二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 翡翠の首飾り Ⅰ ( No.242 )
- 日時: 2013/04/05 13:56
- 名前: フレア (ID: M2xow4LM)
大国トロデーンに少年エイトが来て、もうすぐ一年が経とうとしていた。
今日はトロデーンの姫君、ミーティア姫の誕生日で、盛大なパーティが催される。
しかし……。
「エイトー!どこですかーっ!!」
齢9歳の少女、ミーティア・トロデーン。
茶髪茶眼の可愛らしい華奢な女の子。
言うまでもなく、今日のパーティの主役である。
その彼女がなぜ叫んでるかというと。
彼女の親友であるエイト。
去年ひょんなことから出会った少年だ。
エイトが朝から行方不明なのだ。
もう一年も城に住んでいるのに迷うはずは無いのだが……。
「エイトーーっ!!」
城の中を走り回ってとにかく叫ぶ。
大人達もミーティアがいないと大騒ぎだが、そんなことは構わない。
彼女は長い髪の毛を一つに結び、眼鏡を掛け、友達の女の子と服装を交換し(今頃その女の子は母親に怒られているだろうが)、とてもじゃないが一国の姫君に見えない姿になった。
まあそれでも分かる大人はいるようで。
「ひっ姫様!お待ち下さい!!」
兵隊に追いかけられたりもしたが、上手く撒いた。
ミーティア自身に罪悪感は感じるようで、心の中で手を合わせた(恐らく彼は後でトロデ王に怒鳴られるだろう)。
その時、ミーティアの胸に最悪な展開が過ぎった。
「……まさか外に……?」
外、というのは王国の外。
城壁の向こう側の事を指す。
最近さらに狂暴化した動物や魔物がうろついていて、滅多にミーティアでさえ外に出ない状況だ。
不安を振り払うように頭を振るが、一度芽生えた不安は中々消せないものだ。
「………………っ!!」
たまらず、ミーティアは外へ目指して走り出した。
「エイトーーっ!!」
叫ぶ。
しかし、仮に彼が外へ行ったとしても、なぜ外へ出る必要があるのか見当もつかない。
それでも、彼が王国の外にいるのだとしたら、いつ動物や魔物に襲われてもおかしくない。
手遅れになる前に早く見つけ出さないと……。
「……大丈夫。私は大丈夫」
胸を押さえて、自分を元気づけるように、力づけるように、勇気づけるように彼女は呟いた。