二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.94 )
日時: 2014/03/23 14:43
名前: ウルワルス (ID: K.HEaMnc)

 マクラーゲンに引きずられながら、ローズは、もう駄目だと思った。自分はこの卑劣漢の玩具となり、弄ばれる・・・
 一方で、ローズは奇妙な思いにとらわれていた。今自分をトイレに向かって引きずっているのがマクラーゲンではなくスコープだったら、自分はそれを嫌だと思うだろうか? 答えは多分ノーだ・・・
「さて、どう料理してやろうかな・・」
 マクラーゲンが言った。
 次の瞬間、マクラーゲンの右肩から鮮血が迸り、ローズの袖にかかった。彼の手はローズから離れ、体は前のめりに倒れた。マクラーゲンの取り巻き達が悲鳴を上げた。
 ローズは一時の間呆然としていたが、妨害呪文の効果が切れていることに気付くと、ショック状態から立ち直れていない取り巻きの1人に合図して「黙らせ呪文」を解除させた。それから本と杖を拾い、「スコージファイ」で袖を浄めた。
「ウィーズリー、お前がやったんだろ・・?」
 取り巻きの1人が恐る恐る言った。
「私じゃないわ。−−仮にそうだとしても、あんた達に文句を言う筋合いはないけど−−」
 ローズは、軽蔑に値する上級生達に答えた。4人とも怯えているようで、先程の戦闘の際に的外れの妨害呪文を放った小太りの少年に至っては、今すぐにも逃げ出したそうな表情を浮かべていた。
「それより、早くマクラーゲンを医務室に運ぶべきじゃない?」
 取り巻きの1人がマクラーゲンを運ぶため「モビリコーパス」と唱え、もう1人が血の飛び散った廊下を清めるため「スコージファイ」と唱えるのを聞きながら、ローズは歩き始めた。無論手伝う気などなかった。
 それにしても、マクラーゲンが突然出血して倒れる様子は、先学期に「禁じられた森」で目撃した、ユニコーンが透明な何者かに殺された時の様子に酷似していた。もしかしたら、あの時ユニコーンを殺した何者かがホグワーツ城内を徘徊しているのかもしれない・・・
 ローズはこの推測を伝えるため、寮監・ロングボトム先生の部屋に向かった。


 ローズの話を聞いたロングボトム先生は、すぐに暖炉を通じてフリットウィック校長に報告した。程なくして「生徒が廊下で何者かに襲われた。室内にいる生徒はその部屋から出てはいけない」という通告が城中に伝達され(ローズはロングボトム先生の部屋に留め置かれた)、先生方による捜索が行われた。しかし異常は見つからず、城の出入り口に厳重な防護呪文が施された上で、生徒達は室外に出ることを許された。
 




 城の出入り口に施された防護呪文にも関わらず、1月中に5件の「大量出血事件」が発生した。玄関の警備のために雇われたトロールは、その翌日に喉元から血を流して死んでいるのが発見された。
「トロールなんかじゃなくて、屋敷僕妖精を警備に付けたらどうでしょう?」
 薬草学の授業後、変身術教室への移動中に(授業間の移動の際には教職員が警護するようになった。)ローズはロングボトム先生に提案した。翌日から3人の僕妖精が警備に付くことになったが、1週間後、彼らも絶命した(死体に損傷はなかった)。自分の提案のせいで彼らが死んだのだと思うと、ローズの胸は痛んだ。
 何とか犯人を突き止めようと、ローズは暇な時間には図書室に通った。魔法生物の中では、「カマイタチ」が犯人である可能性が高そうだった。もっともカマイタチの棲息地は日本であるし、トロールを殺せる程強力な魔法生物ではない。
 僕妖精の死に方からすると、犯人が強力な闇の魔法使いである可能性の方が高かった。サウロス・マルフォイが言っていたように、「例のあの人」が甦ったのかもしれない。

 
 さらに、1月上旬から例の「紫息病」が流行り始めた。伝染病の可能性もあるため、紫色の呼気を出し始めた生徒は医務室に隔離された。この病への対処法は、ホグワーツ医務室でも聖マンゴ病院でも、相変わらず見つかっていなかった。


 アルバスはこのような状況を、こまめに手紙でボーバトンのスコープに知らせていた。ローズはというと、スコープからの最初の手紙を読んで以来彼に手紙を書いていなかった。



            *



 2月の第一土曜日の朝、「紫息病」に罹っていない生徒達の大半は、大広間で平日より遅い朝食を摂っていた。
「僕に手紙?」
 梟が運んできた封筒を手に取り、ジェームズ・ポッターが言った。
「WWWホグズミード支店* でアルバイトしていることがジニー叔母さんにばれて、それでお説教の手紙を送ってきたんじゃないのか?」
 ルイス・ウィーズリーが言った。
「こいつは僕の家の梟じゃない。それに、長旅で相当疲れてるみたいだ。」
 ジェームズはそう言い、封を開いた。梟は弱々しく飛び去った。
「スコープからだ!」
 その声は、アルバス、フランクの傍に着席していたローズの耳にも届いた。







* 旧ゾンコ