二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.12 )
日時: 2012/09/14 19:43
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

熱中症になりました。
親に「自分が脈拍90もあったら幻覚見てる」とか言われたのですが、具合悪いのが通常運転なのでよく分からず。
皆さんも病気には気を付けて!
いやぁ、月露とマノレクにはご心配をお掛けしました。
ちなみにまだシリアスにはなりません。





 ウミの料理自体は美味かった。
 さすが製菓会社の製品開発部と言うべきか。
「で、今回はどこでやるんだい?」
「書いてあったじゃないか。いつもの所だ」
 いつもの所とは、かなり昔に打ち捨てられた古い廃工場のことである。
 そこは彼らが子供だったときから廃工場だった。
 それを良いことに、かなりの人数の子供達が入り込んでいて、勿論彼らもそれに漏れなかった。
「ああ。懐かしいよ。昔はお前達と僕で色んな所に入り込んだりしてな」
「そうそう!それでウミが泣き出したりな!」
「それはもう良いじゃないか!」
「あれで何回怒られたことか……」
 ガクが深く溜め息を吐いた。
 キヨとガクは俺達よりも年上なので、二人が大人達に怒られる立場なのだ。

 朝食を終えると、皆が各々の家に帰った。
 俺はやりかけの仕事が残っていたし、キヨは妻や幼い子供が家で待っている。
 次の締め切りは一ヶ月ほど先だが、何があるか分からないと言う衝動に駆られ、数時間でその記事を仕上げて、まだ明るいというのに布団の中に潜り込んだ。

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.13 )
日時: 2012/09/15 19:51
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

 その数日後、俺達は再びガクの家に集まった。
 勿論、ゲームを始めるために。
「今回は、服はどうするんだ?」
「そのままで良いんじゃないかい?それか、スーツみたいなのも良いね」
「動きやすいからね」
 毎回衣装みたいなのを決めて、そこからゲームに挑んでいた。
 何故衣装を付けたのはか、誰も覚えていない。
 何せ、二十年近くも前のことだからな。
 前は大仰な警官服で鬼ごっこをやったこともあるし、派手な着物で一人を追いかけ回したこともあった。
 あと、俺だけ何故かスカートって事が多かったな。
「だって、カゴが一番似合うからじゃないか」
「俺達がやったって可愛くも何ともないし」
「ただでかいだけだよな」
 そう言って三人は笑う。
 確かに俺はチビだ。
 でも、この四人の中では小さいだけで、世間的には標準だ。こいつらが馬鹿みたいにでかいだけだ。
「でも、カゴ、身長160くらいだろう?」
 反論できない。
 もしかしたら160も無いかも知れないからだ。
 キヨとウミは170位だろう。でも、ガクに至っては180を軽く越えていると思う。
 それで女形をやるには少々(かなり)でかすぎる。
「だからってさぁー……」
 俺がむくれると、三人はいつも苦笑して俺を宥めに掛かる。
「ああ、いや、別にカゴを傷つけようと思って言った訳じゃ……」
「でも、俺にスカートを穿かせるのはやめないんだろ?」
 すると三人は一斉に頷いた。
 そこは嘘でも否定しろよ!
 ああ、もう。何で俺だけ…。
 いつもいつも思うが、いつもいつも腹筋割れてる女形は嫌だなと思って、渋々俺が引き受けることになる。
 まったく……。

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.14 )
日時: 2012/09/16 19:39
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

「良い物があったよ」
 そう言ってガクが引っぱり出してきたのは、長いローブとオーバーズボンに布が何枚も重ねられた、派手な衣装だった。
「これ、かなり前に使ったやつなんだけど、使えるかい?」
「おお!」
「凄いな、お前」
「今までのイベントやPVで使ったやつなんだ」
「で……」
 他の三人が示したのは、一つだけ違う形の衣装だった。
「……やっぱり俺が着るのか?」
 一斉に頷く三人。
 それは一つだけオーバーズボンでなくショートパンツで、その下からガーターのように布が伸びている。
「……っなんで、いつも、俺なんだ、よぉ!」
「だって、カゴが一番可愛いからじゃないか」
「俺の意志は無視か!?」
 三人は顔を見合わせた。
 なんだか疎外感を感じるぜ……。
「その前に、カゴのサイズが合うのがこれしかないんだ」
 それで物凄く不満顔になった俺に、ガクが苦笑した。
「ごめんね、カゴ。前の警察の時は一回り小さいのがあったんだけど……。」
 更に不満顔になる俺。
「でもねえ……」
「どうしようもないしねぇ……」
「なんで俺だけ腹出てるんだよ!」
「デザインがこれだけ違うんだよ」
 これは仕方がないことなのか、あいつらの策略なのか。
 いつか、絶対に仕返ししてやろうと心に誓った俺だった。