二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.93 )
日時: 2014/05/21 15:36
名前: ウルワルス (ID: BgA0tTDI)

 ローズは、先へと読み進めた。

「・・・エダールは、人型の種族としては最強の魔力と身体能力を持ち、寿命が尽きて死ぬことがない。容姿は人間の標準より遙かに美しく、外見における人間との一番の違いは耳が尖っていることである。私に様々な情報を提供してくれたフィアレンは、エダール族のジンである。
 ・・・シャートゥグルの外見はドラゴンに似ているが、人間に匹敵する知能を持つという。彼らはテレパシーによって意思疎通を行う。戦闘の際には、エダールもしくは人間の戦士を騎乗させるという。・・・エダール同様、寿命によって死ぬことはない。・・・彼らが『ジン』として こちらの世界に召還されたことはない。
 ・・・クルーは人間程の背丈の、凶暴で醜悪な化け物である。ジンの召還に不備があった場合、召還したジンに取り憑かれたり殺されたりすることがあるが、こうした事例を引き起こしたのは多くの場合クルーのジンである。
 ・・・異界には、『暗黒の王』ヴァルガトレイオンが君臨している。クルー・エダール・シャートゥグルはその支配下に置かれ、先に述べたように、イルフは彼によって呪われ放逐された。彼は現在(『こちらの世界』でいうと西暦1250年頃)ゴブリンの征服を計画しているという。
 フィアレンは、自分は異界においてはヴァルガトレイオンの軍指揮官だと言った。イルフとの戦闘も彼が指揮したという。彼はヴァルガトレイオンによって『忠誠の呪い(Allegiance-Curse)』をかけられているため、その命令に従わざるをえないのだという。進んで仕えているクルーは別にして、エダール・シャートゥグル・人間の中で有力な者達は彼同様忠誠の呪いをかけられている。・・・」

 ローズは本の内容に引き込まれた。
 続きは寮の寝室で読もう。今の時間帯なら、誰もいないはず・・・






            *






 忠実な4人の友人(ホグワーツ卒業後の魔法省へのコネを期待しているだけなのかもしれないが)と共に、OWLに向けて図書室で勉強していたジェラルド・マクラーゲンは、少し離れた席で2年生のローズ・ウィーズリーが1人で読書しているのを目に留め、ほくそ笑んだ。ついに復讐の機会が巡ってきた・・・
 ウィーズリーが本を借りて図書室から出て行くと、ジェラルドも友人達を伴って図書室を後にし、適度な距離を保ちつつウィーズリーの跡をつけた。
 夕食にはまだ間があり屋外は寒いため、大抵の生徒は談話室におり、廊下を歩いているのは彼らだけだった。
「久しぶりだな、ウィー・・・」
「イモビラス(動くな)!」
 問答無用で攻撃すべきだったと、ジェラルドは後悔した。ウィーズリーの反応は驚くほど早く、彼の声を聞くやいなや杖を抜いて呪文を唱えた。
 だが、不意を衝かれたせいか選んだ呪文は良くなかった。「イモビラス」呪文はピクシー程度に対してなら絶大な効果を発揮し、一度に数十体を仕留めることが出来るが、人間に対してはさほどの効果を発揮しない。ジェラルドの友人のうち3人が呪文にかかって一時的に動きが止まったが、ジェラルドと、友人達の背後に隠れるように立っていたサミュエル・ペティグリューは何の影響も受けなかった。
 ジェラルドは杖を抜いた。呪文を唱えることが出来ないようにしてやる・・
「シレンシオ(黙れ)!」
「エクスペリアームス!」
 ジェラルドの「黙らせ呪文」は、ウィーズリーの「武装解除呪文」によって相殺された。2年生の分際で、5年生の自分と互角に渡り合うとは・・
「インペディメンタ(妨害せよ)!」
 ジェラルドを手伝おうと、サミュエルがワンテンポ遅れて放った妨害呪文の閃光は、あらぬ方向に飛んでいった。分不相応に高度な呪文を使うからだ・・
「ペトリフィカス・トタルス(石になれ)!」
「インペディメンタ!」
 ウィーズリーが前方に走り出しながら全身金縛り術を使ったが、ジェラルドは妨害呪文で相殺した。ちなみに、彼はまだ盾の呪文を習得していない。
「エクスペリアームス!」
 早くも「イモビラス」呪文の影響から逃れたサイモン・アンダーヒルが、武装解除呪文を放った。ウィーズリーは避けたが、バランスを崩してよろめいた。その隙を衝いてジェラルドも武装解除呪文を使い、ウィーズリーから杖を奪った。
「手こずらせやがって。」
 ジェラルドはウィーズリーに近付いた。彼女は尚も逃げようとしたが、妨害呪文で動きを止めてやった。
 ジェラルドはウィーズリーの腕を掴み、大声を上げることが出来ないよう黙らせ呪文もかけた。近くには、都合のいいことにトイレがあった。
「さて、どう料理してやろうかな・・」
 ウィーズリーを引きずりながらジェラルドは独り言ちたが、次の瞬間、右肩の辺りに激しい痛みをかんじたかと思うと、何も分からなくなった。