二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第50話  ( No.105 )
日時: 2012/11/12 14:13
名前: フレア (ID: oqn8OaZU)

「久しぶりですね。ルイネロさん」
「エイトさんっ!」
「おぉ、お主らはいつぞやの……!」
ルーラでトラペッタにやってきた一行は、トロデとミーティアを外に残し、宿屋に一泊した。
昼間まで死んだように眠り続け、たった今起きてきた五人は真っ先にルイネロの家へ向かった。
「見ない顔も居るようだし……旅は順調か?」
「いえ……」
エイトは苦笑し、ドルマゲスが北の大陸に渡り、それを追うために船が必要な事、
荒野の船を蘇らせるには月影のハープとあやかしの笛が必要だと言うこと、
そしてそれらの在処がどこなのかが分からないと言うことを伝えた。
「ふむ、それなら簡単だ」
ルイネロは水晶に両手をかざし、目を瞑った。
「………むんっ!」
透明だったはずの水晶にはとある城が映った。
「アスカンタ城?」
サフィラが呟いた。
「待って、まだある」
家の中は静かになり、水晶からアスカンタ城が消えると魔物達が人間と同じように話し、笑い合っている映像が見えた。
「………?二番目に出てきたのは何だろう?」
エイトが小首を傾げた。
エイトが今まで旅をしてきた場所には、魔物が人間と同じように暮らしている所など無かったからだ。
「さあな。これはそちらのお嬢さんの方が詳しいのではないか?」
ルイネロはサフィラの方に目を向けた。
仲間達も自然とサフィラの方に目を向ける。
「………………」
サフィラはうつむいたまま、一言も発しない。
「………サフィラ」
「………………少しだけ、少しだけ考えさせて。せめて、月影のハープを手に入れるまでは………」
「サフィラ………」
苦しそうだった。
誰よりも強い、魔王のサフィラは今にでも崩れそうだった。
「………おじゃましました」
サフィラはドアを開けると、駆け出した。
「あ………」
エイトは止めようと手を伸ばしたが、思い留まった。
せめて今は、彼女を一人にさせてあげたい、と思ったからだ。
「……ありがとうございました。ルイネロさん」
「ああ。くれぐれも仲間割れだけはしないようにな」
半眼でルイネロはゼシカとククールを見やった。
バツが悪くなった二人はルイネロから目を逸らす。
「くれぐれも死なないでくださいね」
ユリマは心配そうに、エイトに向けて言った。
「大丈夫。大袈裟だよ。楽器ぐらいで」
エイトは笑った。
しかし、後に本当に死の淵にまで追いつめられる事をエイト達は知る由もない。

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第51話  ( No.106 )
日時: 2012/11/12 14:49
名前: フレア (ID: oqn8OaZU)

「………」
サフィラはアスカンタの宿屋のベッドに寝、悩んでいた。
エイト達はハープについてパヴァンから情報を貰うため、城に行っているので部屋にはサフィラ一人しかいない。
——私はどうしたらいい?マスタードラゴン……。
サフィラの脳裏には天空に浮かぶ城にいる、巨大な漆黒の竜が浮かんでいた。
——そりゃあ、エイト達はもういくつもの死線を乗り越えてきてるし、信用も出来る。だけど……。
「………すぅ」
そこでサフィラの思考が停止し、深い眠りへと落ちていった……。

『どうした?サフィラ』
短い淡紅色の髪に、深紅の瞳をした青年が淡い光の中でサフィラに話しかけてくる。
「兄ちゃん?兄ちゃんなの!?」
サフィラは目を見開いた。
行方不明になった兄が居たからだ。
サフィラは兄に駆け寄ろうとするが、いくら歩いても、いくら走っても兄の元へは行けない。
「何で……!?何でなんだ!?」
『サフィラ……お前は何を恐れているんだ?マスタードラゴンなんざ怖くねえだろ』
「あの分からずやの竜は怖くないよ。私が恐れているのは……仲間が離れていくことだよ」
サフィラは胸に手を当て、半端な目で兄を見る。
『お前が一緒にあいつらと旅してきて、お前はどうだったか?』
「え?」
『お前はあいつらがそれくらいでお前に対して恐れを抱くと思うのか?』
サフィラは無言で首を横に振る。
『なら大丈夫だ』
青年はにかっと笑い、すぅっとサフィラの前から消えていった。
「兄ちゃん!?兄ちゃん!!」

「サフィラっ!起きて!!」
「あ……エイト…………」
目を擦り、エイトを見つめるサフィラ。
「夢、か……」
サフィラは溜息を吐いた。
「月影のハープ、王様に言ったら貰えたわよ!」
「まさかただで貰えるとは思いやせんでした!」
ゼシカとヤンガスが嬉々として言った。
「……みんな……………」
サフィラは迷ったような表情を浮かべていたが、やがて顔を引き締め
「私があやかしの笛があるところまで連れて行ってあげるよ」
としっかりした口調で言った。
「どこにあんだ?そのあやかしの笛ってのは」
「異世界」
「「「「………は?」」」」
四人の声がぴったりと重なった。