二次創作小説(映像)※倉庫ログ

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.37 )
日時: 2012/10/04 18:57
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

番外編。

「なあお前ら。聞いて良いか?」
 あれからかなり月日が経ち、久しぶりに集まった彼ら。
 零には、取りあえず二人に聞きたいことが色々とあった。
「なんだい?」
「お前ら、結局彼女とはどうなんだ?」
「何を言い出すかと思えば……」
「良いじゃねえか。俺らだってこの歳だぜ?恋愛話くらい聞かせろ。—大丈夫だ。それを記事にしたりはしねぇから」
 そうなのだ。
 二人の恋人と言えば、方や世界に誇れる伝説の女優。方や知らぬ者は誰も居ないダイナマイトボディのスーパーモデル。
 そんなのが世間に知れ渡れば、スキャンダルの嵐とまでは行かないとしても大荒れになることは間違い無しだ。
 何より友人のことでスクープを取るのも、彼のポリシーに反する。
「気にするなよ。単なる僻みだ」
 机に肘を付き、大きく溜め息を吐く。
 その時、零の携帯端末の着信音が鳴り響いた。
「はい、籠宮—」
『あ、零?』
「なんだ、姉さんか」
『なんだとはご挨拶ね。今どこにいるの?』
 唐突な質問に少し戸惑ったが、素直に答える。
「ガクん家だけど?」
『今ね、あたしの横に誰が居ると思う?』
「はあ?そんなん知るかよ」
 スピーカーの向こうで声が笑っている。
『モデルの柴田芽依さんと、女優の明野琉美さんよ』
「はぁ!?なんでそんなことになってるんだよ!?」
 思わず声が跳ね上がった。
『偶然会ったんだけどね。何なら今からそっちへ行こうか?』
 横を向くと樂師と海里が慌てたような顔になる。
「そっちに予定とかあンだろ!?勝手に引きずり込んだらまずいだろ」
『大丈夫だって。今日は二人とも一日空いてるんだってさ』
 わざわざ今日のために予定を開けたのは、男衆には内緒だが。
「……わーったよ。ガク?」
 樂師は諦めたような顔で頷いた。
「良いとよ。ガクん家分かるのか?」
『大丈夫。琉美さんが知ってる。—じゃあ、後でね』
 電話が切れると、彼らの口から一斉に深い溜め息が漏れた。
「女共には勝てねえ、か……」

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.38 )
日時: 2012/10/05 23:54
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

参照200有り難うございます。
記念に何か描きたいけど今中間テスト前で数学の提出物終わってなくて他にもイラリクとか来てて今月末は文化祭なのに個人製作全然出来てない、一体自分は何処に行こうとしているんだろうと考える中学三年の秋。



「こんにちはー♪」
「本当に来やがった……」
 ドアを開けるとそこに立っていたのは、案の定籠宮理奈を筆頭とする三人組だった。
「良いじゃないの。あんたはお二人から今の芸能界事情とか聞けば?それで仕事になるなら安いもんじゃないの」
「まあそうだけどさ……」
 後ろの二人も苦笑している。
 零は軽く会釈すると、海里の腹に肘鉄を入れてやった。
「どうしてお前の彼女、あんなにスペック高いんだ?」
「いや、俺に言われても……」
 彼自身、どうしてモデルの彼女が自分の恋人になっているのか、よく分かっていないのだ。分かっていることは、自分は彼女が好きで、彼女も自分のことを好いていてくれているらしいと言うことだ。
「後でゆっくり尋問してやるからな」
「ご勘弁を……」
 確かに女優とモデルの二人は、テレビの画面で観るよりよっぽど美しく、優雅にそこに佇んでいた。
 問題は性格だが、この二人と上手くやっていけている時点でその問題は解消される。
「始めまして。籠宮理奈の双子の弟、籠宮零です。ライターやってます。いやあ、仕事柄芸能人に会うことは少なくないんですが、こんな大物に会うのは始めてで嬉しいなあ」
「ちょっと零!?あたしは!?」
「姉さんはもう見慣れてるよ」
「あたしだって一応この業界に入って長いんですからね!?馬鹿にしてると、あんたの就職先潰すよ!?」
「げ、弟を路頭に迷わせる気かよ?」
 再会して早々に姉弟喧嘩を始める二人をよそに、初対面の挨拶を交わしていた。
「あ、えっと四条海里です。一応サラリーマンだけど、スーツとか普段着ないし、開発部なんでそんな感じはしないかな……」
「明野琉美です。いつも神代がお世話になっております」
 流石の大女優。歳が一つ違うだけなのに、纏っている貫禄が違う。
「柴田芽依です。何度かお会いしたこと、在りますよね?」
「ええ。何かの撮影会でお会いしました。よろしくお願いします」
「おいウミ」
 ようやく姉から逃げ出し、ターゲットを定めた零が言った。
「ちょっと座れや」
「?」
「ここでは何だから、皆さん上にあがって下さい。ほらカゴ。行くよ」
 不満顔の零を引き連れ、芸能人だらけの一同は二階に上がった。

【VOCALOID】13943号室【VanaN'Ice】 ( No.39 )
日時: 2012/10/06 19:19
名前: 月森和葉 (ID: ngsPdkiD)

今日は夜8時からミクパの生放送とかで、結構楽しみです。
知ってる曲が多いといいな。





「でだ。海里」
「ん?」
 零は何も言わずに海里の身体をべたべたと触りだした。
「はぁ?」
 首筋、二の腕、太もも、最後にはシャツを捲って腹筋を見る。
 そして一通り確認した後、海里を指差して芽依に問うた。
「なあ、柴田さん。こいつのどこがいいんだ?」
「それはひどいなぁ」
 反論したのは、海里本人だった。
「なんでって……。なんでだろう……?」
「芽依ちゃん!?」
 海里は慌て、芽依は真剣に考え込んでいる。
「私が海里に会ったのは結構前ですが、本当に偶然だったんです。もしかしたら、神様の思し召しだったのかも知れませんね」
 そう言って優しく微笑む芽依に、海里と零は何も言えない。
「……そう、なのか?」
「俺もよく分かんないけど……、向こうがこっちを気に入ってくれたみたいだった」
 芽依は座る位置を変え、理奈と楽しげに話している。
「お前から付き合ってくれって言ったのか?」
「ん?あ、ああ……って、何言わせんだよ!」
「良いじゃねえか、この際。俺だってそんなので記事書こうとも思わねぇし」
「……そうか」
 妙に納得した顔で頷いた海里だった。
「俺、芽依ちゃんが俺のこと本当に好きなのか、ちょっと聞いてみたいな……」
「やめとけ。どうせ、あの様子だったら自分から何か話してくれるだろうから」
「なんでそんなのが分かるんだよ?」
 少し訝しげに零に問う。
「それはな……。敏腕記者の勘だ」
 海里は驚いたように目を見張ると、やがて溜め息を吐いた。
「……お前が彼女出来ない理由の、その二ってとこだな」
「あ?」
「何でもないよ」
 笑って誤魔化すと、すっかり結露してしまったコップに口を付けた。



番外編その一はこれで終わりなんですが、まだ次の中編が書き終わってないので、番外編その二になります。
すいません。。。