二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 失われた記憶 Ⅸ ( No.206 )
- 日時: 2013/03/27 10:24
- 名前: フレア (ID: w79JdDm2)
「ふうっ……」
ミーティアは部屋の中で一人溜息を吐いた。
「……所詮私達は別々の種族。仲良くすることなど出来ないのでしょうか……」
「……ミーティア。入るよ」
「あ、エイト。どうぞ」
エイトが部屋に入ってきて後ろ手にドアを閉めた。
「……サフィラのことですか」
「うん。流石ミーティアだね。別世界の人でも性格は同じなのかな?」
ミーティアはふるふると首を振った。
「そうでもありませんよ。少なくとも貴方はちょっとヤンガスに対してきついところもありますし」
「ははっ……。君もちょっと……いや、かなり違うかな」
「ふふっ。そちらの世界の私がどのようなのか気になりますが、今はその話をしにきたのではないのでしょう?」
「そうだったね。……ってミーティア?」
異変は突如起こった。
ミーティアが碧い光に包まれたのだ。
エイト達が転送するときに包まれた光と似ていた。
「なっ何……?」
「ミーティアっ!!」
エイトはミーティアに手を伸ばすが……その手は虚しく空を切った。
「きゃぁぁぁっ!!」
「ミーティアっっ!!」
部屋にはエイトだけが残された。
「……一体何なんだ………?」
コツコツコツ……
靴の音が響いて、少女はハープを止めた。
「……ふん。何で君が」
『だってキャラクターを創っているのは私だよ?全てのキャラの事は把握しているつもりだけど』
「……何で直接サフィラ達をここに送ってこなかったんだ?」
『ははっ……。分かってるくせに。記憶零状態のサフィラを直接ここに送ったらLv.1の状態で魔王に挑むに等しいですし』
「……どっちにしろ記憶を取り戻したサフィラでも僕に敵うわけ無いと思うけど」
『それはやってみないと分かんないと思うよー』
「……先程、ミーティアをここから消した」
『……何だって?』
「あの姫さんは頭が良すぎる。君が教えていない情報まで知っているってことは、名探偵の如く勝手に予想して真実を導きだしているってことだろう」
『……ちっ』
「君達の万が一の勝利も消えた。おとなしく帰れば?」
『……目的は何?』
「あれ?全てのキャラの事を把握しているんじゃなかったの?」
『あんたは自分の意志で勝手に動いているからね』
「はははっ。じゃあ教えてあげるよ。魔族を滅ぼす為、とでも言っておこうかな」
『……まさか』
「さ、もういいでしょ。ギガジャスティスっ!!」
『なっ!』
「じゃねー。サフィラは僕に勝たないとこの世界から出られないってことになるね」
『くっ……』
フレアはジジ……と音を立てながら消えた。
少女は満足げにそれを見届けるとまたハープを奏で始めた。
「くっ!」
「おわぁぁぁ!?姫さん!?」
ゼシカに追いかけられているククールと突然宿屋の一室に現れたミーティアがぶつかる。
その間際にククールの手がミーティアの胸に触れたため、当然ぶっ飛ばされた。
偶然だと思いたい。偶然だと。
「あ、案外着痩せするタイプなんだな…………」
「よし、死ね」
ミーティアとエイトとゼシカは手をばきぼき鳴らして邪悪な笑みを浮かべている。
「ってそんなことより!!」
「そんなことですか。殺しますよ」
「いやいやいや!何で姫さんここにいんだよ!!」
「あっ……。そういえば……」
ミーティアは我に返った。
- ドラゴンクエストⅧ 失われた記憶 Ⅹ ( No.207 )
- 日時: 2013/03/28 09:25
- 名前: フレア (ID: qsVr6ycu)
「……ふぅ………」
私は息を吐いた。
隣には未だに泣いているサフィラ。
目の前には明るく輝く月が在った。
「……本当は知ってたんだよ……」
サフィラがふとそんな事を呟いた。
私が目を向けると、すでにサフィラは泣き止んで顔を上げていた。
「エイトが何かを護るために強くなろうとしてるって……。でもさ、その強さって結局は殺しに直結しちゃう。魔物を倒して強くなり、また魔物を殺戮していく……」
……そうか。
サフィラも悩んでいるんだ。
自分のしていることが正しいのか怖いんだ。
そして、今も答えのない真実を求めて迷走している……。
「命を犠牲にしてまで得るものに何の価値があるの?私に敵意を持って襲いかかってくる魔物は、みんな絶命の間際に悲しそうな眼をするんだ……」
私に、答えは出せなかった。
この質問に答えは出せる人はいないだろう。
だけど、今のサフィラに共感は出来ない。
出来たとする者は、それは自身に対する欺瞞だよ。
だけどさ……。
「サフィラ。少なくともエイトは命を絶つことが嫌なんだよ」
「じゃあ何で……」
「……エイトはね、怖いんだ。トロデーンをドルマゲスに呪われて、ミーティアさんとトロデさんが別の姿になっちゃったこととか、自分に責任を感じてる。これ以上何も失いたくないって。だからね、護る為に強くなろうとしてる」
魔物は人間よりも純粋で。
人間の負の感情や邪教のオーラに染まりやすいってエイトに聞いたことがある。
それに染まってしまった魔物達は二度と元には戻らない。
だから……エイトはエイトなりにその魔物達をその柵から解き放とうとしているんだと思う。
「……何でっ!何で私と何もかも同じなのっ!?」
私の目の前にいる魔王は……儚くて、脆くて、今にも壊れそうだった。
「嫌……!何でなの……!?」
……サフィラは一回もこんなに感情的に、泣き言を言うような事は無かったんじゃないのかな。
私は黙ってサフィラの背中を叩いてあげることしか出来なかった。
所変わってフレアはどうかというと。
「うわぁぁぁぁ!!プログラム全部削除されてるぅぅぅぅっっ!!」
パソコンの画面いっぱいに表示されてるエラー!の文字。
プスプスと煙を上げているコンピューター。
「正義なんてよく言ったものだなぁぁ!!これじゃまるで悪魔の所行じゃねぇかぁぁぁぁっっっ!!」
「五月蠅い」
突然現れた姉に頭を殴られた作者でした。
「仕方ない……。学校のパソコン使うか……」
姉が去った後、フレアは頭に出来たたんこぶをさすりながら服を着替え始めた。
- ドラゴンクエストⅧ 失われた記憶 ⅩⅠ ( No.208 )
- 日時: 2013/03/28 10:13
- 名前: フレア (ID: qsVr6ycu)
その後、サフィラは何か吹っ切れた様子だった。
「エイト、ごめん。私、君の気持ち考えずに……」
「大丈夫。僕の方こそ……」
「ってちょっと待て。それより姫さんが消えたことについてはどうなんだ?」
「あっ!そうだった!」
エイトはすぐに思い出したらしく、表情を引き締めた。
「え……?ミーティアが……消えた……?」
「うん。部屋にいたら急に碧い光に包まれて……」
「敵方の妨害かもね」
サフィラがポツリと呟く。
「それに魔力は感じた?」
「うん。バルシーラっぽかった。少なくともルーラじゃない。本人もかなり戸惑ってたし」
バルシーラは対象を別の空間へと飛ばす魔法である。
「ふーん……。やっぱりあいつか……」
そのサフィラの呟きに、レーナが反応した。
「心当たりがあるの?」
「って記憶もしかして戻った?」
エイトが怪訝そうな顔をしてサフィラに目を向けた。
「うん。おかげさまで」
「で、誰なのよ?」
「答えたとしても君達には分からないんじゃないかな」
「じゃあどういう特徴?どういう能力を使うの?どれ位の力を……」
「ちょっストップストップ」
ゼシカの質問攻めをサフィラは両手を振って制した。
「それが私も分からないんだよ。ただ、危険な奴とだけ言っておく」
「勝算は?」
「無いに等しい」
仲間達はサフィラの即答を聞いて絶望感に包まれた。
「ピキーッ!」
「あ、メイル。どうしたの?」
メイルがピョコピョコ跳んで来てサフィラの腕に乗った。
「ピキーッ!ピキピキーッ」
「へ……?それはホント?」
「何て言ってるの?」
「家の地下に井戸があっただって。そこから膨大な力を感じるって……」
レーナとエイトは顔を見合わせた。
「間違えなく今回の元凶がいるってことだね」
「さっきから何か気持ち悪かったんでげすよ。その原因が……なるほど」
ヤンガスが納得したようにうんうん頷く。
「とにかく!いくよ!」
「レーナ。今行くのは得策じゃない」
サフィラがレーナの肩を掴んだ。
「何でっ!」
「さっきも言ったけど私達に勝算は無い。せめて万全の準備を整えて行こう」
「………分かったよ」
レーナは不承不承頷き、サフィラがほっとしたように頬を緩めた。
10000年前、私も生きていた。
ジャーコッシュも、まだ少年といえる歳だった。
みんな、生きていた。
でも、あんな危険な物、何で創りだしたの?
そもそも貴方は魔族でも無かった。
だけどみんな、貴方のことを信頼していたのに……。