二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 『ハリー・ポッター』二次小説〜騎士王の末裔〜    ( No.95 )
日時: 2013/04/07 16:18
名前: ウルワルス (ID: MDrIaVE2)

「へえ。スコープのやつ、ボーバトンでも『やらかす』つもりらしいな。さすがは僕の後輩だ・・・」

 「やらかす」ってどういうこと? ローズは思った。
 ジェームズが嬉しそうにしているからには、良いことであるはずがない。下手すれば退学につながるような、危険なことだろう。スコープは既にホグワーツを退学になっているのに・・
 それに、スコープは1人で行動を起こすのではないだろう。多分カトリーヌ・デラクールが一緒だ・・
 突然ジェームズが手紙から目を上げ、ローズの方を見やった。それからルイスに目配せし、2人は大広間から出て行った。ローズは食べかけの料理を消失呪文で消し去ると、2人の後を追った。





 ジェームズとルイスは男子寮に向かっていた。
「スコープからの手紙には、何て書いてあったの?」
 寮の階段の手前で2人に追いついたローズは、かなり険悪な口調で言った。
「君が気にするようなことじゃない。」
 ジェームズが言った。
「大体予想はついてるわ。
 スコープは、何か−−退学につながるような−ー危ないことを計画していて、あなた達に助言か協力を求めてきたんでしょう?
 スコープをボーバトンまで退学にさせたくないなら、彼を手伝うようなことはしちゃ駄目よ!」
「スコープがノットの授業に闘蛇を持ち込むという『危険』を冒そうとした時、君は止めようとしたかい?」
 ジェームズに言われ、ローズは言葉に詰まった。
「どうして今回は止めようとするんだい? もしかして、ルイスの又従妹のミス・デラクールのことが気になってるのか?」
 図星だった。もし今回の計画が上手く行けば、スコープとカトリーヌの仲は「共に『冒険』をやり遂げた」ということで一層親密になるだろう。そもそも、スコープがカトリーヌと秘密の計画を共有していること自体、ローズには耐え難かった。
「私は・・私はただ、スコープがボーバトンまで退学になるのが嫌なだけよ! それより、スコープからの手紙を私にも見せなさいよ!」
「くれぐれも、この計画がローズの耳に入らないようにしてください。」
 ジェームズが言った。
「何を言ってるの?」
「手紙の一部を読み上げたんだ。」
 ローズは言葉を失った。
「この通り、スコープは君に計画を知られたくないと思っている。だから、手紙を見せるわけにはいかない。」
 ローズはジェームズとルイスに背を向け、寮の出口に向かった。どこに行く当てもなかったが。
 どうして? 何故私に教えてくれないの? カトリーヌとは計画を共有してるのに・・。
 それだけ彼女のことが好きなの?







 気が付くと、ローズは誰もいない飛行訓練場に来ていた。
 ローズは芝地の端に腰を下ろし、ホグワーツ城の礎石に背を預けた。 
 1年次の飛行訓練の時間、スリザリン生によって箒から落とされたローズを、スコープが身の危険も顧みずに受け止めてくれたのは、この場所だった・・
 初夏の夜、2人きりで星空の飛行を楽しんだのもこの上空だった・・
 ローズは、涙が頬を伝うのを感じた。
 あの頃に戻ることができたら・・
 もしやり直すことができるなら、スコープがホグワーツを退学になるような事態は必ず防いでみるのに・・




「ウィーズリー。」
 突然声をかけられ、ローズは慌てて涙を拭い、顔を上げた。
 スリザリン生のヴァレンティン・レストレンジが、彼女を見下ろして立っていた。