二次創作小説(映像)※倉庫ログ

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第23話  ( No.33 )
日時: 2012/09/21 13:51
名前: フレア (ID: Us9WpvjK)

サフィラが目覚めたのはポルトリンクの宿屋だった。
「う・・・」
体中に痛みを感じた。
オセアーノンに叩き付けられたからというのもあったが、
無理をしてホイミの最上級の呪文、ベホマを使ったからだ。
無理矢理使えない呪文を使うと体への負担は相当なものだ。
ベッドの傍らには、
イスに腰掛けながらうたた寝をしているエイトが居た。
「エイト・・・エイト・・・!」
声を出すのも辛い状態だったが、それでも仲間に呼びかけた。
「・・・はっ!サフィラ!いつ起きたの!?」
エイトはサフィラの声で目が覚めた。
「あの・・・魔物は・・・?」
「え?あ、あぁ。この腕輪を残して去っていったよ」
と言ってエイトは黄金の腕輪をサフィラに渡した。
「・・・!これ・・・!!」
「君に渡しておいてくれって頼まれた。
それ、何なんだろうね。
凄い魔力が秘められてる・・・」
「なんで・・・・・・・に!!」
サフィラが驚きの声を上げるが、
なんて言ったのかはエイトには聞き取れなかった。
「うん?」
「あ・・・いや・・・何でも・・・ない」
エイトが聞くがサフィラは答えなかった。
「体の方は?」
「所々が痛む・・・。でも、大丈夫だよ。
ところで・・・ヤンガスは?」
サフィラが先ほどから姿が見えない仲間の行方を聞く。
「・・・そこ」
エイトが指さした方向はベッド。
確かに掛け布団がこんもりしている。
「爆睡してるね・・・」
「いびきがうるさいから掛け布団かけたんだ」
あはは・・・、とサフィラが苦笑した後、
ゼシカが宿屋に入ってきた。
「あ!もう体の方は大丈夫なの!?」
「とりあえずはね」
「そう・・・。
いやぁ、貴方昨日はすごかったわね!!」
どうやらサフィラが気絶してから一日経っていたらしい。
「貴方をこんなにまで怪我負わせたのに
あの魔物の傷を治してあげるなんて・・・。
私には無理だわ!」
興奮した様子でゼシカは話す。
「ところで、貴方が魔王とエルフの血を引いてるって本当?」
ゼシカはサフィラに聞いた。
「ホントだけど、無理に信じなくて良いよ」
「凄いじゃない!」
ゼシカは信じることに決めたらしい。
「あ、自己紹介を忘れていたわね。
私はゼシカ。ゼシカ・アルバートよ。
あなた達はなんて言うの?」
「僕の名前はエイト。で、この眠ってるのがヤンガス」
「私はサフィラだよ」
それぞれ自分たちの名前を教えた。
「エイトにサフィラにヤンガスね?
改めて魔物を倒してくれてありがと!おかげでドルマゲスを追えるわ!
お願いがあるんだけど・・・。
あなた達もドルマゲスを追ってるんでしょ?」
「・・・?うん」
エイトはゼシカがどういうつもりなのか分からなかった。
「旅の目的は一緒なんだし・・・。
あなた達の仲間にしてくれない?こう見えても魔法とか得意なの。
きっと役に立つわ」
「エイト、この人仲間にしようよ。
塔の時も炎の呪文とかすごかったし。
あと、一人で旅なんて危険すぎるからね」
サフィラは言った。
「うん、そうだね。じゃあよろしく」
エイトは手を差し出した。
「うん!これからよろしく!」
ゼシカはエイトの手を握った。
そして、ゼシカは手を放して言った。
「ねえ、南の大陸に出発すのは明日にしない?
サフィラがこんなに重傷だし」
「うん。無理をして死なれても困るしね」
エイトが言った。
「じゃあ、サフィラ。お大事にね〜」
そう言ってゼシカは宿屋を出ようとしたが、
途中何か思い出したのか二人の所に戻ってきた。
「そういえば、まだ謝ってなかったね」
ゼシカは言った。
「いや、気にしてないよ」
とエイトが言うが
「ううん、それじゃあ私の気が済まないの」
ゼシカは首を振った後
「すいまっせんしたーー!!」
頭を下げ、こう言い放つ。
「なんというか・・・エイトより男っぽいところもあるというか・・・」
「あはは・・・」
サフィラは思わずエイトを半眼で見つめ、エイトは笑うしかなかった。
「じゃっ。お大事にね」
そう言って今度こそ出て行った。
「・・・頼もしい仲間が増えたね」
「・・・うん・・・・・・」
「ぐがーーっぐがーーーっ」
静かになった宿屋にはヤンガスのいびきが響いた。

ドラゴンクエストⅧ 勇者と魔王の軌跡 第24話  ( No.34 )
日時: 2012/09/21 14:39
名前: フレア (ID: Us9WpvjK)

「おはよー、みんな起きてる?」
朝一で来たゼシカは元気よく宿屋の扉を開けた。
「うぅーん・・・」
「すーっ・・・すーっ」
「ぐがーっぐがーっ」
「・・・・・・」
ゼシカは自分でもなぜだか分からないが恥ずかしくなった。
「ほらっ!起きなさいよ!!」
エイトを激しく揺さぶるゼシカ。
「・・・はっ!!」
「おはよう。目が覚めた?他の二人起こすの手伝って」

まだ眠気が覚めないエイト、ヤンガス、
そしてまだ体中に包帯を巻いた状態のサフィラは港へ向かった。
「あの緑色の人には伝えてあるわ。今頃船にいるはずよ」
ゼシカは言った。
「完全におっさんの事忘れていたでがす」
「・・・・・・」

定期船に乗り込んだ四人。
そこでいろいろな話をした。
「そういえば、ヤンガスってエイトのことを兄貴って呼んでるけど、
何でなの?
普通は逆だと思うけど」
ゼシカが疑問を口にした。
「そういえば・・・。
もうすっかり当たり前のことになっていて忘れてたけど」
サフィラも言った。
「よくぞ聞いてくれたでがす!」
なぜかテンションが高くなったヤンガスは言った。
「不肖ヤンガス、エイトの兄貴の旅のお供をしているのにゃあ、
聞くも涙、語るも涙の壮大な物語があるでげすよ」
「いや・・・聞くも涙って・・・・・・。
僕、そんなに大したことやってないけど・・・」
エイトは少々引き気味に言った。
「そう・・・あれは確か夏の盛り・・・。
遠くで蝉が鳴いていたでげすよ・・・」

ヤンガスの言葉を簡潔にまとめるとこうだった。
トロデーンから出たエイト、トロデ、ミーティアを橋で襲い、
斧でエイトを斬りつけようとしたところ、
橋に斧が刺さり抜けなくなる。
その隙に三人は橋を渡り、
そこで橋は切れてヤンガスは落ちそうになるが、エイトが助けた。
このとき、トロデとミーティアは見捨てようとしたらしい。
とにかく、そのとき命を救われてから
ヤンガスはエイトを兄貴と呼ぶようになったという・・・。

「へぇ、そんなことがあったのね。
で、それのどこが聞くも涙、語るも涙の壮大な物語なの?」
呆れた様子でゼシカは言う。
「エイトは優しいね」
「いや、あんなに怪我を負わせた魔物を君の方が凄いよ」
サフィラとエイトはお互いを褒めあう。
「私、ちょっと風にあたってくる。
サフィラ、ちょっと二人で話しない?」
「いいよ〜」
と言ってゼシカとサフィラは二人の前から去る。
「やっぱり兄貴とあっしの兄弟仁義はしょせん男同士にしか
理解できない話でがしたかね」
「・・・・・・ははっ・・・・・・・・・」
エイトは苦笑いした。