二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第80話 ( No.152 )
- 日時: 2012/12/15 15:33
- 名前: フレア (ID: iIvAbzaF)
サザンビークに帰ると多くの屋台が建ち並び、城下町は賑わっていた。
「ほう、もうバザーが始まっていたのだな。エイト、城に戻るのは後にする。ここから別行動だ」
チャゴスは言うなり駆け出していった。
「はぁ……エイト、追いかける?」
「うん。王子いなきゃ鏡も受け取れないし」
サフィラの質問にエイトは頷いた。
「じゃー、バザー見ながら王子探そうぜー」
「そうね。じゃあ私はサラとミーティアと一緒に行動するから」
「いいですね。女子三人でゆっくり見たいので」
ゼシカの意見にミーティアは賛成し、サフィラも頷いた。
「闇商人には気を付けた方がいいでがすよ〜」
ヤンガスの言葉に分かった、と言って六人は別れた。
「美味しいですね……」
ミーティアは焼き鳥を食べながら呟く。
「少しタレが甘くていいねー」
「旅に出てからこんな風に行動したことが無かったから新鮮に感じるわ」
サフィラとミーティアは頷く。
確かにゼシカの言う通り旅に出てから戦いばかりだった。
「ところでさ……ミーティア」
「はい?」
サフィラはふと真顔になって訊いた。
「アルゴンファッツと戦ったとき、唱えた呪文……カラミティブラストだっけ?あれはどうやって習得した?」
「どうやってって……。実は今日初めて使ったのです。その呪文の存在を本で知って……」
「ねえ、呪文って本で覚えただけで習得出来るものじゃないわよね?」
「うん。どんな呪文を覚えられるか、もしくはどんな呪文が得意なのかは人それぞれなんだ。私は闇系、ゼシカは炎系、エイトは回復系、ククールは風系、ヤンガスはそもそも使えないといったように。多分ミーティアは時と空間を操る呪文を唱えられるんじゃないかな?」
「時と空間を操る呪文……?」
ミーティアは胸に手を当てる。
「結構凄い事なんだよ。流石に別の世界までは行けないけど、これにはこの世界でもほんの一握りも居ない位術者が限られているらしくてね。ミーティアが戦いで経験を積んでいくうちに自然と使えるようになっていくはずだよ」
「そうですか……。……皆さんの足手まといにならずに済みそうです……」
「何言ってるの〜。元々あんた結構強いじゃないの」
ゼシカがばんばんとミーティアの背中を叩く。
「足手まといになんてなっていないって。王家の山でアルゴリザードと戦ったとき、かなり助けられたんだから」
「……ありがとうございます」
ミーティアは少しはにかんだように二人に笑いかけた。
一方男達は。
「あ、あれチャゴス王子じゃないか?」
ククールの指差した方向には背の低く、肥っていて緑色の服を着ている奴が居た。
何やら男と話している。
「王子、何をしているんですか?」
エイトがチャゴスに話しかける。
「おお、エイト。丁度良いところに来た。これが何だか分かるか?」
チャゴスが持っていたものは両手で持つのがやっとだという位の特大アルゴンハートだった。
サフィラ達が全力で取ってきた物より遙かに大きい。
「そこにいるバザーの商人からたった今買い取ってな」
チャゴスは得意げな表情で話す。
「今まで手に入れたアルゴンハートはそなたにくれてやる」
「まさか王子!それを城に持ち帰るつもりですか!?」
「察しが良いな。もちろんこのことは内密に。この商人もバザーが終われば国を出るだろうから秘密が漏れる事はない」
もうエイト達は怒る気持ちすら沸いてこない。
ヤンガスとククールももうこいつ終わりだな、的な顔をしている。
「ではここでお別れだ。皆の賞賛を浴びる僕の晴れ姿を見たければ、そなたも城へ来るがいい」
チャゴスは城へと走っていった。
「……チャゴス…………」
エイト達以外にもう一人、その様子を見ている者が居た。
「お前はなんということを………」
双眼鏡を下ろし、サザンビーク国王クラビウス王は嘆いた。