二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 紺碧の石  ( No.266 )
日時: 2013/04/17 17:40
名前: フレア (ID: 2Dp9YrwF)

……何度も何度も想った。
『なぜ私はここにいるの』って。
何度も何度も恨んだ。
自分の運命を。
そう、私は異族の子。
即ち《異端》。
ここに生きてるべきではないんだ……。


「…………」
目の前に広がるのは雲海。
それが果てしなく続いている。
空を気ままに飛ぶ生き物なんてここには無い。
ただただ、目の前に広がる景色を座り込んでぼーっと眺めているだけで時間は刻々と過ぎている。
周りには誰もいない。
「…………はぁ」
私の左腕に在る痣は、生まれたときからずっとあった。
その痣は竜のような複雑な紋章みたいで、どう考えても自然には出来ない。
……それに。
この《里》の七人の長老の内の一人は言っていた。
『お前のその腕の痣は選ばれし者のみ身体に宿す《竜神の紋章》じゃ。なぜお前のような《異端》が……』
《異端》。
それが私の渾名。
私は竜と人の子。
本来生まれてくるはずのなかった《化物》。
ずっと八年間蔑まれて……自分の運命を呪って何度も死のうと思ったか分からない。
《竜神の紋章》というのは結局何?
私が選ばれし者だとしたら、なんでみんなはいつも冷たいの?
何で……何で私は……!
「おーいっ!エミリアー!」
「…………?」
「暇だから来たよー!」
「暇って……」
……脳天気っていいな。
いつもこの人に話しかけると毎回思う。
エイト。
私の双子の兄で、結構ドジだったりする。
本当にこの人は私の兄さんかって疑うのは日常茶飯事。
「えっとね、あっちの方に綺麗な石があったんだよー」
今はこんな事をしている場合ではない。
もう七年経ってる。
私達の処分はどうするか、長老達は話し合っていて、そろそろ決まるはず。
殺されると思う。
その前に逃げなければ……。
「……ねえ、これだよ!ほら!蒼くてね、透き通ってるんだよー!」
どうしよう……。
絶対エイトは何も考えてない。
いや、当たり前か。
私達はまだ七歳。
下界ではまだ親の元にいる歳だと聞く。
そう考えると私の方が異常……。
「エミリアー?」
「…………」
「ねえ、エミリアったらー」
「五月蠅い!!」
……あ。やってしまった。
泣いちゃうか……?
「あの、エミリア、あのさ」
「……え?」
「これあげるから、怒んないで」
エイトは私にその蒼い石を押しつけて、満足げに笑う。
「えっとさ、みんな厳しいけど、僕にはエミリアだけが《友達》だからさー」
意味が違うような気が。
……でも。
「……《友達》……」
不思議と悪くない気分。
「……エイト」
「うん?」
「……ありがとう」