二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第19話  ( No.27 )
日時: 2012/09/19 17:09
名前: フレア (ID: ja6QJnOq)

ゼシカを追いかけるが、どこにも見あたらなかった。
「どこに行ったんだ?」
「リーザスに戻ってポルクに聞いてみよう。
あの子にもおおよその見当は付いてるんじゃないかな」
サフィラはそう言って、他の二人もそれに賛成した。

「姉ちゃんがどこに行ったかって?
たぶんポルトリンクじゃないのか?」
エイトに聞かれたポルクはそう答えた。
「ポルトリンクでがすか・・・
それならあっしが一回行ったことがある場所なんで案内しやす」
「お前らもドルマゲスを追ってるんだろう?
だったら、ゼシカ姉ちゃんに手を貸してやってくれ!!」
「もちろん!!
元からそうするつもりだったしね」
サフィラはウインクして言う。
「じゃあ、いろいろとありがとう。
ゼシカさんの事は任せて」
エイトがそういうとポルクはこくりと頷いた。

村の外に出た三人はトロデ達と合流して地図を広げた。
「ポルトリンクはここでがす。
一本道ですがかなり距離があるでがすよ」
地図上のポルトリンクを指さしながらヤンガスは言う。
「ゼシカさん一人で行って大丈夫かな・・・」
「塔を一人で登るくらいだから大丈夫でしょ」
心配するエイトを落ち着かせるサフィラ。
「ふ〜む・・・
ドルマゲスはどこへ行ったのかのぉ・・・」
一人だけ別のことを呟くトロデ。
「とりあえずここで話しているのも無駄だし、
ポルトリンクに行こう」

「サフィラ、
君はなぜ魔族の王なのに魔物を殺められる?」
前々から気になっていた事をサフィラに聞いてみる。
「何!?
魔族の王じゃと!?」
しかし反応したのはトロデだった。
サフィラは笑われるか、恐怖を感じられるかと思ったが、
実際の反応は・・・
「ふむ・・・
魔族の王か・・・
さすがは我が家臣!
最初からただ者ではないと思っておったが、
まさか魔族の王だとはのう!!」
さぞ愉快そうにトロデは言う。
サフィラは苦笑しながらもエイトの質問に答えた。
「目・・・見れば分かるんだ。
もう助かりようのない奴は狂気に憑かれた目してるんだ。
まだやり直せるような奴らは見逃してるんだけどね。
でもやっぱり生き物を殺生するのは悲しい」
「・・・たとえ、それが極悪人であっても?」
エイトが聞いた。
「うん・・・やっぱり一つの命だからね・・・・・・」
それっきり、サフィラはその質問に関しては喋らなくなる。
「・・・・・・優しいんだね・・・」
エイトは本当に小さな声で呟いたが、
サフィラは人間より数倍も聴覚がいいため聞き取れた。
サフィラははっとした表情で何かを言おうとしていたが、
結局言わないことにしたのか口を閉じてしまう。
しいん、と静まった道に馬車の音だけ響いた・・・

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第20話  ( No.28 )
日時: 2012/09/20 09:20
名前: フレア (ID: emiPMG4Z)

しばらく進むと魔物が出てきた。
無言でサフィラは剣を抜くと、そのまま魔物に突っ込んでいった。
「ちょ・・・!!サフィラ!!」
「姐さん!!」
「・・・・・・」
エイトとヤンガスが声をかけても返事がない。
戦いの渦の中でチラリと見えるサフィラの目には、
悲しみの色が浮かんでいた。
「サフィラ・・・」
サフィラがすべてを切り伏せるとあたりに静寂が戻った。
その静寂を打ち破ったのはエイトだった。
「サフィラ・・・。どうしたの?」
「・・・やっぱり君たちに手を汚させるわけにはいかない。
魔物は私に任せて」
未だに悲しげな目をしていたサフィラはエイトとヤンガスを見る。
「・・・サフィラ・・・・・・。やっぱりさっきの話、気になってる?」
「君の話で思い出したんだ。
暴走している魔物は魔族の王たる私が止めなければならない。
これからは私が一人で・・・」
うつむいてそう言うサフィラ。
「っ・・・!!そんなこと言うな!」
いきなり大声を出すエイトに驚いてサフィラは顔を上げる。
「人間とか、魔族の王とか、そんなもの関係ない!
僕たちは仲間だろう!?
・・・一人で何もかも抱え込むなと言ったのは君だ。
だから、君も僕たちを頼っていいんだよ?」
エイトの隣でうんうん、と頷くヤンガス。
「・・・・・・っ・・・!!
うぁぁぁぁあ!!」
サフィラは泣いた。
エイトの言葉がうれしくて・・・。
温かい雫がルビーに変わる。
エイトがサフィラの肩に手を載せ
「君は一人じゃない」
と言った。
腕にルビーが落ちるが、それは砕け散った。

ようやく泣きやんだサフィラをつれて一行は
再びポルトリンクへの道を歩む。
「いやー、まさか兄貴があんなに熱い性格だったとは・・・
一生ついて行きやすぜ!兄貴!」
「やめてぇぇぇ!!思い出させないでぇぇぇ!!!」
赤面し、耳を押さえながら絶叫するエイト。
「ありがと、エイト。いろいろ吹っ切れたよ」
素直にお礼を述べるサフィラ。
「おい・・・お主らあそこで何をしておったんじゃ?
なにやらサフィラが泣いていたようじゃが」
安全地帯に逃げていたトロデとミーティアは知らない。
「兄貴が・・・」
「うわぁぁぁ!!言うな!言うなヤンガス!!」
大声でヤンガスの言葉を制すエイト。
サフィラは二人の漫才じみた会話に苦笑した。
『君は僕たちを頼っていいんだよ?』
その言葉を思い出して笑みを浮かべるサフィラ。
(仲間を守れるような存在になりたい・・・)
少女は思う。
「お!ポルトリンクが見えてきたぞ!!」
トロデが叫ぶ。
その言葉に反応して三人は駆けだした。

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第21話  ( No.29 )
日時: 2012/09/20 13:41
名前: フレア (ID: .9PiH9M2)

三人はアーチをくぐって町に入る。
例によってトロデ、ミーティアを外に残したまま。
「この町から定期船に乗れば、南の大陸にいけるでがす」
ヤンガスが言った。
「取りあえず、ゼシカさんを探そう」
少し疲れた様子のエイトが言う。
「その人、ドルマゲスを追いかけるつもりなら
定期船に乗るんじゃないかな?」
「そこに行ってみるか」
サフィラの意見に二人は賛同した。

港に行くなり聞き慣れた少女の怒鳴り声が聞こえた。
「もういい加減に待てないわよ!さあ、今から船を出して!!
私は急いでるんだから!!」
ゼシカは荒くれ男に詰め寄る。
「しかし・・・。今、海には危険な魔物が出没していて・・・」
「だから!そんなの私が退治するって言ってるでしょ!?」
何回もこのやり取りをしていたのかゼシカはイライラしていた。
「いやいや、お嬢様にそんなことさせたら
後でアルバート家からなんと言われるか・・・」
「う〜〜話の分からない男ね」
ゼシカはそう言うと辺りを見回し始めた。
すると、塔で見掛けた三人が目に入る。
「!あ、ちょうど良かった!!」
ゼシカは豊満な胸を揺らしながら三人の所に近づき、言った。
「リーザス塔で会った人よね。
リーザス村で待っててって言ったのに何で待っていてくれなかったの?」
「・・・そんなこと一言も」
「ちゃんと謝りたかったのに。
・・・でも、それは今はいいわ」
エイトの言葉を遮ってゼシカは
「ちょっと頼みたいことがあるの。一緒に来てくれる?」
踵を返し、荒くれ男の所に三人を連れて行く。
「ねえねえ、その魔物を倒すのに私が手を出さなきゃいいんでしょ?」
「へえ、そりゃあまあ・・・」
「だったら任せて。魔物退治はこの人達が引き受けてくれるわ。
ね?これならオーケーでしょ?」
「ちょっとちょっと!!勝手に話を進めないでよ!」
サフィラが二人の会話を遮る。
「あのドルマゲスは南の大陸へ渡ったらしいわ。
あなた達もこの船使えないとドルマゲスを追いかけられないでしょ?」
「う・・・」
サフィラはゼシカに返す言葉をなくす。
「じゃあ決まりね。
早速船を出してちょうだい」
「イエッサー!!」
荒くれ男は敬礼をして元気よく答えた。

定期船に乗った三人。
因みにトロデとミーティアはこのことを知らない。
「よーし、出発だーー!!
碇を上げろーー!!」
男の声が良く晴れた空に響く。
しばらく船が進んでいくと、ごぼごぼ・・・と水面が泡立つ。
勢いよく海から出てきたのは
たこのような、いかのような魔物だった。
「気に入らねぇなあ。
気に入らねぇ。
いつもいつも断り無くこのオセアーノンさまの頭上を通りやがって」
オセアーノンと言った魔物は自分の触手と会話する。
「海に生きる者としてこの俺様が人間喰っちまうか!!」
そう言うなりオセアーノンは火の息を噴く。
「くっ・・・」
いきなりの不意打ちを食らって三人はよろめく。
そして武器を抜いて構えた。

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第21話  ( No.30 )
日時: 2012/09/21 14:44
名前: フレア (ID: Us9WpvjK)

「エイト、ヤンガス!!殺さない程度にがんばって!
この魔物、何か目の奥で必死にもがいているような・・・
うわっ!!」
サフィラは触手に叩き付けられる。
「サフィラ!!大丈夫!?」
エイトはホイミを唱え、サフィラの傷を回復させる。
「ありがと!!」
と礼を言ってから高く跳躍してオセアーノンの頭の上に乗り
サフィラは後頭部を突き刺そうとする。
・・・が。
「硬い・・・剣で貫けないなんて・・・!!」
エイトとヤンガスは下の方でゲソと戦っているようだった。
そちらの方に気を取られていたサフィラは、
後ろに迫ってくるゲソに気がつかなかった。
「うあっ!!」
足を絡め取られ、
何度も何度も甲板に叩き付けられサフィラは意識を失う。
「くっ・・・」
ゼシカはすぐにでも助けたかったが約束によりそれは出来なかった。
いや、それは言い訳なのかもしれない。
もしかして私、恐怖を感じている?とゼシカは思った。
「くそっ!!」
エイトはサフィラの自由を奪っているゲソを貫く。
オセアーノンは痛みでサフィラを放してしまう。
「おのれ・・・小癪な・・・!!」
オセアーノンが呻く。
その隙にヤンガスが
「おりゃあああ!!」
と言う声を上げて思いっきり斧を上段に構え、振り下げた。
「うぎゃぁぁぁぁあああ!!」
オセアーノンは悲鳴を上げる。
「さぁ、これ以上戦いを続けたら君もどうなるか分かってるだろう?」
エイトは静かに、しかしその目は怒りで燃えていた。
「いやぁ、お見それしました。いえホントホント」
先ほどとは180度態度を変えて、オセアーノンは言った。
「覚悟は出来てる?」
エイトはオセアーノンに問う。
「今回の件は私のせいじゃないんですよ!!
そうそう!あいつのせいなんです!!」
その言葉を聞いてエイトはサフィラが言ったことを思い出す。
『この魔物、何か目の奥で必死にもがいているような・・・』
「・・・どういう事?」
「こないだ、
道化師みたいな野郎が海の上をすいすい歩いていましてね、
生意気な奴だと睨んでいたら、睨み返されちまいまして・・・」
エイトとゼシカはハッとなった。
「ドルマゲス・・・!!」
「ドルマゲス?その野郎はドルマゲスというんですかい?
まあ、とにかくそれ以来、身も心も奴に乗っ取られちまいまして。
船を襲ったのもそのせいなんですよ」
切れた足を痛そうに見ながらオセアーノンは言った。
「大丈夫、分かっていたよ」
いつの間にかサフィラが立っていた。
「サフィラ!傷は大丈夫!?」
大丈夫、と言った後、
足を引きずりながらオセアーノンと向かい合う。
「・・・ベホマ」
彼女は静かに唱えた。
すると、オセアーノンの斬られた触手が再生する。
そして、弱々しい笑みを浮かべながらサフィラは
「大丈夫、すべて悪いのはドルマゲスだから・・・。
誰も君を責めたりしないよ・・・・・・」
そう言って倒れた。
「サフィラ!」
「姐さん!!」
何回も叩き付けられて意識が飛ばない方がおかしいくらいだった。
エイトは彼女にホイミを唱えるが傷は深く、治らない。
「・・・流石魔王とエルフの王女の血を引いているだけありますな。
操られていたとはいえ、こんなに傷を負わせた敵を助けるだなんて・・・」
オセアーノンは言った。
「魔王!?嘘でしょ!?」
この発言にゼシカ、船員達は驚いた。
常人ならこの反応が普通だろう。
「そうだ!忘れていた!魔王の娘さんにこれ、渡しておいてください」
そう言って差し出されたのは黄金の腕輪。
邪悪な気配がするのはヤンガスにすら分かった。
これなに?と尋ねる間もなくオセアーノンは
「それじゃ、私はこの辺で退散しますね。
ではでは、皆さん良い旅をば〜」
水しぶきを上げてオセアーノンは帰って行った。
「これ何なんだろ・・・」
黄金の腕輪はとてつもない魔力を放っていたと同時に、
邪悪な物が眠っているような雰囲気だった。
「兄貴!
そんなことよりも早く姐さんをベッドに運んだ方がいいでがす!」
ヤンガスはあわてた声で言う。
「あ!そうだったね!」
腕輪を見ていたエイトは我に返ってサフィラを抱えた。