二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第95話 ( No.259 )
- 日時: 2013/04/09 09:23
- 名前: フレア (ID: tfithZZM)
「……………」
屋敷を出ると、何とも言えない沈黙に包まれた。
しとしとと雨が降っていて、それがまた空気をさらに重くする。
「……ねえ、ゼシカが殺しなんて……。何か事情があったんだよ、きっと!」
サフィラが明るく振る舞うが、その声は泣きそうだ。
「……あっ!貴方はさっきの……!」
チェルスが、サフィラ達に気付き、軽く会釈した。
手には犬のエサを入れる器を持っていた。
「あ……あの、怪我はありませんでした?」
ミーティアが尋ねる。
「はい……。さっきは本当にありがとうございました。ハワード様が御無事だったのは貴方がたのおかげです」
歳がエイトと同じくらいに見えるが、その青年は(あくまで外見上は)年下のサフィラに礼儀正しく接した。
「あ、僕はチェルスといいます。この屋敷で働かせていただいてます」
「……何で貴方はこの屋敷で働いてるの?」
サフィラの問いは、個人的興味だった。
ハワードにあんな扱いを受けていることから何か借金のカタとかかと思ったが、チェルスは思いも寄らない事を言った。
「実は、僕は半年前まで一人旅をしていたんですけど……お金も底を尽き、腹ぺこでこの町で行き倒れたんですよ。その時、僕を助けてくれたのは他ならぬハワード様だったんです」
……はっきり言って信じられない。
それが一同の本音だった。
「おまけに僕を屋敷に雇い入れてくれて……。言葉にならないほど感謝してます。時々冷たく見えるときもありますけどね、心の奥は本当に優しい人なんですよ」
そのチェルスの言葉は、まんざら自身に対する欺瞞でもなさそうだ。
「……あ、そうだ。レオパルドにご飯をあげなきゃ」
チェルスは思い出したように呟いた。
「皆さん、では」
彼はは一瞥して庭の方に歩いていってしまった。
「……あのおっさんが、ねぇ……」
「はっきり言って言いなりになるのは嫌。あの人の命令口調がむかつく」
「私もです。幼いときから人に対して負の感情は抱くなと言われましたが……」
「……あっしはあのおっさんがむかつきすぎて頭がショートしそうでがすーっ!!」
「……あれ?トーポ?」
エイトがテテテテ……と自分の方に走ってくるトーポを見つけた。
「いつの間に……。勝手にどこかにいっちゃ駄目だって」
エイトはトーポを拾い上げる。
「あーあ……。泥まみれじゃん」
サフィラは顔をしかめた。
「どうする?もう宿屋に行く?」
「でもいつゼシカがまた来るか分かんないし……」
「って言ってももう夜だよ?しかもサザンビークから歩いてきてくったくただよ」
「俺も右に同じ。眠い」
「おなかも減りました……」
「ピキーッ」
というわけで、多数決で宿屋で休むことになった。
ゼシカがいつ襲ってくるか、多少……いや、かなりの不安があったが。