二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 Ⅰ  ( No.192 )
日時: 2013/02/26 15:02
名前: フレア (ID: dsQCTK9g)

やあ、こんにちは。
僕の名はサティア・ドラグニウル。
ふふっ、そう構えることは無い。
僕はただ君に話をしに来ただけだ。
それに、僕の肉体はとっくの昔に消滅したから君に触れることすら出来ない。
ま、その辺の話はともかく。
話っていうのは200年前の勇者と魔王の話だ。
君達が知っている《歴史》と少し違うんだよ。
コホンッ、それでは。
先程言ったように、これは200年前の話だ。
昔、魔族の王ナルゴスは、エルフの王国サムルラーンを滅ぼす事に決めた。
地上に在り地上では無い、人間とは全く交わることは無い国だった。
なぜその王国を狙ったかって?
それは、彼ら魔族に取って邪魔だったんだよ。
今は魔族の拠点は地上にあるけど、昔は魔界という全く別の世界にあったんだ。
地上と魔界を繋ぐ扉……。
その近くに王国が在った。
その王国さえ滅ぼせば地上を侵略するのさえグッと楽になる。
そして……その王国に居たエルフ、ドワーフ、物言う獣は皆殺しにされた。
おっと、残酷だとか酷すぎるとか言わないでくれよ。
君達人間も国同士で争い、そして残虐な行為をくり返した。
人のことは言えないんじゃないかい?
まあ、彼らは人間じゃないんだけどね。
人間は必ずしも《善》では無く、また、魔物も必ずしも《悪》では無い。
とは言っても、殺しを正当化するのはどうかと思うけど。

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 Ⅱ  ( No.193 )
日時: 2013/02/27 15:54
名前: フレア (ID: emiPMG4Z)

……さて、話の続きをしようか。
エルフの国、サムルラーンの国王。
彼の娘は好奇心旺盛で、しばしば城を抜け出すことが多かった。
そのおかげで唯一魔の者から逃れることが出来たのだけど。
しかし、敵はそれだけではなかった。
エルフの娘ってね、涙がルビーに変わるんだよ。
まあ普通の人間が触ったら砕け散るのだけど。
それを知らない人間達に取っては金のなる樹のようなものだ。
当然彼女は狙われた。
話変わるけど、ナルゴスはサムルラーンを滅ぼした後、息絶えた。
全て、奴の策略だったんだ。
エビルプリースト。
本名はジャーコッシュという、元天空の神官。
奴は進化の秘宝というとんでもない代物を創り、天空の神、マスタードラゴンに羽をもぎ取られ、地に落とされた。
個人的な恨みを晴らすために、魔族を利用していただけに過ぎなかった。
死の間際、ナルゴスはそれに気づいたけど、もう既に奴を滅ぼすだけの力は無い。
……本当のこと言うと、僕はその場にいたんだ。
霊体だったけどその場にいる誰かに憑依してジャーコッシュを殺すことも可能だった。
だけど……いや、何でもない。
君には関係ないことだったな。
全ての力をナルゴスは息子、ニュイイとその息子、ピサロに託すと絶命した。
一方その頃。
エルフの娘は偶然にも通りかかったピサロに助けられた。
本当に偶然なのかどうかは僕には分からないけど。
人間達は煉獄の業火に焼かれて消えていった。
エルフ族って魔法が得意な種族で、彼女もまた天才だって呼ばれていたのだけど……。
何で無抵抗だったのかが僕には分からない。
ただ、助かっても彼女の帰る故郷はもう焦土となっていて……。
哀れんだピサロは彼女をロザリーヒルという彼女と同じ種族のエルフや、ホビットが住む村に匿う事にした。
彼が世話になっている村だそうだ。
それと、エルフの娘をロザリーと名付けることにした。
あー、ロザリー、もちろん外見16歳位だよ?
エルフって名前が無いんだよ。
名前が無いと不憫だからね。
……しかし、その数年後、ピサロの願いも虚しく命を落とした。
ジャーコッシュの謀略によって。
怒りに身を任せたピサロはまず、魔界の王エスタークを復活させ、人間達を滅ぼすことに決めた。
手始めに、そのエスタークを討つとされた、予言の勇者を消そうと、彼は動き始めた。

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 Ⅲ  ( No.194 )
日時: 2013/03/01 10:33
名前: フレア (ID: tDghPMhC)

あ、そうだ。
先程言い忘れていたことがあるんだ。
ピサロの父親、ニュイイ王。
ニュイイはピサロの慟哭により、死んだ。
今の言葉だけじゃ分からないと思うから言うけど、魔族の……特に強大な力を持つ者ほど世界に与える影響が強い。
より血縁が近しく、元から心身の弱いニュイイは命の炎をもぎ取られた。
サフィラは力を僕によって押さえられてるからそういう影響はないけども。
で、実質上次の魔族の王はピサロになったわけだよ。
次は勇者の話に移るね。
とある山奥に、ひっそりと隠された村があった。
名前は……山奥の村、とでも言っておくか。
山奥の村にはソロとソフィアと呼ばれていた。
二人は物心付いたときからずっとこの地に住み、剣術や魔法の修行を積んでいた。
ソロとソフィアが17歳になったある日。
村が魔の者達による襲撃にあった。
もちろん犯人はピサロ……いや、デスピサロだ。
彼がそう名乗る理由は……枷のようなものだった。
全てを二の次にして、復讐に、闘いに、魔族の勝利に己を投じる覚悟の印だった。
……村は炎に包まれた。
村の人々は、二人を村の倉庫に隠した。
二人にお前は勇者だと告げて。
幼なじみであるシンシアはソロにモシャスと呼ばれる呪文でソロに化け、そして魔物に殺された。
当時、魔の者達は勇者がまさか二人いるとは知らなくてね、魔の者達は魔族の勝利を信じて疑わなかった。
いや、ただデスピサロだけはあまりにも呆気なかったと疑い、手下に倉を調べるように言った。
しかし、その直後に。
その倉が炎上した。
探す手間が省けた、というわけだ。
しかし二人の勇者は生きていた。
一瞬、二人は倉が崩れる幻が見えたような気がしたが、気のせいだった。
気のせい。
この世には幻影を見せる、マヌーサという呪文がある。
デスピサロの見間違えではない。
実際、あんな状況を見間違えるわけは無いだろう。
何者かがそのマヌーサの呪文を掛けたとしか考えられない。
だけど、勇者も、魔王もそんな事には気付かなかった。
魔の者達は撤退し、勇者達はその倉から出、全く生き物の気配が感じられない村を呆然と眺め、そして二人は誓った。
魔族を滅ぼし、仇をとると……。