ただ、その耳は尖っていた−−男性のジンによると、彼らの世界において高度な知能を持つのは、人間、エダール、シャートゥグル、イルフ、ゴブリン、クルーという6つの種族である。人間は言及するまでもないとして、ゴブリンとイルフは我々の世界にも存在する。
 ・・・イルフは、元々この世界に存在する生き物ではなかったが、『暗黒の王』ヴァルガトレイオンとの戦に敗れた結果、彼によって『自分達が何者であるかを忘れ、自分達より劣った異界の者達(つまり我々のこと)に裸で隷従しなければならない。その者達から衣服を与えられるまでは、解放されることはない』という、子々孫々に渡って持続する呪いを生き残った種族全体にかけられ、この世界に送られてきたのだという。
 私は、イルフとは『屋敷僕妖精』として知られている生き物のことではないかと、推測している・・・」
 ローズもその通りだと思った。
 屋敷僕妖精が持つ強力な魔力については、両親、特に母から聞かされていた。両親がハリー叔父さんと共に「例のあの人」を倒すための旅をしていた時も、ドビーという僕妖精によって窮地を救われたことがあったらしい。ローズは、人間より強力な魔力を持つ僕妖精が何故人間に隷従しているのか不思議に思っていた。もしかしたら、この本に書かれていることは事実かもしれない・・・
 そういえば、母が魔法省魔法生物規制管理部に勤めている間、「給料を欲しがる僕妖精」と主人の間の揉め事が何件か持ち込まれたという(母の尽力で、その僕妖精達は給料を支払ってもらえるようになった。主人が妖精を解雇した一件もあったが、その妖精は現在ローズの家で働いている)。先に挙げたドビーもホグワーツで有給奉仕をしていたそうだ。アラビアの魔法使いが記す「ヴァルガトレイオンの呪い」は、効力が薄れてきているのかもしれない。