二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Dragon QuestⅧ 勇者と魔王の軌跡 第5話 ( No.6 )
- 日時: 2012/09/20 11:19
- 名前: フレア (ID: FGaLWoyh)
「やーっと見えてきたか」
トロデはため息混りの声で言った。
あたりはもう日が沈む寸前である。
こうなってしまったのは魔物のせいではない。
魔物は半日前にサフィラが唱えたイオナズンによって、
恐怖におののき全く姿を現さない。
原因はエイト。
彼が先導してまた道に迷ってしまったのである。
「うぅ・・・
どうせ僕なんかぁ・・・」
そういっていじけるエイト。
「泣くなエイト!
君はよく頑張った!」
「そうでがす!
兄貴は何も悪くないでがす!」
「ヒヒ〜ン・・・」
仲間達は必死に慰めの声をかけるが、
そういうのがかえって傷つけてしまうらしい。
「ぐすっ・・・」
「ヤンガス、しばらく放っておこう」
「その方がいいでがすね」
「ヒン・・・」
「どうでもいいがおぬしら何を話しとるんじゃ?」
完全にトロデの存在を忘れていた
サフィラ、ヤンガス、ミーティアまでもが
突然後ろから声をかけられてびくっと震える。
「おっさん・・・
あっしら完全におっさんの事を忘れていたでがす」
事実をヤンガスは言ってしまったのでトロデは案の定
「そんなひどい・・・」
といじけてしまった。
「ったく仮にも王がこんなんでいいのか・・・
ほら!
エイト、トロデ王、行くよ!!」
サフィラはエイトを引きずるようにして、
ミーティアは再び馬車を曳いてトラペッタへ向かった。
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第6話 ( No.7 )
- 日時: 2012/10/12 09:52
- 名前: フレア (ID: t.UaRjME)
トラペッタに入ると多くの人に訝しげな目で見られた。
そんな様子にサティラはため息をつく。
(外見だけで決めつけて欲しくないな)
とつい最近まで人間を疑っていたはずのサティラは思う。
「そういやぁ、トロデ王。何故この町に来たのですか?ここには禍々しい気は感じられませんが」
ふと疑問に感じたことを口にした。
「ふむ、この町にはマスター・ライラスという
ドルマゲスの魔術の師匠がおるのじゃが、そやつに聞けばドルマゲスの足取りがつかめるだろうと思ってな」
いつの間にか立ち直っていたトロデはサティラの疑問に答えた。
「ふ〜ん・・・そういうことなら早く行こう!!
ほら、エイト、ヤンガス!何ぼーっとしてるの!」
「う〜・・・・・・」
「眠いんでがすが」
「寝るのは後々!さ!早く行こう!」
「何でそんなに元気なの・・・?」
エイトが目をこすりながらエイトは言ったが、
サティラは笑っただけで何も答えてはくれなかった。
町の入り口あたりに馬車を止めた一行は、
トロデとミーティアを馬車に残してまずは情報収集を始めた。
「情報が集まりやすいのって酒場だよねぇ」
「うん・・・取りあえずそこいってみよう」
酒場に行くと一人の中年男が酒を飲みながら、
マスターを困らせていた。
そこで彼は確かにその言葉を口にした。
マスター・ライラスは死んだ、と。
驚く暇もなく次に最悪な事態が起きた。
酒場のドアが乱暴に開き
「大変だ!
魔物が・・・魔物が待ちに入り込んできた!!」
あわてた様子で青年は言った。
その青年を先頭に酒場にいた者はぞろぞろと酒場から出て行く。
「もしかして・・・トロデ王のこと?」
「!!こうしちゃいられない!!
二人とも!早く陛下の所へ行こう!!」
二人が答える間もなくエイトは全力で走り出した。
「ヤンガス!私たちも早く行こう!!王と姫が危ない!!」
サティラとヤンガスは互いに顔を見合わせて走り出した。
- Dragon QuestⅧ 勇者と魔王の軌跡 第7話 ( No.8 )
- 日時: 2012/09/10 09:01
- 名前: フレア (ID: KHP5yx1r)
酒場の外に出るとエイトが道をふさいでいるおじさんと問答していた。
「通してください!
僕たちは急いでるんです!!」
「あの魔物は危険だ!
君だって怪我したくないだろう?」
「エイト!
他の道を探そう!
そんな事していても時間も無駄だ!!」
「こっちあいてるでがすよ!!」
「ヤンガスグッジョブ!!」
3人は駆け出す。
「あ、ちょっと君たち!!」
3人にはおじさんの静止が聞こえたがそれでも走った。
「魔物だ!」
「魔物は出ていけ!!」
「こっちを見たぞっ!?」
「なんて醜い姿なの……いやぁ、こっち見たぁ!」
広場には町の人々に囲まれたトロデとミーティアがいた。
町の人々はトロデに向かって石を投げる。
トロデの顔が痛みで歪む。
そのとき
「ヒヒンッ」
トロデの前にはかばうようにミーティアが立ちはだかる。
そこへタイミング良くサティラ達が駆けつけた。
そして罵声を背に受け町を出たのであった・・・
「やれやれ、酷い目にあったわい。
・・・わしを誰だと思っているのじゃ!
まったく。
・・・人は見た目ではないと言うのにのう・・・」
「うんうん、まったくでがす」
ヤンガスも珍しく同意する。
(・・・あの町の人たちは否定できないな。
私も小さい頃に人に危害を与えないスライムを
倒そうとしてたし・・・
勝手に魔物は危険な存在だと思いこんでた)
一人思うサフィラ。
「・・・ときにエイト、
ドルマゲスの師であるマスター・ライラスは見つかったのかのう?」
無言で首を振るエイト。
「大変申し上げにくいのですが・・・
マスター・ライラスは火事で亡くなっていたのです」
申し訳なさそうにエイトは言う。
「なんと!
既に亡くなっていたとは・・・・・・
なら仕方が無い。
元々我らが追っているのはドルマゲスなのじゃから、
底を深追いする必要も無かろう。
よし、そうと決まったらさっさと準備せい!
ライラスがいない今、此処に用はないのじゃ」
そういって馬車を方向転換して新たな町へ向かおうとする一行。
しかし、それを制したのは
「あっ!・・・あのっ、」
みんなが声の方に振り向く。
そこには、
エイトと同じぐらいの年齢の少女が立っていた。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第8話 ( No.9 )
- 日時: 2012/09/10 12:58
- 名前: フレア (ID: uw8.zgie)
「あの、お願いがあるのですが・・・」
普通に話しかけてくる少女に対し、
ヤンガスとトロデも思わず顔を見合わせる。
「・・・おぬし、儂を見ても驚かんのか?」
その質問に対し、少女は真面目な顔つきで答える。
「夢を見ました。
人でも魔物でもない者が力になってくれる、と・・・」
思わずガーンとなるトロデ。
「何!?
人でも魔物でもないって儂のことか!?」
「いや、私じゃない?」
今まで黙っていたサフィラが口を挟む。
「どっちかって言うと姐さんの方が近いと思うんでがすが。
魔族とエルフの血を引いてるんだったら姐さんのほうが」
「ストップ。
えっと・・・
君、名前は?」
勝手に談議を始めてしまった3人を制し、
少女に名前を聞くエイト。
「占い師ルイネロの娘、ユリマといいます」
「願い事って?
物によっては叶えてあげられないかもしれないけど」
「ここで立ち話もするのも危険ですし、
私の家で話します。
私の家は教会から出て右に行った所にある
井戸の前にあります。
私は先に行って待ってますから」
そういって走り去ってしまうユリマ。
「え、えらい!!!」
耳がおかしくなるほど大声で叫ぶトロデ。
「もしこれがうまくいったら、
ドルマゲスの行方を占ってもらえるかもね」
まだキーンという音が残っている耳を押さえながらサフィラが言う。
「よし、早速行こう。
陛下はここに残っていてください。
また騒ぎになるので」
「そうするかのぉ・・・」
少し寂しそうに答えるトロデ。
再び町に入るともう既に夜が更けているためか
ほとんど人がいない。
そんな中、3人はユリマに言われた通りに家へと向かった。
「井戸の前の家・・・
ここだね」
エイトがそう呟いておじゃましまーすと3人はその家に入る。
家には水晶の前で寝ているユリマがいた。
「おーい・・・
ユリマさーん?」
ちょんちょん、とサフィラがつつきユリマは目を覚ます。
「あ・・・
皆さん!ごめんなさい。
私がお呼び出ししたのに・・・」
「大丈夫、気にしないで。
ところで願い事って・・・?」
「はい、滝の洞くつから水晶を取ってきて欲しいのです!
・・・・・・ってちょっと話を飛ばしすぎましたか?」
うん、とうなずく3人に対してごめんなさい、と呟いてから
ユリマは話し始めた。
「実は・・・
父のルイネロの今まで占いでぴたりと探し物が見つかっていたのに、
いつの頃からか占いが当たらなくなってしまい、
毎日酒に明け暮れるようになってしまったのです・・・。
私が思うにそこの水晶玉がただのガラス玉に・・・」
「ユリマ!!」
突然後ろから中年の男性の声がし、
一同は声のした方向へと振り返る。
「む・・・?
客人か。
娘にどんなことを言われたか知らないが、
私に構わないでくれ」
そういって2階へ行ってしまう。
(あの人、酒場で泥酔していた人だ・・・)
「・・・父がすいません・・・
占いが当たらなくなってからずっとあんな調子で・・・」
「とりあえず、やれるだけやってみるよ。
ちょうど占って欲しいこともあるし」
エイトが言う。
「はい・・・お願いします」
ユリマは深々と頭を下げた。
「えらい!!」
トロデの所へ戻った3人は、
事情を伝えた後でまたばかでかい声で叫ばれ
耳を押さえる。
「おっさん・・・
いや、まぁいいや。
もう眠いんでトラペッタの宿屋で寝てきていいでがすか?」
ヤンガスが目をこすりながら言った。
「うむ・・・
探索は明日からでもいいな。
あ、儂とミーティアは外で待ってるからな。
もうあんな目に遭うのはごめんじゃわい」
「じゃーはやくいこ〜
早くふかふかのベットで寝たい〜」
寝ぼけ眼でエイトに訴えかける少女。
苦笑しながら3人はトラペッタに入っていった。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第9話 ( No.10 )
- 日時: 2012/09/10 11:05
- 名前: フレア (ID: KHP5yx1r)
3人はトラペッタの宿屋に行った。
ヤンガスは着くなり爆睡していたが2人はまだ起きていた。
「ねぇ、サフィラ・・・」
言うか言うまいか迷っていたが結局彼は言った。
「いろいろ聞きたいことがあるんだけど・・・」
「あぁ、いいよ。
私もあなたに聞きたいことがあったし」
といって2人はベッドに腰掛けて向かい合う。
「じゃあ・・・
僕らが最初に出会ったとき、君は何であんな所に倒れていた?」
「・・・それはまだ言えない。
あんたらに背中を預けられるぐらい信頼できるようになったら話すよ」
「・・・・・・そっか・・・
じゃあ、僕らの旅に同行したい理由って?」
「ごめん。
それもだめだ」
「そう・・・」
「ところで、そのポケットに入っているネズミ、何?」
話題をそらすように言うサフィラ。
「うん?
あぁ、トーポって言うんだ」
(少し・・・
微かにだが魔力を感じる。
思い切って聞いてみるか)
「なぁ、今までなんか変なこと起こらなかった?」
「うん、チーズ食べさせたら火、吹いてた」
「・・・ちょっと触ってみてもいい?」
「どうぞ」
慎重にトーポをサフィラに渡すエイト。
「ふふっ・・・
可愛いな」
笑顔を浮かべている少女をエイトは心配顔で見つめる。
そう、サフィラを旅に連れて行くか行くまいか
この町で決めなければならないのだ。
いくら強力な魔法を操れるからって、
いくら長い時代を生きていたってまだこの娘は幼い。
「ねぇ、君に覚悟はある?」
唐突に話しかけられ驚くが、コクリと頷く。
「それが私の宿命なんだ。
私に課せられた使命なんだ。
それを成し遂げられるならばこの命を捨ててもいい」
急に大人びた口調でサフィラは言った。
宿命と言うのが気になったが
聞いても答えてはくれないだろうと思い、
あえて聞かなかった。
しかし、その言葉を聞いてエイトは安心した。
「君を旅に連れて行ってもいいよ」
「ありがとう」
「でも、命まで捨てちゃあいけないよ。
死んだら元も子もないし」
「肝に銘じておくよ。
ふぁ〜あ・・・
もう限界だぁ・・・」
と言ってトーポをエイトに返すとおやすみ、と言ってから
ゴロンッとベットに横たわり、
すーっすーっと寝息を立て始めた。
「おやすみ・・・」
そう呟いてエイトは灯りを消して寝た。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第10話 ( No.11 )
- 日時: 2012/09/10 14:34
- 名前: フレア (ID: uw8.zgie)
「ふぁ〜
おはよう、エイト、ヤンガス。」
大きなあくびをしてからサフィラはあいさつをした。
「おはよう」
「おはようございやす」
と2人は短く答える。
「さっそく滝の洞窟だっけ?
そこに行こう行こう!!」
わくわくしているサフィラを前に
「なんか元気いいでがすねぇ」
「ちょっと昨日、ね」
と2人は苦笑した。
トラペッタの町を出てトロデとミーティアと合流し、
滝の洞窟へ向かう一行。
今回はトラペッタからもよく見える場所だったので迷わなかった。
「では、儂とミーティアはここでまっておるから
3人で行ってこい」
滝の洞窟の入口に着くとトロデにそんなことを言われた。
「おっさんあっしらと居た方が安全だと思うんでがすがねぇ・・・」
ヤンガスが言う。
「ばかもん!!
こんな薄汚いところに王族が入れるか!!
魔物については心配いらん。
儂のことを魔物かと思っておるのか、
まったく襲いかかってこんからな。」
(王族が入れるかって・・・
今まで私が行った別の世界でも
王子とか姫君とか普通に洞くつ入っていたけどなぁ。
まあ、非戦闘員だから仕方がないか)
サフィラは一人思った。
「では、陛下。
洞くつの件は任せておいてください」
エイトがトロデに言った。
「おっ!
中は意外と明るいんだね!!」
「うん、たいまつを使わなくても良さそうだね」
そんなことを話している間に魔物は出てきた。
すぐに3人は各々の武器を構える。
「サフィラ!!
なるべく魔法使わないで!!
洞窟崩れるから!!」
「は〜い」
つまんなそうに答えながら剣で
メタッピーを、メラゴーストを、いたずらもぐらを
次々と切り伏せていく。
男2人も負けじと戦っていくとあっという間に片付いてしまった。
「このぐらいだったら水晶すぐ手に入りそうだね。
おっ、宝箱発見。
中身は・・・地図だ」
サフィラはちょっとあきれ顔になる。
「何でこんな分かりやすい所に・・・」
「それは言わない約束でがす」
奥へ進むと旅の商人に会った。
「いやー、お宝があると思って来てみたら
道に迷ってしまいましたよ〜」
(((あの宝箱取らなかったのか・・・
あんな分かりやすいところにあったのに)))
初めて3人の心が1つになった瞬間である。
そんな商人はエイトがリレミトを唱えて入り口まで戻してやった。
さらに奥へ進むと最深部と思われる場所へ着いた。
奥には水晶玉が宙に浮いていた。
「あれがルイネロさんのかな・・・
よっと」
エイトが身を乗り出して水晶玉を取ろうとすると、
赤い魚が水から飛び出してきた。
「お主がこの水晶玉の持ち主か・・・?」
「えっと・・・はい!!」
元気よく答えるサフィラ。
「ちょっとぉぉぉぉぉ!!」
エイトが悲痛な叫びを上げる。
「このときをどんなに待ちわびたか・・・
ようやく・・・
ようやく復讐することが出来る!!
冥土のみやげに教えてやろう!
我が名はザバン!!
この滝の洞窟の主なり!」
言い終わると同時にザバンは黒い霧を指先から放つ。
呪いの霧だ。
「くそ・・・
動けねぇ・・・」
ヤンガスは呪いの霧をまともに食らい、動けない。
しかし、エイトは呪いの霧から身を守るように
何かの紋章が出てきてそれを跳ね返す。
「?」
エイト自身も困惑しているようだった。
サフィラも呪いの霧をモロに食らっていたが
全然平気そうだ。
「むっ・・・
お主はまさか、トロデーンの兵士か!?」
急に攻撃を止めてザバンはエイトに尋ねた。
コクリと頷くエイト。
「・・・少し話しをさせてくれ。
大国トロデーンがあるのを知っておろう?
その城が、一夜にして呪いで滅びたという。
たった一人を残してな。
それがおまえじゃろう」
「兄貴が・・・?」
呪いが体から消えたヤンガスが呟くが
「・・・・・・・・・」
エイトは何も答えない。
そして、ザバンの目はサフィラに向けられる。
「お主は儂の呪いが効かないところを見ると、
魔王の血を受け継いでいるように見えるのぅ」
「ああ、私の体は呪いを全く受け付けないよ」
真顔で言うサフィラ。
「しかし、何故その者がこやつらと・・・
えぇい、とにかく!!」
考えていてはきりがないと思ったザバンは
「とにかく、その水晶はお主らの物じゃないんだろう。
いきなり襲いかかって悪かったな。
本来の水晶玉の持ち主に言え!
むやみに滝つぼにものを投げ込むな、とな!!」
額の傷を押さえながら叫ぶザバン。
そして水晶玉を残して水に消えてしまった。
こいつは被害者だったんだなとサフィラは思った。
「よし、水晶ゲット。
エイト、コレ持っていてくれないかな?
私じゃあ壊しそうだ」
「う、うん・・・」
何かを考えていたエイトは我に返って水晶玉を受け取る。
「リレミト!」
水晶玉をバッグに入れてからエイトは呪文を唱えた。
その瞬間、3人の体は光に包まれきん、と光って消えた。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第11話 ( No.12 )
- 日時: 2012/09/11 09:41
- 名前: フレア (ID: SzPG2ZN6)
リレミトの呪文を唱えて入口に戻った3人。
水晶玉は手に入ったが、エイトは何か思い詰めた様子だった。
「どうしやしたか?兄貴」
ヤンガスが聞いても
「ううん、なんでも」
と答えるだけだった。
「ルーラ!!」
エイトが覚えたての呪文を唱えて
トロデ、ミーティアも含めた一行はトラペッタに向かった。
「ユリマさん、水晶玉ってこれであってる?」
ユリマの家でサフィラ達は水晶玉をユリマに渡す。
「はい・・・!
皆さん、ありがとうございます!
これでお父さんも前のように・・・!」
ユリマはぱっと笑顔になり深々と頭を下げる。
と、そのとき。
コツ・・・コツ・・・と階段を下りる音がした。
「お引き取り願おうか、客人」
「お父さん・・・!」
ルイネロがサフィラ達を睨む。
「私に構うな、と言ったはずだ。
まあいい。
今度は二度とこの手に届かぬよう水晶を砕いてやる。
さあ、ユリマ。水晶を渡せ」
「嫌です!
お父さんとお母さんが死んだのはあなたのせいじゃない!
なのに・・・どうして・・・」
ユリマが涙を流す。
「ユリマよ・・・
お前の両親が死んだのは紛れもなく儂のせいだ。
儂があ奴に教えなければ・・・」
「違う!
お願いだからそんなに自分を責めないで!
私の気持ちも分かってよ!」
そんな様子を見てサフィラ達は2人に何も言えなかった。
「この儂を許してくれるのか?ユリマ・・・
儂は調子に乗っていたせいで2人も人間を殺してしまった・・・
そんな儂をお前は許してくれるのか?」
「言ったでしょう?
私はお父さんを恨んでなんかいない・・・
本当のお父さんと母さんが死んだのだって、
父さんのせいじゃないって・・・」
目元の涙を指で拭うユリマ。
「どうやらおじゃまみたいだね。
帰ろう。」
小さな声でエイトは仲間に言った。
「うん。
もう、この家は大丈夫そうだね」
サフィラもそういって3人は帰ろうとしたが
「・・・気が変わった。
お主達、今日はこの家に泊まっていけ。
占って欲しいことがあるのだろう」
「では、お言葉に甘えて」
サフィラが言うが
「ちょっとサフィラ・・・
せっかく仲直りできたのに水指しちゃあ・・・」
すかさず反対するエイト。
「大丈夫だ。
儂らからの気持ちとして受け取ってくれ」
「あ、ありがとうございます・・・」
ちょっととまどい気味にエイトは言った。
- ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第12話 ( No.13 )
- 日時: 2012/09/11 10:28
- 名前: フレア (ID: SzPG2ZN6)
「・・・・・・」
エイトはなかなか寝付けずに外に出ていた。
エイトは悩んでいた。
未だにあのザバンに言われたことが気になっていたのだ。
なんで僕だけ呪いにかからなかったんだろう。
城の人たちが苦しんでいるのに何で僕だけ・・・
そんな中同じように町を歩いているサフィラに会った。
「君を追いかけてきた。
何か思い詰めているような顔、してたからね。
一人で何を抱え込んでいる?」
「・・・・・・」
「一つ昔話をさせて」
いいよ、という返事が返ってきてサフィラが話し始める。
「昔むかし、山奥に人知れずにあった村がありました」
サフィラは子供に昔話をするかのように話す。
「その村には、天空人と呼ばれる背中に翼を持つ者の
血を引く二人の若者・・・双子の勇者がおりました。
その名はソロとソフィア。
この二人は幼なじみの女の子、シンシアといつも一緒におりました。
毎日、幸せに暮らしていました。
しかし、そんな日常も長くは続かなかったのです・・・
ある日突然村が魔物に襲われました。
魔物達の狙いは勇者。
村の大人達は勇敢にも魔物に立ち向かいましたが、
ことごとく破れてしまいます。
勇者は村の剣士に連れられて倉庫にかくまわれます。
そんな中、シンシアはモシャスという呪文で二人に化け、
勇者の身代わりになって・・・
勇者が倉庫から出ると、
村から誰も居なくなって居ることに気がつきます。
そこにあったのは血と炎と
いつもシンシアがいつも身につけていた羽帽子だけ・・・
村人達は皆、殺されてしまったのです。
悲しみに暮れていた二人の勇者は魔物達に復讐を誓います。
そして、二人は山奥の小さな村から出て、
いずれ世界を救うこととなるのです・・・」
そこまで聞いてエイトはその勇者は自分と似ているが、
大きな違いがあることに気がつく。
「その二人の勇者の家族とか友達とかは死んでしまったけれど、
トロデーンの人たちは呪われているだけでまだ生きている・・・」
サフィラは頷いてから
「えぇ、
そしてトロデーンを救えるのは君しかいないんだよ。
だから、元気出して」
「うん・・・
ありがとう」
エイトが礼を言った。
「何でもかんでも一人で背負い込もうとしないでよ!」
「分かった。
さ、ユリマさんの所帰ろう」
「は〜い・・・
明日はドルマゲスの行方占ってもらうんだよね?
ドルマゲスって奴がどんな奴か知らないけど、
絶対に負けられないね」
そうだね、とだけエイトが答えて二人はユリマの家へ向かった。