二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- ドラゴンクエストⅧ 光と闇の軌跡 第98話 ( No.275 )
- 日時: 2013/04/22 17:47
- 名前: フレア (ID: ..kR6GNN)
自然と足が塔へと赴いて。
静かな闇の中へ歩いていく。
天気はすっかり良くなり、満天の星が瞬いている。
「…………」
魔物の気配は不思議としない。
静寂な雰囲気がかえって怖い。
「……あれ?」
振り返ると、物陰に急いで隠れる陰が見えた。
「………………メイル?」
「ピキィ……」
一匹の小さなメタルスライムがすまなさそうに出てきた。
「だめだよ……っていうか何でここに……」
「ピキ」
「そっか。ってよくルーラ使えたねぇ。スライム族としてはかなり優秀じゃないの?」
「プルプルー!」
「謙遜しなさんな。もう……眠くない?」
「ピキーっ!」
「分かった。じゃ、一緒に行こっか」
サフィラは掌ほどにしかないメイルを肩に乗せると、再び歩き出した。
「魔物がいないね。どこに隠れてるんだろ。ま、私も無駄な殺生はしたくないから助かったけどね」
「ピキー」
「君は家族っているの?」
「ピィ……」
「人間に……殺された?何で……」
「ピキィー……」
「……金属、か……」
サフィラは俯いた。
エイト達とは対照的に、己の欲望を満たす為だけに非人道的な者も多い。
昼間、メイルを襲ったあの男達が良い例だ。
人間とは必ずしも善ではなく、また、魔族も悪ではない。
町で人を殺したらそれは罰せられる。
だが、町で魔の者達を殺したら人々に感謝される。
勇者というものもまた然り。
サフィラも迷っていた。
自分も、それは同じだと。
自分が人々を責められる立場に無いことを知っている。
だが。
それは果たして本当に許されていいことなのだろうか……。
「……ピキー?」
「ん?あぁ、ごめん。……あのさ、メイル」
「ピキ?」
「……エイトも、ヤンガスも、ククールも、ミーティアも、トロデ王も……そしてゼシカも。みんな君を護ってくれる」
綺麗事ではない。
本心からの言葉だった。
彼女の仲間達はちょっと変わってるけどみんないい人達で。
それぞれの運命を背負って一生懸命に今を仲間と共に生きている。
だから……。
「だからさ、今すぐだとは言わない。いつか、心を開いて、みんなと話してくれないかな。きっと仲良くなれるから」
「……ピキ」
「……ふふっ。ありがと」
サフィラはメイルの答えに満足げに微笑んで頷いた。
「さっ、もう少しで……クラン・スピネルの所につけるよ」
「ピキー」
「君も魔力に気が付いたんだ。多分……ポルクが言ってたのはあの像の瞳の宝石……」
「ピキ?」
「あ、いつかポルクのことは紹介するよ」
階段を一つ一つメイルが跳ねないように丁寧に登りながら、サフィラはメイルに笑いかけた。